予特②中学校給食とみどりの食料システム戦略〜有機農産物活用について〜

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みなさん、こんばんは。川崎市議会議員(宮前区選出)の矢沢孝雄です。

 

今回は任期最後の議会、令和5年川崎市議会第1回定例会(2/27〜3/17)において、予算審査特別委員会で取り上げた内容についてご報告させて頂きます。

 

以下が今回取り上げたテーマとなります。

 

① 市内公園&小学校におけるバスケットゴール設置拡充について
子どもたちが地域の中で気軽にバスケットボールを楽しめる環境整備を提言しています。その中で、漸く御幸公園と鷺沼公園での実証実験が開始され現在に至っています。ですが、行政が示す条件に最も合致している公共施設として、小学校があります。教育委員会においては、みんなの校庭プロジェクトが進む中、今後開放されていく校庭におけるバスケットゴール設置状況を確認、推進しました。
 
② 学校給食における有機農産物の活用について
川崎市中学校給食当初から取り組んできた「市内産農産物の活用」について、これまでの成果等を総括するとともに、国の「みどりの食料システム戦略」における減農薬・減化学肥料・有機農産物拡充等に触れ、川崎市中学校給食の活用を検討するため、国の補助制度を活用したコーディネーター設置を提案。みどりの食料システム戦略に基づき、全国の農業従事者を応援していく取組推進を川崎市が行えることという視点で取り上げました。
 
③ 都市計画道路横浜生田線(水沢工区)開通に向けた状況について
令和5年度予算案に、当該都市計画道路開通に向けた予算として、約63百万円が計上されています。次年度事業内容と今後の取り組みを確認致しました。

 

今回は上記の中から、「② 学校給食における有機農産物の活用について」をご報告させて頂きます。

 

これまでの学校給食への取り組みは以下からご覧いただくことが出来ます。

 

川崎市中学校給食開始から3年が経過!!〜稼働状況や今後の課題について〜

2021.05.19

2018年が3センターフル稼働元年!〜中学校給食用の川崎野菜の活用は9.3トンに拡大〜

2018.12.20

視察報告②〜先進的な取組!学校給食における食物アレルギー管理システムについて〜

2018.08.08

中学給食「おいしい」8割〜新聞記事から見える議会活動〜

2018.03.24

順調に推移!!学校給食における市内産農産物の活用について!

2017.12.22

【都市農業と食育】中学校給食x地産地消を川崎市から進める!!

2017.11.16

安全安心な学校給食に向けて!川崎市健康安全研究所を視察!

2017.04.18

川崎市中学校給食を体験!〜正直お腹いっぱい!!〜

2017.01.27

川崎市中学校給食〜食育効果高める運営を〜

2017.01.24

第4回定例会で取り上げた内容〜学校給食 X 地産地消〜

2016.12.21

 

② 学校給食における有機農産物の活用について

以下、実際の予算審査特別委員会での質疑の様子です。

 

矢沢たかお
 13款7項3目学校給食事業について、教育次長に伺います。
令和5年度予算案では、学校給食物資購入費として約58億円が計上されています。学校給食については、2016年12月議会において、初めて学校給食における市内産農産物の活用を提言させていただきました。結果、現在の第4次川崎市食育推進計画に「中学校給食における統一献立で市内産物を活用する」という目標を明記頂くことが出来、以降、順調に市内産農産物の活用が推進されてきました。
 そこで伺いますが、令和4年分中学校給食で使用した農産物の内、県外産、県内産、市内産の購入数量、割合、金額を伺います。

 

中学校給食についての御質問でございますが、令和4年1月から12月までに使用した農産物のうち、県外産の購入数量は約632トン、購入割合は約89%、購入額は約1億8,346万円、市内産を除く県内産は約57トン、約8%、約1,044万円、市内産は約21トン、約3%、約654万円となっております。

 

矢沢たかお
   
(市内産農産物活用が順調に進んでいるスライドを解説)
 
 市内産農産物の活用推進について、これまでの成果に対する教育現場での効果と今後の取り組みを教育次長に伺います。

 

市内産農産物についての御質問でございますが、各学校におきましては、給食において市内産農産物を使用する際には、献立表や食に関する指導などを通じて生徒へ紹介しており、生徒からは「学校の近くで野菜が作られていることを初めて知った」、「家庭でも市内産野菜を食べてみたい」などの感想が寄せられているところでございます。
また、新鮮で、環境への負荷が少ない市内産農産物の使用は、生徒の、地産地消の意義への理解にもつながっているものと考えております。
今後も、食生活が自然の恩恵や食に関わる人々の様々な活動の上に成り立っていることについて、児童生徒の理解を深め、感謝の心を育むよう、市内産農産物を使用した学校給食を提供してまいります。

 

矢沢たかお
 次に、学校給食への有機農産物の活用といった視点で伺って参ります。
我が会派の代表質問では、現在国が進めている「みどりの食料システム戦略」について伺いました。
 「みどりの食料システム戦略」について、経済労働局からは「将来にわたって食料の安定供給を図り、環境と調和のとれた食料システムを確立するため策定され、本市においても化学肥料の抑制によるコスト低減と環境配慮の取組等が重要である」と答弁を頂いています。「みどりの食料システム戦略」では、我が国が2050年までに目指す姿をいくつか掲げている中で、輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料の使用量を30%低減させること、耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を25%(100万ha)に拡大することが掲げられています。
 そこで先ず、経済労働局に伺いますが、国はなぜ化学肥料の使用量を低減させようとしているのか、なぜ有機農業を拡大させようとしているのか、その理由について生産者、消費者それぞれにとってのメリット含め詳細に伺います。

 

 農産物における化学肥料の低減等についての御質問でございますが、国は、「みどりの食料システム戦略」において、農業における環境負荷軽減に取り組み、環境調和型の生産を可能にし、将来にわたる食料の安定供給の確保を目指すために、化学肥料の使用量の低減や有機農業の取組拡大等を推進することとしております。
 取組によるメリットにつきましては、輸入割合の高い肥料原料の調達において、国内生産への転換が進むことにより、持続的な農林水産業の基盤構築につながるとともに、生産者にとっては、未来の子どもたちに豊かな環境を残し、環境に配慮した農産物を消費者に届けること、消費者にとっては、有機農産物など環境に配慮したものを選ぶことが地球の環境を守ること等、それぞれの活動の中で環境を意識するきっかけになることを期待する、とされております。

 

矢沢たかお
 これまで学校給食において、国では「学校給食地場産物使用促進事業」を令和3年度より実施をしてきました。また、令和4年4月には有機農産物活用を推進する為の法律「環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律」が成立されたことにより、これからの学校給食においては、地場産物と同様に、有機農産物の活用の推進が期待されています。学校給食における有機農産物活用の意義を教育長に伺います。

 

 有機農産物についての御質問でございますが、農林水産省が策定した「みどりの食料システム戦略」におきましては、化学肥料や化学農薬を使用しない有機農業は、持続可能な食料システムを構築するための手法のひとつとして位置付けられておりますことから、学校給食において有機農産物を使用することは、「食生活が自然の恩恵の上に成り立つものであることについての理解を深め、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養う」などの、学校給食法に規定された目標に沿うものと認識しているところでございます。

 

矢沢たかお
 川崎市の学校給食においても有機農産物の活用を検討していただきたいところですが、一方で、市内の有機農産物では到底、学校給食として提供するだけの量が確保できないことから、活用については、これまで本市が進めてきた市内産農産物活用と異なるアプローチが必要と考えています。
 中学校給食だけでも一日に3万3千食を提供する本市において、市内産だけで有機農産物を用意するのは出来ませんし、仮に月に1回、1品だけといった活用の仕方だとしても現状、現実的ではないと認識しています。
 そういった中、国として進めている事業に対して、本市として行えることは、全国という視点に立って有機農産物を使用、消費を通じて、全国の有機農業を後押ししていくことかと考えています。
 文科省健康教育食育課に確認したところ、これまであった地場産物を活用する際の課題を解決するために必要となる経費を補助する仕組みであった「学校給食地場産物使用促進事業」における「コーディネーターの配置経費」の対象要件に、令和5年度予算より、有機農産物を活用にあたってのコーディーター配置経費も新たに加わるとのことで、文科省としても、学校給食における有機農産物活用を推進しています。
 また、農水省においては、「有機農業推進総合対策緊急事業」として、生産者が有機農業に取り組む場合の掛かり増し経費分を支援する事業も取り組まれています。
 こういった制度を活用し、本市としても、学校側と生産・流通側との調整役を担うコーディネーターを配置し、今後時間をかけて、学校給食における有機農産物活用の可能性を検討すべきではないでしょうか。教育長の見解を伺います。

 

 学校給食についての御質問でございますが、有機農産物は、一般的に流通量が少なく、高価なものが多いことなどから、本市のような大規模な自治体において、給食食材として有機農産物を安定的に使用することは、様々な課題があると認識しておりますが、学校給食法に規定された学校給食の目標の達成のために有用な食材や学びの手法を検討することは重要であると考えております。
 今後、関係局やJA等の専門機関に、専門的見地からの助言をいただきながら、今後の国の動向、他都市におけるコーディネーターの配置状況、有機農産物の流通量や価格の推移などを注視しながら、国の支援策を活用する可能性について、調査研究してまいります。

 

矢沢たかお
 そして、最後に経済労働局に再度伺います。
 みどりの食料システム戦略では、有機農業だけでなく、化学農薬の使用量や化学肥料の低減が具体的な数字を用いて掲げられています。私自身は農薬のすべてが、化学肥料のすべてが悪いという認識は持っていません。本市内においても有機農業を行っている生産者もいらっしゃいますが、全体からすると僅かであり、地域で日々生産活動されている生産者が作ってくれている美味しい野菜も、殆どが化学肥料を使いながらの農業です。それでも100対0の話ではなく、生産者は減農薬に努めています。化学肥料の割合を減らし、鶏糞・牛糞・馬糞を取り入れながら土づくりをしています。トラックで大量に馬糞を運んでもらって、化学肥料を減らしている畑は、入るとふかふかで、化学肥料割合が多い畑とはやっぱり硬さを感じまったく違います。収穫の際の鎌の入れた時の感覚も違うと言います。ただ農薬も化学肥料もまったく使わない農業は、病害虫のリスク、除草剤なども使えないことによる生産労力、技術・ノウハウ不足などリスクや課題が多く、なかなか生産者の立場では難しいのが実情です。
 それでも、私は「みどりの食料システム戦略」は、我が国の未来にとって極めて重要な戦略だと評価しています。化学農薬にしても、化学肥料にしても、様々な数値目標が設定されています。例えば、全国で0.4~0.5%の有機農業を約30年で25%にするというのは、かなりチャレンジングな目標ですが、化学農薬の使用量目標、有機農業の拡大目標、EUは20年早く進んでいます。この国家戦略を推進するために、本市が出来ることは少なくないと思っています。
 川崎市の都市農業施策においても、みどりの食料システム戦略に直結した現状把握、数字目標設定、技術開発・研究、これらを長期的に進めていく計画の策定が必要なのではないでしょうか。見解と今後の取り組みを伺います。

 

 みどりの食料システム戦略についての御質問でございますが、同戦略につきまして、食料の安定供給と、環境と調和のとれた食料システムを確立するため策定され、本市においても、化学肥料の抑制による環境配慮の取組等が重要であると考えております。
 また、国においては、化学肥料の低減に向け、化学肥料が作物の収量を高めるため多用されていること、その原料を輸入に依存していること、化学肥料の代替となる資源が畜産業の盛んな地域に偏在していることを課題として挙げております。
 本市における環境負荷の低減に係る取組につきましては、化学肥料の低減、及び有機農業に取り組んだ農業者に対して、耕作面積に応じて、補助金を交付し支援を行っているほか、先月「肥料価格高騰時代に対応した堆肥の活用方法」について、専門家を招き、環境保全型農業技術講習会を実施し、およそ20の農業者が参加するなど、これまでに化学農薬や化学肥料の低減や、有機農業の促進を図ってきたところでございます。
 「みどりの食材システム戦略」に関する法律においては、市町村及び都道府県が、共同して環境負荷低減の促進に関する基本計画を作成できることとされており、他都市の動向や、市内農業者及びJAセレサ川崎の意向を踏まえながら、対応を検討してまいりたいと存じます。

今回の質問の成果

 ① 1期目から取り組んできた「市内産農産物の活用」と「食農教育」が順調に進んでいることを確認出来た
 ② 教育長から、有機農産物の使用は学校給食法の目標に沿うものであるという答弁があった
 ③ 今回提案したコーディネータ配置補助事業の活用等、教育長から、国の支援策を活用する可能性について調査研究をしていくとの答弁があった
 ④ 食料安全保障の観点からも重要な「みどりの食料システム戦略」に基づく、市町村及び都道府県が作成できる計画については、今後JAセレサ川崎と対応を検討していくこととなった

 

 予算審査特別委員会の中でも最も長い時間を要した質問です。
 

 

 川崎市議会の議事録を検索していただくとわかりますが、超重要国家施策である「みどりの食料システム戦略」に呼応した議論は、残念ながらほとんどありません。市町村及び都道府県の中では、熊本のようにすでに計画を策定しているところもあります。
 

 

 農地面積は少ないですが、都市農業だからこそという視点、大量消費を通じて需要を生み出し、全国の持続可能な農業を後押しするという視点、さまざまな部分で川崎市から行えることがあると考えます。
 

 

 次期、再び任期を与えて頂いた場合も、引き続き取り組んでいきたいと課題です。
 

 

 また、今回取り上げた内容については、川崎市議会インターネット中継から録画映像としてご覧いただくことが可能です。ただ、2年?3年くらいでアーカイブから消去されてしまい、見ることが出来なくなってしまいます。(当方の映像についてはこれまですべて、本ホームページ「広報紙・市政報告」からご覧頂けるようにしています)

 

※クリックで録画映像URLに遷移致します。

 

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
また次回も宜しくお願い致します。

 


ABOUTこの記事をかいた人

宮前区選出、川崎市議会議員(自由民主党) A型/乙女座/丑年 菅生小・中学校→法政二高→法政大学卒業 2008年4月伊藤忠テクノソリューションズ入社 2014年7月に政治活動に専念する為、同企業を退社 2015年第18回統一地方選挙において初当選。現在二期目。 趣味:剣道四段、空手二段、書道(毛筆三段、硬筆二段)

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