第2回「特別自治市構想」の課題点と県との見解の違いについて

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みなさん、こんばんは。川崎市議会議員(宮前区選出)の矢沢孝雄です。

 

先日、4月4日(月)の委員会において、正式に令和4年度健康福祉委員会の委員長を拝命致しました。
昨年度は文教委員会委員長、今年度は健康福祉委員会委員長ということで、2年連続の委員長職を受けることになりました。また、会派「自民党川崎市議会議員団」の副団長という役職についても引き続きとなります。

 

新型コロナウイルス対応はもとより、近年では一般財源の中でもその比率が最も多いのが健康福祉局所管の「健康福祉局」「病院局」「消防局」となります。そして、川崎市が進める計画の中でも、最重要施策の一つでもある「地域包括ケアシステムの推進」も中核となって進めていくのもこの所管局となります。

 

一方、現在は議会閉会中。議員にとっては地域活動・市民相談対応・行政視察などに専念できる期間です。
当方も継続的に追いかけて行かなくてはいけない案件や新規案件も含め、連日地域と市役所での仕事を中心に活動しています。

 

さて、少し前置きが長くなってしまいましたが、今回は以前にもお伝えした「特別自治市構想について」です。過去に掲載した記事については、以下からご確認ください。前回は、「特別自治市構想とは何なのか?どのような経緯で現在のような話になっているのか?特別自治市がなぜ必要なのか?」といった点について記載しています。

 

自民党川崎市議団政策提言、そして福田候補の1丁目1番地にある「特別自治市」とは一体何なのか?

2021.10.24

 

今回の記事では、川崎市が公表している最新の市民向けパンフレットの内容、特別自治市構想の課題、県知事と3政令市市長との見解の違いなどについて、以下お伝えをしていければと考えております。尚、本内容については当方の個人的見解も含まれている内容となっていますので、予めご了承いただきますようお願い致します。

 

令和4年3月29日公表!!広報冊子「川崎市は特別自治市を目指しています」

 

令和4年3月29日、川崎市は新たな広報冊子を発表致しました。

 

 

本冊子は、今年度さまざまな場所で行政が説明に入る際に使う資料となってきます。特別自治市構想を知る上でわかりやすい構成、資料となっており、当方の前回記事とも重複している部分もありますが、課題点もしっかりと記載されていますので参考になる資料かと思います。

 

詳しくは上記資料をご覧いただきたいと思いますが、川崎市としては市民周知・理解に向けた広報活動が令和4年度の大切な取り組みとなってきます。

 

特別自治市構想の課題について

 

上記の広報誌にも記載されていますが、特別自治市構想を考える上で課題点も存在します。
主な課題点は以下のとおりです。

 

 
① 特別自治市は制度化されておらず法改正が必要
 - 特別自治市実現のためには、地方自治法などの法改正が必要なります。つまり、国会への法案提出、国会での議決が必要となってきます。
 
② 広域的な課題への対応
 - 現在、県域で所管している犯罪捜査などの警察業務については、特別自治市を目指す横浜市、川崎市、相模原市で考え方のすり合わせが必要となってきます。横浜市は横浜市警を設置する考え方も含めておりますが、川崎市においては警察業務は範疇には現状含めていません。引き続きの協議調整が必要な分野です。
 
③ 周辺自治体への影響
 - 特別自治市移行に伴い、川崎市域におけるすべての地方税を一元的に賦課徴収することになりますが、これにより、県に財源不足が生じた場合には、地方税財政制度の中で、地方交付税などにより措置されるものとなります。(※この点については、県と政令市間で見解の違いが発生していると考えています)
 

 

さらに、第30次地方制度調査会(通称:地制調)では、特別自治市構想について「二重行政の完全解消など意義はある」とされた一方で、「現行の指定都市の区と同様の区では住民代表機能が不十分」といった指摘もされています。

 

なので、上記3点の課題はあくまでも川崎市目線での課題と理解した方がよく、別視点で見た場合にはこういった指摘もされていることは認識しておいた方が良いと考えています。

 

では、特別自治市構想について横浜・川崎・相模原と神奈川県との間ではどのようなやりとりが行われているのでしょうか?見解の相違が発生している部分も含めて、見ていきたいと思います。

 

神奈川県知事との見解と3政令市市長の見解の違いについて

 

昨年、令和3年2月16日の県議会における知事答弁に端を発し、神奈川県下で特別自治市構想を目指す3政令市と、県知事の間での応酬が表面化した気がしています。

 

当時の県議会においては、知事は特別自治市構想について「県が担うべき総合調整機能が分割・分断されるようなことになれば、県内全域における住民サービスの低下が懸念される」と指摘。また、県内では都市部と町村部で税源に偏在があるとし、財源の再配分機能が弱まることで行政サービスの低下を懸念されました。

 

これに対して、令和3年2月26日、3政令市は市長名にて県知事に対して「特別自治市に関する質問について」を実施。その1ヶ月後、同年3月31日付で県からの回答がなされましたが、県からの回答は3政令市にとって納得が出来るものではなく、同年4月20日に3政令市から「特別自治市に関する回答への認識について」が県知事宛に送付されました。当時のやりとりの実際の文書が以下となります。

 

 

あくまで個人的な見解ではありますが、当方が見ても県からの回答を理解するのに苦しみます。特に、1つ目の質問に対する回答。
ざくっと申し上げてしまうと、これは地方自治法上、県の機能として位置付けされていない「税財源の偏在性の是正(再配分機能)」を県が行なっていることを念頭に行われた質問ですが、その回答を理解するのは非常にムズカシイ。。。政令市から見ると、法律に則って存在しているのが国の地方交付税制度であり、再配分が二重に発生している状態であることを指摘しています。

 

3政令市としては、埒が明かないと感じたのでしょう。その後、3政令市としては、県知事+3政令市のトップ会談を要望し調整しましたが、県知事が一度はこれを拒否。現在は、実務者レベルでの協議調整を実施していこうといった状況となっていた中、令和4年3月16日神奈川県は「特別自治市構想に対する神奈川県の見解」を公表。それを受けてすぐに、3政令市として令和4年3月17日に緊急声明を実施したという流れになっています。

 

4月8日時点の情報では、5月初旬に県知事+3政令市のトップ会談が実現される見込みとのニュースが入ってきています。

 

特別自治市構想に対する神奈川県の見解に対する緊急声明

 

令和4年3月16日神奈川県は「特別自治市構想に対する神奈川県の見解」を読むと、3政令市との見解の違いがどの程度なのか、その深さがよくわかります。次回は、「特別自治市構想に対する神奈川県の見解」について、深掘りしてお伝えできればと考えています。

 

次回は・・・

 

特別自治市構想については、長期の取り組みとなる可能性が高いものですが、不定期ではあるものの、今後も今回のように記事をあげていきたいと思っています。

 

次回は、①「特別自治市構想に対する神奈川県の見解」の文書について深掘りをしていきたいと思っていますが、他にも、現在検討されている特別自治市に関する法改正の内容などについてもどこかでお届け出来ればと考えています。

 

今回も最後まで読んでいただき、有難うございました。

 


ABOUTこの記事をかいた人

宮前区選出、川崎市議会議員(自由民主党) A型/乙女座/丑年 菅生小・中学校→法政二高→法政大学卒業 2008年4月伊藤忠テクノソリューションズ入社 2014年7月に政治活動に専念する為、同企業を退社 2015年第18回統一地方選挙において初当選。現在二期目。 趣味:剣道四段、空手二段、書道(毛筆三段、硬筆二段)

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