みなさん、こんばんは。川崎市議会議員(宮前区選出)の矢沢孝雄です。
今回は昨年最後の議会、令和4年川崎市議会第5回定例会(11/28〜12/21)において、一般質問で取り上げた内容についてご報告させて頂きます。
以下が今回取り上げたテーマとなります。
自民党代表質問でも取り上げました、多子世帯支援についてです。出生数80万人割れという話題が大きく取り上げられていますが、少子化対策は今に始まったものではなく、政府も継続的に取り組み続けてきた重要課題です。人口増が続き平均年齢も若い、子育て世帯が多く住むまちだからこそ、国に先んじてさまざまな取り組みを進めていくことが求められます。今回は他都市と比較して遅れている川崎市の多子世帯支援について取り上げました。
② 野球場利用申込について
以前はふれあいネットから予約が出来ていた川崎市の野球場施設ですが、令和2年7月に発生した第三者による大量のログイン失敗行為の影響を受けたことにより、現在は申込書の持参若しくは郵送での予約手続きが行われています。今回はそれによる弊害と、川崎市の野球場施設で発生している問題について取り上げました。
③ 消防団における班設置等について
消防団について、主に宮前区向丘地区をエリアとして担当する向丘分団においては、その地域の広さと増え続ける住宅等を鑑み、現在の蔵敷班・神木班に加えて、もう一班、新しい班を設置していきたいという声が随分昔から存在していました。現在、そういった想いを有している地域の消防団員の方々を中心に、新班の設置に向けた活動と実績を積み重ねて頂いている状況にあります。今回は、班を新設する場合の条件や手続きについて質問しました。
④ 幼児教育の充実に向けた取組について
昨今の原油価格・物価高騰が及ぼす影響について、これまで我が会派は代表質問等を通じて、福祉・教育等施設全般的にその支援を求めてきました。結果、本市においては給食費や光熱費の高騰分に対して、保護者等への負担が及ばないよう国の交付金を活用し、支援をしていくこととなりましたが、ここでも幼稚園においては、県と市における権限の違いから、支援のあり方について指摘せざるを得ない部分があると感じましたので、今回取り上げさせて頂きました。
今回は上記の中から、「①多子世帯支援について」をご報告させて頂きます。
また、本内容をまとめたものは1月6日(金)タウンニュースに掲載されています。
川崎市の多子世帯支援施策について
現在、本市で行われている多子世帯支援を一覧にすると、以下の通りとなります。(※令和4年12月14日時点)
- 児童手当
- 児童扶養手当
- 保育所等保育料の多子減免
- 保育所等副食費の免除及び幼稚園給食費の補助
- 保育所等の利用調整
- 産前・産後家庭支援ヘルパー派遣事業
- 妊婦健康審査費用助成
- 産後ケア事業
これらは本市独自の施策ということではなく、国の施策に準じた取り組みとなっています。大都市の中では、多子世帯向け支援として、自治体独自の施策を展開しているところも多く存在しています。
そして、上記の中で赤線が引かれている施策については、第一子のカウントの仕方が決まっています。
「保育所等保育料の多子減免」を例にあげてみると、本市では、第2子の保育料を半額、第3子を無償とし、小学校就学以降の児童については減免対象となる児童数から除外されています。
例えば、一番上の子どもが小学生で、第2子、第3子が保育園に通っている場合、第2子が1人目とカウントされ、第3子は無料とはなりません。
例えば、小学生と中学生の子どもがいる家庭に、第3子が誕生しても、それは第1子としてカウントされてしまう為、0〜2歳の保育料は全額自己負担となります。
これらは国の基準ではあるものの、東京都、神戸市、札幌市等の大都市では、小学生以降でも1人目としてカウントする独自の基準を設けるなど、対策をしています。
この基準の見直しを質問の中で求めたところ、現在の市の答弁は、「対象となる子どもの数え方に自治体間で違いがあるべきではなく、他の政令市などと連携し、国に対して年齢制限の撤廃を要望した」、「多子世帯への支援についてしっかりと取り組むなど、安心して子どもを産み育てることができる環境づくりに向け、総合的に子育て支援対策を推進していく」という内容でした。
きょうだいの年齢が離れている場合は減免対象にならないという基準は、保育料だけでなく、給食費や保育施設の利用調整等でも適用されているのが現状です。
川崎市は子どもを産み育てやすい環境なのか〜常に疑問視する謙虚な姿勢を〜
代表質問で取り上げたことに加え、今回は我が会派の山田えり議員(川崎区)が本件を中心的に取り上げてくれました。
当方からは、全国の中でも川崎市における多子世帯割合が最下位若しくは低位に位置していることを、客観的に伝えた上で、これまで市が進めてきた取り組みをPRする姿勢というより、本当に子どもを産み育てやすい環境なのか!?これを常に疑問視する謙虚な姿勢を持つことを、自戒の念を込め、市長にお伝えをさせて頂きました。
以下の表は、実際に質問の際にお見せした資料となります。
一つ目が、国民生活基礎調査から「東京都+政令指定都市」21大都市における「児童のいる世帯数等(3人以上)」の割合をソートしたものです。
この国民生活基礎調査から見る川崎市の特徴は、①多子世帯割合は大都市の中で下位(19位〜21位)、②児童全体の中で多子世帯が占める割合が調査毎に減少(悪化)している、③一方、児童1人世帯は大都市の中でも上位(2〜3位)ということです。
どうでしょうか、川崎市に住む子育て世帯なら納得感のあるデータなのではないかと思います。多くの子育て世帯からは3人子どもがいる世帯は本当に珍しいという声を日々いただいています。
次の資料が、川崎市が作成している「第2期川崎市子ども・若者の未来応援プラン」から多子世帯に該当するページを抜粋したものです。
約2行の分析にとどまっており、市として多子世帯が置かれている現状を詳細に分析しようという方向性が見えないと私は感じています。その一つが、前述した「きょうだいカウント」のような問題を国ではなく、「市」で対応することを本気で検討してこなかった証左なのではないかと考えています。
本市は国の基準に沿った取組を進めてきましたが、この基準は、副食費の免除や保育所入所の利用調整などにも全て適用されており、この課題の是正においては、国が取り組むべき課題であるスタンスで要望活動をしてきました。
それ自体には異論はありませんが、子どもを産み育てやすいまちを目指している本市として、現状に満足することなく、改めて本当にこども産みやすいのか、育てやすいのか、を常に疑う姿勢が大切なんだと思います。
今回市議会で取り上げた本内容に関する動画は、市議会インターネット中継のアーカイブから見ることが出来ます。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
また次回もどうぞ宜しくお願い致します。