みなさん、こんばんは。川崎市議会議員(宮前区選出)の矢沢孝雄です。
さて、今回の記事は本年2月〜3月にかけて行われる川崎市議会第1回定例会で上程される予定となっている「川崎市地球温暖化対策の推進に関する条例」の改正案(太陽光パネル設置義務化条例)にあたって、一つの問題点でもある廃棄問題について、本市にある東京パワーテクノロジー様のご協力も得ながら、100%リサイクルの実態について視察してきました。
実際の視察の様子については、撮影許可を得て動画として掲載しましたので、以下よりご確認ください。
太陽光パネルの種類と特徴
太陽光パネルは、シリコン系と化合物系に分かれており、2020年時点の生産状況においては、シリコン系が全体の96%を占めていると言われています。
市場生産の96%を占めているシリコン系の中でも、160~200μm(マイクロメートル)程度の薄い単結晶シリコンの基盤を用いている「単結晶」型が82%、単結晶シリコンが多数集まってできている「多結晶」型が14%と言われています。
当該施設において100%リサイクル処理しているのも殆どがこのシリコン系「単結晶」「多結晶」とのことです。
変換効率が高いのが単結晶型である為、現在戸建の太陽光パネルとして使われている多くは単結晶となります。
太陽光パネル設置義務化条例が仮に施行されると、将来にわたって、シリコン系単結晶型のパネルを設置した家が増えてくることになります。
一方で、銅・インジウム・セレンを原料としたCIS/CIGS系、カドミウム・テルルを原料としたCdTe系、ヒ素を原料としたGaAs系(宇宙用等の利用に限られ、一般利用されていない)は「化合物系」と分類されています。
生産量は圧倒的にシリコン系が多いことは前述しましたが、現在でもわずかではありますが、化合物系も生産されているとのことです。(生産量比率:CIS/CIGS系・・・0.1%、CdTe系・・・3.4%、GaAs系・・・0%)
住宅用パネルの廃棄について
条例案では、これから住宅建設にあたって、一定の規模を有するハウスメーカーについては、太陽光パネル設置義務化をお願いすることになります。
住宅用パネル設置が進む事で、設置だけでなく「廃棄」について、専門事業者はどのように考えているのでしょうか。
東京パワーテクノロジー様の見解では、住宅用パネルの廃棄については、現状ではまだ廃棄されておらず、実際はパネルを乗せた建物の解体等に伴い廃棄が出てくるとのこと。
排出量が小口にならざるを得ない上、三角形など特有の形状もあり、ロット化しづらくリユースには不向きとのことでした。
ただ、東京パワーテクノロジー様では、パネル1枚から処理注文OKで、少数でも安い値段での受け入れとのことです。
素人目線でも気になるのが、こういった100%リサイクルできる廃材(パネル)は、他の建設廃材と一緒に処理されてしまわないかということです。住宅解体の時によく目にするのは、ブルドーザーやユンボで家屋を解体している絵ですが、太陽光パネルも結局一緒に解体されてしまうのでは?という懸念が残ります。
東京パワーテクノロジー様もおっしゃっていましたが、住宅用パネルの所有者等が、廃棄時に適切に対応できるようリサイクル方法・費用等をわかりやすく発信するほか、消費者相談対応の体制も必要性、消費者が正しく廃棄することを促す為の仕組み(インセンティブ付与等の活用)をつくり、正しく誘導していくことが今後の社会に求められると感じました。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
太陽光パネル設置議案については、大きなテーマですので、また関連した内容を取り上げてまいります。