今後10年〜で大きく変わる!!川崎市中央卸売北部市場(宮前区)の今後について

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みなさん、こんばんは。川崎市議会議員(宮前区選出)の矢沢孝雄です。
 
第5回定例会期間中ではありますが、今回は宮前区にある川崎市中央卸売市場北部市場についてお伝えしていきたいと思います。
地元では北部市場と呼ばれ、基本仕入れに来るプロが利用する施設となっている為、一般市民が市場に入って買い物できるの?と思われる方も多いかと思います。現在は、市民の卸売市場への理解を深めて為の取り組みも必要ということで、関連事業者の店舗・食堂等については、午前8時から午後1時まで(休市日✕)、一般の方にも開放しています。

 

新鮮な生鮮食料品が多く流通する北部市場には、「水産・関連・青果・花き」と分かれており、場内では下のような配置となっています。
 

※クリックするとPDFページに遷移致します。

 

中央卸売(北部市場)のポジション

中央卸売市場とは、卸売市場のうち、卸売市場法の規定に基いて、農林水産大臣(農林水産省)が認可・監督し、取扱高など一定の条件を満たす地方公共団体が開設するものを言います。中央卸売市場を持つ自治体は、長期的に見ると減少傾向にあります。2008年(平成20年)時点で52都市82市場、2011年(平成23年)4月1日時点で、44都市に72市場、2017年(平成29年)6月現在では40都府県市が開設する64市場に集約されています。

 

全国で64ある中央卸売市場の一つが、川崎市中央卸売市場北部市場となります。
以下、日本地図にプロットしてあるのが、全国の中央卸売市場となります。川崎市が持つ中央卸売市場としては1箇所ですが、全国には1自治体で複数の中央卸売市場を持つところもあります。
 

※クリックするとPDFをご覧いただけます。

 

次に、北部市場の取扱高等、全国的なポジションを見てみたいと思います。(平成27年度取扱高データ)
 

※クリックするとPDF資料をご覧いただけます。

 

中央卸売市場を持つ全国40自治体の中で、取扱高15位という位置付けです。この資料を見ると、東京都が圧倒的ではありますが、年間572億円の取扱金額があるというのは非常に重要な位置付けと言えます。やはり北部市場に関しては、東名高速に近く交通の便に恵まれている点、そして地図を見ても分かる通り、首都圏の西部に位置しているという立地特性が優位点としてあるからだと思います。

 

北部市場、これまでの経過

北部市場は昭和57年業務開始、現在に至っています。敷地面積約17万平米。
竣工後40年近くが経過し、市場自体の老朽化への対応が場内事業者から求められ続けています。

 

とはいえ、市場だけでなく、様々な公共施設に共通する話ではありますが、「老朽化してきたので、すぐに建て替えましょう」とはなりません。どこの自治体でも同じですが、今後公共施設(社会教育施設や学校施設などの公共建築物、道路、橋りょうなど、様々な施設)については、建替え等の老朽化対応が右肩上がりの状況になることが見えていた為、川崎市では2013年に財政負担減を理由に「公共施設の適切な保全を行うことで、建替え等をせずに長寿命化を図り、財政負担の縮減、平準化を目指す」資産マネジメントカルテという取り組みがスタートしました。

 

以降、市内施設においてはほぼ全て「長寿命化」というのがキーワードになっています。

 

現在、よく市内の学校の建替え工事が行われている場面を目にすることがあるかもしれませんが、これも実は建替えではなく「長寿命化」の取り組みとなっています。なので、学校施設については躯体はそのまま活かし、大規模なリノベーションを順繰りに行っているイメージが正しいと思われます。

 

話が脱線しました。

 

では、川崎市中央卸売北部市場ではどうなのか??
これを考えてきたのが、これまでの期間です。ざっとではありますがこれまでの北部市場に関係する流れを時系列で追って見ると、

 

・平成27年度  川崎市卸売市場経営プラン策定(今後10年間の方向性)
・平成30年6月  国において大幅な規制緩和を伴う改正卸売市場法が成立
・令和元年6月  川崎市卸売市場経営プラン改訂版を公表
・令和2年9月〜12月  北部市場の機能更新に関するサウンディング型市場調査 ← いまココ

 

といった流れとなっています。平成27年度の「市場経営プラン」、そして令和元年6月に公表された「改訂経営プラン」に基づき現在施策が進められています。
その一環として、現在「北部市場の機能更新に関するサウンディング型市場調査」が行われています。

 

サウンディング型市場調査とは何か

 聞き慣れない調査名ですし、どの都市でも効果的に使えるような調査方法では無いため、ご存知ない方がほとんどだと思います。
簡単に説明すると、サウンディング型市場調査とは、民間事業者から施設再整備に関する提案を受け、効率的・効果的な再整備及び機能強化を検討する為の調査です。行政で示した当該公共施設の現状、課題、目指したい方向性に対して、最終的には行政が責任をもって基本計画をつくるわけですが、その内容をより良いものにするため、最適な施設再整備を民間事業者から提案をいただくといったものです。

 

今回のサウンディング型市場調査では、北部市場に対して、「①全面、一部建替(長寿命・高機能化)など再整備のパターンと施設配置、民間活用の手法」「②整備後の維持管理・運営の業務範囲」「③発生した余剰地の活用法」について、民間事業者に提案を求めています。

 

敷地面積約17万平米に対する提案ですので、提案するだけでも相当な体力(時間・コスト)が必要です。おのずと、提案可能な民間事業者は、名のしれた大手企業となってくることが予想されます。事業者がプリで時間とコストをかけても提案する理由は、市が公表する基本計画(名称は?)に自社の強みなどが色濃く出るよう盛り込んでもらうことが考えられます。でなくては、提案するメリットがありませんので。

 

実は、このサウンディング型市場調査ですが、近年になって川崎市ではさまざまな場所で活用されています。下記、市のホームページから現在予定されているサウンディング型市場調査の具体的な事案がのっていますので、気になる方はご参照下さい。
サウンディング型市場調査 募集情報及び実施状況

 

北部市場においては、上記のような形で、本年9月にサウンディング型市場調査内容が公表され、12月中に民間事業者からの提案を頂く予定となっています。

 

今後について

 サウンディング調査による事業者からの提案調査を12月中に実施し、以降その提案内容を含め、施設再整備等に関する検討を深度化していきます。
その後のスケジュールですが、2021年度中に基本計画を策定し、22年度に整備事業者の公募・選定を予定。26年度中に着工し、33年度以降に完成するとのことです。

 

めちゃくちゃ長い・・・。10年以上ではないですか。。。につきます。

 

ですが、築地と豊洲の関係のように、北部市場の代替地があるのであれば再整備自体はそこまで時間がかからないのでしょうが、現在の市場機能も継続しつつローリング整備、段階的な整備となるため時間がかかるとのことです。

 

とはいえ長い。市場を巡る環境は目まぐるしく変わり、様々な技術革新などもある。場内事業者にとって(恐らく、サウンディング型市場調査に参加する民間事業者にとっても)10年以上先の完成は長過ぎると思っているのではないでしょうか。再整備の方向性自体は期待していますが、現在でさえ老朽化が著しい施設で今後さらに軽く10年以上商売することになる場内事業者の営業環境の改善はしっかり市として継続的に行っていく必要があると考えます。

 

川崎市にとっても、宮前区にとっても、そして地域にとっても、非常に大きな計画です。
北部市場を舞台とした「新たなまちづくり」が今後展開されるわけですので、市民からきっと大きな期待が寄せられることになるかと思います。

 

宮前区に関係するまちづくりは今後10年間で大きく変わっていきます。

 

鷺沼駅周辺再開発も約10年。横浜市営地下鉄3号線延伸に伴う中間新駅設置(ヨネッティー王禅寺)も約10年。向ケ丘遊園跡地における小田急電鉄再開発も5年。

 

そして、中央卸売北部市場。引き続き、注視してまいりたいと思います。

 

今回も最後まで読んで頂き、有難うございました。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

宮前区選出、川崎市議会議員(自由民主党) A型/乙女座/丑年 菅生小・中学校→法政二高→法政大学卒業 2008年4月伊藤忠テクノソリューションズ入社 2014年7月に政治活動に専念する為、同企業を退社 2015年第18回統一地方選挙において初当選。現在二期目。 趣味:剣道四段、空手二段、書道(毛筆三段、硬筆二段)

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