視察報告①〜小樽港将来ビジョンとクルーズ推進事業について〜

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みなさん、こんばんは。川崎市議会議員(宮前区選出)の矢沢孝雄です。
 
今年も8月6日から7日にかけて、自民党会派の有志での視察を実施致しました。
場所は、小樽市と札幌市。
 
視察内容は以下のとおりです。
小樽市 ①小樽港将来ビジョンと②クルーズ推進事業について
札幌市 ③不妊症・不育症治療の助成支援事業について
 
視察項目はどのように決めているかと言うと、一緒に行く議員それぞれで注力している内容や、注目している事業をピックアップ・調整をして視察項目を決めます。
本日は、小樽市視察項目「小樽港将来ビジョンとクルーズ推進事業について」、その視察実施内容について取り上げたいと思います。
※しっかりとした視察報告書は視察項目毎に作成し、議会局に提出することになっていますので、ここでは触りだけ。
 

小樽市の概要について

小樽市といえば何を思い浮かぶでしょうか。
港町であり、観光客が多いまち。そして、石原裕次郎記念館があった場所として有名です。
ざっとその概要を把握すると以下のとおりです。

市制施行:大正11年8月1日
面積:243.83㎢
世帯数:63,415世帯(平成31年3月31日現在)
人口:115,621人(平成31年3月31日現在)
財政規模:一般会計572.0億円、特別会計327.4億円、企業会計258.3億円、計1,157.7億円(令和元年度予算)
市議会の構成:定数25名(自民党8人、共産党5人、公明党5人、立憲民主党4人、無所属3人)

年間の観光客数は781万4,200人(平成30年度)に上っています。
 
現在小樽市は、高い技術力を生かした機械、金属製品、家具、木製品や新鮮で豊富な素材等を利用した食品加工品を多く生産し、全国的な販路拡大に努めているとともに、港湾を活用した日本海地域の「物流・人流拠点」として対岸諸国との交流も盛んであるのと同時に、近年では観光地となり、「商工港湾都市・観光都市」の性格を有しています。
 

視察趣旨

上記でも少し記載しましたが、現在小樽港では平成19年11月に策定した「小樽港将来ビジョン」の改定を検討する時期に差し掛かっており、「物流拠点・人流拠点」「商工港湾都市・観光都市」の軸を設けた長期計画を推進しています。
 
取扱量が順調に伸びている川崎市の港「川崎港」において、取扱量増加に向けた取組が多方面で強力に推進されている現状があります。この事は間違いなく市内経済にもプラス面で返ってくるものですので、異論の声は一部の政党のみという状況ですが、他方で物流拠点以外の機能(インバウンド戦略や市民が身近に感じる港視点)を強化するべきという声も少なく有りません。
 
小樽港は、その120年の歴史の中で国内エネルギーを追いかける形で栄え、衰退もしてきた。だが、新しい港の在り方を一丸となって考えていく中で、現在の将来ビジョンを推進することになった。この変遷や現在の物流だけでなく人流を強く意識し、かつ「商工港湾都市・観光都市」を目指し続けて、進化をしている小樽港を視察することで、今後の川崎港を考える上にあたって知見を広げることに繋がると考え視察を実施しました。
 

小樽港将来ビジョンについて

国内のエネルギーがほぼほぼ石炭だった時代、これを運ぶことが小樽港の主な役割として栄え、最盛期には人口20万人を超える自治体だった。また、日本海側に面して大陸側との関係で一気に栄えたが、第二次世界大戦以降は衰退期に。その後、本州へのフェリー港、飼料工場、穀物原料を運ぶことで再び活力を取り戻す時期となったが、道内経済の長期にわたる低迷や、産業構造、輸送形態の変化により、商港としてかつてない厳しい状況におかれている
 
さらに小樽港と隣接する石狩湾新港との関係も重要に。石狩湾新港は、小樽市、石狩市、北海道県の共同事業として実施しているが、共同事業体だからこそのメリットとデメリットが存在している。単純な競争相手とはなり得ず、小樽市として小樽港と石狩湾新港の2つを持っていることに難しいところがある。どうしても機能分担をせざるを得ないと考えて実行してきたが、港はあくまで民間主導なのでそれが機能しなくなってきた状況。
さらに現実的には、北海道の穀物は苫小牧港にほぼ奪われている状況であり、2億トンの半分は苫小牧港が担っており、こういった背景があって、現在のビジョン策定に至っている。
 
以下の資料のとおり、ビジョンに基づく港湾空間の基本ゾーニングは、「概ね5年軸」と「概ね20年軸」の2本で成り立っており、現在は20年軸完成に向けて進んでいる。
 

 
当方が感じた将来ビジョンの特徴を記載してみると、こんな感じです。
 

  ・「物流の活性化、まちづくりとの連携、石狩湾新港との連携」の三本の柱によってビジョンを位置付けている。
・物流・産業ゾーンと交流・生活ゾーンを明確に分け活用を広げている。
・立地上、クルーズ船誘致には物凄く向いている場所である為、埠頭毎に機能を分けている(3号埠頭はクルーズ船停泊専用として使用)
・物流産業ゾーンと交流生活ゾーン、ビジョン推進に向かいながら徐々に物流ゾーンを減らし、交流生活ゾーンを増やしている
・貨物取扱量が減っていく中で、埠頭・岸壁などの機能は不要となるが、そこを公園などに変えていく方針
・観光施策を推進していく上にあたっては、小樽市だけでなく観光協会などとも連携して協議会を設立している
・現在「まちづくり会社」を設立したらどうかという提案を受けている。市として出資しそこで稼いで、まちづくりに回していく形であり検討している。

 

小樽港クルーズ推進事業について

これまででも一部記載していますが、小樽港の特徴は

  • 北、西、南の三方が山に囲まれている天然の良港
  • 中心市街地に大変近く、小樽運河やガラス工房など道内有数の観光エリアも徒歩圏内にある
  • 国道や高速道路、JRの駅からも近く、新千歳空港からJRで1時間程度と北海道内の観光エリアへのアクセス、発着港としての利用にも大変便利な立地

 
こういった特徴を有している中で、クルーズ船誘致を本格化させ地域経済の活性化を推進させる為に、平成25年度に「小樽港クルーズ推進協議会」を設立。
継続して、客船誘致促進事業として、国内外の船社等訪問や視察対応、東京でのクルーズセミナー、海外船社幹部招請時の小樽港や周辺観光地のPR活動、マイアミで開催される世界最大規模のクルーズ見本市等への参加、など積極的に取組を進めています。
 
小樽市提供の以下クルーズ船の寄港実績資料を見ると、協議会設立後は国内だけでなく、外国客船寄港実績が伸びていることがわかります。
取組の中で、なるほどなぁと思ったところとして、「受入体制整備事業」というのがあります。
 
この受入体制というのが、まさに観光施策には欠かせない「ホスピタリティ」だと教えて下さいました。

  • 出迎え、見送りの実施(小樽クルーズ客船歓迎クラブ 会員数約630人)
  • 寄港時の対応(通訳、観光案内、物産販売、外貨両替、アトラクションなど)
  • 安全で快適なふ頭環境づくり(ハイヤー協会等との連携や安全対策、移動式Wifiスポット設置など)

小樽港の取組は、北海道新聞を中心に何度も掲載されています。
 

小樽港へのクルーズ船の寄港実績

 
現在、川崎港ではオリパラに向け、大型クルーズ船誘致の交渉を進めている状況です。
その中でも今後の課題とされているのが、川崎港に宿泊したお客様達が「川崎港で何を楽しむか?どうお出迎えするか?」というところです。
 
小樽港では、ふ頭におけるミニ縁日(ふ頭の夜のにぎわいづくりの為、地ビールやホタテなどの海鮮焼きなどのミニ縁日を展開)など、年数を重ねることで得てきた経験と実績があります。
こういった点は今後の川崎港でも非常に参考になるのではないかと感じています。
 

小樽港で行われたミニ縁日の様子※小樽市提供資料より

 

人流。市民交流・生活を隣接する考えとインバウンド戦略は川崎港でも参考に

2018年に公表した川崎市臨海部ビジョンにおいて、今後の川崎港を含めた臨海部の30年間をまとめています。特徴的な箇所は多数あるわけですが、ビジョン策定にあたって「バックキャスティング」を手法として取り入れています。
 
小樽港は港町であり、衣食住が港と極めて近いところにある。人々の生活の中に港は密接に関係しています。
一方、川崎市における川崎港はというと、現在そういう状況には市民認識はありません。
産業集積、世界を舞台にした最先端技術の集約、自治体間連携、まさにこういった視点が重視されています。
 
ですが、現在なくても将来に向けて意識していかなくてはならない部分だと感じています。
それは川崎市臨海部ビジョンにも記載されていますが、そこで働いたり関わったりする方々の環境を良くするという視点です。人が集まってくる場所にする為には、「職住近接がキーワードになります。
 
さらにはインバウンドの視点。
クルーズ船寄港実績をいかに伸ばす事ができるか、誘致をどのように行うべきか、来て下さったお客様にどう喜んでもらうか等、こういった小樽港の考え方を詳しく知ることができたこと、そして現地を視察させて頂き感じた事を今後も市政の中で活かせるよう努めてまいります。
 
本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
 


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