ねりまの都市農業施策〜農業所得UP進んだ取組〜
みなさん、こんばんは。川崎市議会議員(宮前区選出)の矢沢孝雄です。
本日は視察報告です。
近隣都市である「東京都練馬区」を視察させて頂きました。
何の視察かというと、先進的な取組でメディアにもよく取り上げられる都市農業関連施策です。
川崎市においても都市農業施策はJAセレサ川崎協力のもと、推進されている現状ではありますが、今後さらなる取組が求められています。
東京23区の中で板橋区から分かれて一番若い区となっている練馬区は、その中でもかなり特徴的で取組が最も進んでいると言われています。
今回はそんな練馬区の視察を通じて、川崎市の都市農業発展に向けた議論につながればと考え視察を実施致しました。
今回の主な視察項目
ねりまの農業体験農園
農の学校
世界都市農業サミットin練馬
ねりまの農業、その概要について
・令和元年現在、農地面積203haの内、180haが生産緑地、残りが宅地化農地となっている
・練馬は大根のイメージがあるが、キャベツ(ねり丸キャベツ)が東京都内NO.1。市場出荷も行っている
・ブルーベリー観光農園をJAと一緒に推進をしてきた
・伝統野菜である「ねりま大根」は病害虫の問題と引き抜くのが大変な品種であるため、衰退していた時期があったが、近年伝統野菜として復活してきた経緯がある
・果樹アルファーム(観光農園)、関東ローム層に合っていたブルーベリー、摘み取りが大変だが観光化することで、お金を払って摘み取りをしてもらう事ができる
・都内23区で唯一の牧場である乳牛がある取り組みも進む
・練馬大根引っこ抜き競技大会→収穫が大変なので大会化して給食でも提供している(一石三鳥イベント)
・市民農園、区民農園は募集倍率平均1.5倍程度。倍率高いところだと3倍。今後も倍率高いところを中心に今後も農園を増やしていく
◎ねりまの農業体験農園について
・園主主導型開設農園(畝売り) → (川崎市の)あぐりっこ農園に近い
・元々は生産緑地30年問題の対策として、貸借円滑化にあわせて区内農家の発案ではじまった
・年間5万円で利用。区民の場合は3万8千円。差額は練馬区補助。
・コミュニティの形成が図られる。勝手に仲間づくりができる。
・区画数及び、農園数が非常に多く、区全体の農地面積から考えると多くの割合で実施されていることがわかる
・借り手主体のコミュニティが形成され、収穫した野菜をこども食堂とタイアップしている取組も出てきた。
・ここ10年で頑張って取り組んでいるのが、ねりマルシェ。区事業として年間1回やっている
※それぞれの農家がやっているマルシェを集めて、5年目「ねりマルシェ」農家主体で7団体程度をまとめてイベントを実施したのが、ねりマルシェ。
◎農の学校について
平成27年3月開校
・支えて育成の為に開校した
・ねりま農サポーターを育成
・4年間で70人、マッチング成立述べ41件
・自ら区内農業を担いたいと希望する区民が就農できるよう、農業技術習得の機会を拡充したい
・都内31自治体で都市農地保全推進自治体協議会(ねりま区が発起人)
・今後の都市農業課題は①農業経営改善、②担い手対策、③地域住民理解
・③の課題へのソリューションとして「世界都市農業サミット」
◎世界都市農業サミット(11月29日〜12月1日)について
・ニューヨーク、ロンドン、ジャカルタ、ソウル、トロント(移民を受け入れて拡大してきた街)
・いずれも都市部であり、都市と農地が共存し一体でまちづくりを行っている都市はそもそもない
・ニューヨークではグリーンサム。就労支援が強い。
・ソウル都市農業EXPO「ソウルでは街人がやっているガーデニングが都市農業」
・サミット実施最大のきっかけ「平成26年に区長就任(前川氏)」、当初は農業についてこれと思っていたわけではなかったが地域の農家との会話の中で、練馬をはじめ日本の都市農業は世界を見渡しても素晴らしいということに気付いたところから始まったとのこと。
Q. 都市農業担当部の年間予算について
→ 世界サミット予算が約5,000万円。年間約5億の予算が設けられている。
Q. 貸借マッチングをどう推進しているのか
Q. 議会の中で都市農業・みどり施策、特別委員会が発足
→ みどり施策と都市農業が一緒に議論される場が無かった為(川崎市も全く同じ状態)、都市農業の多面的機能がまとめて議論できる場として特別委員会が作られた
Q. どうしてここまで農業体験農園を増やす事ができたのか?
→ 農業経営の安定化、改善化を目指した結果こういう選択をした農家さんが増えてきた。あくまで補助メニューを作ることで取組を後押ししてきた。
→ 市民農園・区民農園は倍率を下げていきたいという区の考えがある
Q. 農業体験農園をやりたいという園主向けの補助メニューを教えて欲しい
→ 都で活性化事業1/2、それを活用している。市民農園整備促進法を生産緑地で適用した際に、イニシャルにかかってくるものは半分程度補助が出せる仕組みを構築可能。区としては経営面の補助は出していない。
Q. 農業経営が具体的にどう安定化したのか、改善したのかといった数値はあるか
→ 農業経営実態調査を毎年やっている。特にそれらの分析はしていないが昔と比較し所得が高い方にシフトしてきている。
Q. 都市農業関連の条例はあるのか?
→ 無いが、サミット宣言を含め、国際会議を誘致し都市農業発展を検討している中でそういったものが必要なのではないかという議論はある。
本市の農地面積は約580ha。練馬区の3倍以上の面積を有しますが、農業関連予算は年間約2億程度。
地元の農家さんや地域の方々と様々な事にチャレンジしてきた結果、行き着いている”いま”だと感じました。また、チャレンジ精神を後押ししてきた区行政の姿勢も素晴らしいと思います。
11月末から始まる「世界都市農業サミット」。今回ご案内も頂きました。
全日程は難しいですが、ねりマルシェを含む1日だけでも伺いたいと思います。
本日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。