視察報告②〜先進的な取組!学校給食における食物アレルギー管理システムについて〜
みなさん、こんばんは。川崎市議会議員(宮前区選出)の矢沢孝雄です。
本日は昨日のブログでも紹介した視察項目の2番目。
長崎県教育庁が実施している全国でも珍しい先進的な施策である「学校給食における食物アレルギー管理システムについて」を報告させて頂きます。
昨日も記載したとおり、一緒に参加するメンバーで調整して視察項目を設定するわけですが、本日の長崎県庁の項目が私の調査したかった要望項目でした!!
結果から申し上げると、「はい、では来年から川崎市に導入しましょう!」という内容ではありませんでした。導入には課題が多くあり、一つ一つ壁を取り払いながら進めていく必要があり時間がかかりそうです。
ですが、どれも将来を担う子ども達にとって大切な取組だと感じています。
長崎県下の公立小中学校生の食物アレルギー有症率は4.2%!!人数にして4,000人以上で年々上昇傾向!
文部科学省が公表している「学校給食における食物アレルギー対応指針」の基本的な考え方は、食物アレルギーの児童生徒を含め、全ての児童生徒が給食時間を安全に、かつ、楽しんで過ごせるようにすることとしています。
学校給食における食物アレルギー管理システムを独自開発し導入した長崎県によると、県内で給食を実施している公立小中学校の児童・生徒のうち、食物アレルギー有症率は4.2%(2016年度)であり、人数にして4,000人以上にものぼります。定時制(夜間)においては、7.7%(2016年度)。これらの数字は年を追うごとに増加傾向にあり、学校現場では子ども一人一人のアレルギー情報を把握した上で、保護者との連絡調整を行い、対応食を手配するなど栄養教諭の業務負担が増していることがシステム導入の背景にありました。
システム導入による主なメリットは以下のとおりです。
◯配膳時の人的ミスによる誤配食防止のためのチェック機能強化
◯アレルギー情報と食材アレルゲンのマッチング作業の効率化
◯保護者の利便性向上(学校との連絡調整、対応食確認等)
◯栄養教諭等の業務負担軽減及び食育指導のさらなる推進
◯担任等の対応食確認時の負担軽減
約940万円をかけて開発したが、その後の改修作業を含め約1,200万円程度となっているそうです。
全国的にも珍しい部分として、設計自体を長崎県が実施しており開発コストの縮減に取り組んでいる点にあり、県下市町立学校におけるシステム利用については、アレルギーがある子どもたちだけでなく、保護者全員(利用している市役所において予算化して)から徴収している仕組みとなっている点にもある(生徒一人あたり年間35円換算)。
導入にあたっては、現場で活動する栄養教諭の考えるアレルギー対策をどのようにシステム化するかにあたって多くの課題があり、時間を要したとのことです。厚生労働省が定めるアレルギー物質は27品目だが、実際の現場ではこれら27品目だけでは決して十分とは言えず、アレルギー物質が少量入っている場合や、厳密に言えば「例えばカレー」という品目においても、作った人間しかアレルギー物質がどれだけ入っているかがわからない状況にあります。これらをシステム化していくことは非常に困難だという栄養教諭との意見に対して、上記に示したような目的を達成に向け、折衝を重ねた経緯があったという説明を頂きました。
長崎県で導入した本システムは、単独で存在しているわけでなく、実際には献立作成システムとの連携を行い運用されています。川崎市で導入を考えた際には、先ず、献立作成システムがどういった状況なのかを確認する必要があります(市内に3つある中学校給食センター毎に異なるシステムが使われている可能性など)。
導入を考えた場合、多くの課題が存在するが、人的ミスによる誤配食防止のためのチェック機能強化や、保護者利便性の向上、栄養教諭等の業務負担軽減など多くのメリットがあることも確認ができました。
長崎県における取組を参考にしつつ、本市におけるアレルギー対策の現状を確認し、導入の可能性について検討していきたいと思います。
実際の画面イメージが以下のようになっています。
本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
明日9日は大都市税制特別委員会が市役所で開催されます。委員としてしっかり取り組んでいきます。