みなさん、こんばんは。川崎市議会議員(宮前区選出)の矢沢孝雄です。
本日は地域から相談を受けた内容の中でも、学校に携わる方々にとって関心の高いものとなります。
当方の場合、川崎市議会第2回定例会期間中、平日日中帯はほぼ議会対応で拘束状態にある為、平日であれば夜、土日に市民相談を集中して受けております。
日々多く頂くご相談の中でも、同じような課題を抱えている地域は多いだろうなと思えることも多々あります。
その課題解決の為に議会で取り上げることもあれば、時には行政のみならず、民間企業、地域との調整役に走ったりもします。
今回は、殆どの保護者が通る道である「PTA会費と学校運営」に係るものです。
当方に実際に来る相談としても、「PTA会費で学校の備品購入をすべきなのか?学校式典行事の際の花もPTA会費で出すのが妥当なのか?」等々、PTA会費の使途に関する相談をいただくことがあります。
やはり、教育委員会にもそういった声は届いているようで、令和3年3月25日に教育委員会から各学校長宛に出されている資料、「PTA会費のうち「学校運営や教育環境向上に資する経費」に関する調査結果及び「公費・私費の負担区分」について(依頼)」の中で、学校調査結果の報告と、公費とPTA会費等といった私費をどのような住み分けで区分すべきなのかといった例示をセットで依頼が行われています。
今回は、その資料をベースにお伝えをしていきたいと思います。
読んでくださった方にとって少しでも参考になればと嬉しいです。
PTA会費のうち「学校運営や教育環境向上に資する経費」に関する調査結果
この調査の目的は、以下のとおりです。
そこで、 PTA会費について全市立学校を対象に、※「学校運営や教育環境向上に資する経費」への支出について、実態を把握するための調査を行った。以下、その結果とともに、適切な対応について示す。
(例)学校行事で使用するもの、掻業で使用するもの、 施設・設備・外構部の清掃・補修 等
その結果を見ると分かるのですが、要するに、「一部の学校においては 『学校運営や教育環境向上に資する経費』について、学校徴収金により徴収している実態があった。」また、一部の学校においては、PTA会費の執行について、「PTAから一任されており、学校の裁量で執行できる」といった執行方法が見受けられた。」、それらの支出の中には「学校運営や教育環境向上に資する経費」に該当するものもあった。というものでした。
本来、PTA会費は、PTAの活動のために徴収すべきものであるため、「学校運営や教育環境向上に資する経費」に支出する場合は、会員の同意が必要です。
PTA総会において、前年度の決算及び使途、当該年度の予算及び大まかな使途について説明する等、会員の合意形成を図るように努めることが求められます。
公費と私費の区分について
そういった結果を踏まえて、正しい「公費と私費の区分」について、教育委員会が各学校に示したのが、以下の図となります。
※図中下線が引かれている部分が、以前(7年〜10年位前?)に出しているものからの加筆修正内容です。
実はこの図「公費と私費の区分(例示)」は、今回初めて学校宛に出しているものではなく、過去(7年〜10年前?)に同じものを通達していました。
通達当初は是正されたのかもしれませんが、一部の学校においては、時間と共に緩んできたのか、現在においては結果的に正しい運用がされていない現状であることに加えて、時代の変化と共に若干の修正を加える必要があった為、令和3年3月に改めて通達した形となります。
例えば、その他学校行事(卒業式等)では、公費・私費両方に「式典用花」が書かれています。
公費では、式典用花(会場の飾り等行事運営に必要な花)と記載があり、
私費では、式典用花(団体からの寄贈によるもの)と記載があります。
つまり、基本的な会場を飾る花等については公費で出しながらも、各学校やPTA等団体によっては、それ以上のものを用意してあげたいという想いがあったり、例えば、壇上に飾る花についてはPTAから寄贈したい/している、といったこともある為、このように記載されています。
PTA会費から捻出すること自体、一概にダメということではなく、PTAの中でその使途について、自主的に合意形成が図られていることが大切なのだと思います。
各学校によって、これまでの歴史や慣例があるものではありますが、公費としてみるべき部分と、私費負担の部分を明確にしていくことは重要です。この依頼文が各学校における使途の中でしっかり浸透していくこと期待し、その経過を今後も注視していきたいと思います。
また、本来学校が地域や団体から寄附を頂いた場合、「川崎市立義務教育諸学校寄附取扱規則」という規則に基づいて、決まった書式で1枚ぺらの書類を書いてもらって受付を行えば良いのですが、そういったことが徹底されていなかった実態もあると思います(書類は作らず、口頭で寄附を受納していた等)
そうすれば、学校がいくらの寄附を受け取っていて、その寄附はどのような使途で使われたのかがわかります。
GIGAスクールなどのデジタル化の流れや、学習指導要領の改訂、コロナ対応及び新たな社会変容への対応など、やらなくてはいけないことが沢山ある一方、基本的な規則の徹底や遵守がこういった分野ではまだまだ浸透していない学校もあるのだと考えさせられます。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。