みなさん、こんばんは。川崎市議会議員(宮前区選出)の矢沢孝雄です。
週末は公職選挙法勉強会、拡大役員会の合間を縫う形で鷺沼駅頭にて市政報告を実施致しました。
日中1時間半と短い時間ではありましたが、ボランティアスタッフだけでも合計100枚以上チラシを受け取って頂きました。
一人で50枚/hを上回るペースで配布可能な「仮称:チラシ配りの天才(37歳)」曰く、やっぱり選挙が近くなってくると配る方も盛り上がるね!とのこと。感謝です。
さて、本会議も本日から代表質問がスタート致しました。
初日は自民党・共産党。
自民党川崎市議会議員団からは、市議団団長の青木功雄議員(高津区選出)が登壇。持ち時間246分をフル活用して代表質問を行いました。
代表質問のうち、多くのポイントとなる部分があるのですが、今回は「議案第6号地球温暖化対策の推進に関する条例の一部改正(太陽光発電設備設置条例)」についてご報告いたします。
自民党市議団代表質問より
議案第6号地球温暖化対策の推進に関する条例の一部改正(太陽光発電設備設置条例)
(自民党代表質問)
次に、議案第6号 地球温暖化対策の推進に関する条例の一部改正について伺います。
まず、改正地球温暖化対策推進法により、自治体が、再生可能エネルギーの導入を促進する区域を設定できるポジティブゾーニングに関しての見解を伺います。
次に、特定建築事業者太陽光発電設備導入制度についてです。太陽光発電設備を設置しなければならない対象は、建築事業者であって、1年間に建築する延床面積の合計値が一定以上のものとし、発電出力については条文で明らかにせず、別途「規則」によって定めるとする枠組みとした理由について伺います。
次に、特定建築事業者太陽光発電設備導入制度における次世代技術への対応についてです。説明資料では、設置義務化される太陽光発電装置について、「太陽光パネル」という限定的な表現が多く見られ、その安全性やサプライチェーンのあり方について、多くの市民から声が寄せられました。我が会派からは、技術発展に伴い、太陽光発電設備に代わる製品が上市する可能性を指摘し、その際の対応を求めました。結果、今回提案された条文には代替措置に関する規定が設けられることとなりました。庁内での検討経緯について、具体的に伺います。
また、条文中は、「特定建築事業者」の行動に対して「〇〇しなければならない」と表記されています。罰則規定の記載がない以上、この表現は、「努力義務」とも受け取れますが、本市の見解を伺います。また市民の選択に対して規制はありませんが、実際に市民が選択する権利は担保されるのか伺います。
また、太陽光パネルの使用期限が20~30年と言われております。解体、若しくは撤去については、主だった規制が見受けられません。過日、太陽光パネル再処理センターを、我が会派で視察した際に、再処理の重要性を改めて認識しました。建物を解体する際に、規制がないと、まとめて解体され、結果、環境破壊に繋がることも容易に想像できます。条例案に追加、修正する考えはないのか見解を伺います。
また制度名ですが、太陽光パネルに限らず、幅広く太陽光発電設備としています。さらに代替物を捕捉的に定めるのであれば、そもそも、「脱炭素エネルギー発電装置」とするなど、より包括的な表現とすべきと考えますが、見解を伺います。
また本条例改正の施行時期についてです。例えば、桐蔭横浜大学の宮坂教授などが開発したとされる「ペロブスカイト電池(以下PSC)」は、低照度でも発電効率が高く、柔軟性もあって軽量と、期待される技術です。屋根部のみならず壁面への設置も可能となることが予測されています。国内企業でも、PSCの事業化は令和7年以降を目処とし、国内生産も期待されるところです。さらにPSCのみならず、その他の技術の進展も日進月歩で進むと考えられます。今まさに、国産エネルギー技術が実用化されるという状況下、本市が先行して令和7年4月1日施行を目指さなければならない理由について改めて伺います。またエネルギー安全保障や経済安全保障の観点からも、国産設備を取り込んだ政策は、川崎市政においても重要と考えます。市長の見解を伺います。
また本制度は、特定建築事業者の行動を規定する制度とはいえ、エンドユーザーは市民であり、費用負担をするのも、最終的には市民です。市民像を勘案すると、建売戸建の購入者は30代から50代が多く、都心への通勤、さらには共働き世帯が想定されます。太陽光発電装置は、日中に発電するという特性があります。本制度では、将来の電力買取価格を予測することが難しく、足元で世界的なエネルギー価格高騰もあり、自家消費を想定し、経済的便益が得られることを前提としています。蓄電機能を備えない本制度は、建売戸建を購入する市民像にあったものなのか、見解伺います。また蓄電機能の必要性についても見解を伺います。
本市、地域エネルギー会社の役割も重要と考えます。日中発電量の買取を行う想定はあるのか、また具体化するのはいつなのか伺います。
また関連して、本議案に見る、本市の技術に関する考え方についてです。同様の取組を行う東京都では、下水道施設での実証実験が開始されています。横浜市でも、桐蔭学園・東急株式会社・東急電鉄株式会社との4者で、青葉台駅へのフィルム型ペロブスカイト電池の先行実証実験を開始しました。本市でも、同様の取組が必要と考えます。見解を伺います。その際に、可能な限り市内企業の技術的関与を求めることが、本市利益につながると考えますが、見解と今後の対応を伺います。
(市長答弁)
本市のエネルギー政策等における国産設備の活用についてのご質問でございますが、国が本年2月に策定した「GX実現に向けた基本方針」におきましては、「安定的で安価なエネルギー供給は国民生活、社会・経済活動の根幹」であり、「エネルギー危機に耐え得る強靭なエネルギー需給構造に転換」するため、「エネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い」再生可能エネルギー等の電源を最大限活用するとしており、この度、議案として提出いたしました建築物太陽光発電設備等総合促進事業は、まさに、エネルギーの安全保障にも資する取組と考えております。
さらに、太陽光発電に係る技術に関しましては、市内企業においても研究・開発が進められておりますので、本市制度の普及を通じて、本市、引いては我が国の新たな技術開発の呼び水になることも期待できると考えているところでございます。
(環境局長)
地域脱炭素化促進事業制度につきましては、全国で、周辺住民等との合意形成を経ない形でメガソーラーなどの大規模再エネ設備が導入され課題が生じたこと等を踏まえ、事業内容等を見える化し、地域における合意形成を図ることにより、脱炭素化の取組を円滑に推進するため、創設されたものでございます。
本市は、都市化が大きく進んだ土地利用構成となっており、現時点では本制度の活用によるメリットや効果が限定的であるなどの課題があることから、国に対して、地域特性に応じてより活用しやすい制度となるよう要望等を行いながら、引き続き、再エネの導入拡大に向けて制度の活用を検討してまいります。
次に、特定建築事業者太陽光発電設備導入制度についてでございますが、本年1月に策定した「川崎市地球温暖化対策の推進に関する条例の改正に向けた重要施策の考え方」においては、義務を負う方々が制度の具体的イメージを持てるよう、対象建築物、義務対象者、発電の量である設置基準量などについて素案としてお示ししたところでございます。
これらの詳細な内容については、事業者が円滑に義務を履行できるよう、建築物の形態や用途、地域特性を踏まえ設定することが大変重要であり、技術的見地から規定すべきものと位置付け、規則によることとしたものでございます。
次に、代替措置についてでございますが、「重要施策の考え方」では、物理的に設置が困難等の場合に代替措置を認める、としており、それを踏まえ条例案において代替措置を規定し、具体的にはオフサイトPPAなどを規則で位置付ける検討を行っておりました。
昨今再エネに関する技術開発が大変活発であること等も踏まえますと、脱炭素に資する新たな技術が実用化された際には速やかに代替措置として扱うことができるよう規則を検討してまいります。
次に、義務制度の性質についてでございますが、本制度は、特定建築事業者に対して、市長が報告及び立入調査を行うことができ、また、市が定める太陽光発電設備の設置基準量に達しないと認められる場合等において、市長が勧告し、事実の公表ができることとしておりますので、特定建築事業者に対し義務を規定する制度となっております。
次に、市民の選択についてでございますが、本制度の義務対象者は特定建築事業者となりますが、太陽光発電設備を広く普及させるためには、脱炭素の取組の重要性と、太陽光発電設備に関する正しい知識について、市民の皆様の御理解が必要不可欠でございます。
本市といたしましては、そのための情報提供の仕組も整備してまいりますので、住宅購入等を検討されている市民の皆様には、制度の趣旨を正しく御理解いただいた上で、設備の設置を積極的に選択していただきたいと考えているところでございます。
次に、太陽光発電設備の廃棄・リサイクルについてでございますが、建築物の解体につきましては、建築リサイクル法に基づき、分別解体及び再資源化等に係る計画の届出が義務付けられており、また、廃棄時におきましても、廃棄物処理法に基づき、適正処理の管理及び責任を負うことが義務付けられていることから、太陽光発電設備を含むすべての建築廃棄物は、現行の法体系においても、適正に処理されているものと考えております。
また、本市の廃棄物処理条例では、排出事業者への適正処理・再利用・再生利用等に関する責務等を規定しており、同条例に基づき適切な指導等を実施しているところでございます。
なお、国は、令和4年10月に太陽光発電設備等の管理等に関する提言を公表したところであり、同提言において、太陽光発電設備のリサイクルを一層促進するための制度的支援や、義務的リサイクル制度の活用等について、法改正も含め検討・措置することとしております。
本市といたしましては、こうした国の最新動向についても注視しながら、廃棄物処理条例及び令和5年度から開始予定の建築物太陽光発電設備誘導支援制度において、引き続き太陽光発電設備の適正処理を図るとともに、より一層リサイクルが推進されるよう、関係部局と適切に対応してまいります。
次に、制度名についてでございますが、本制度の対象建築物のほとんどが戸建て住宅であること、現在一般に広く普及する自然エネルギーによる発電技術は太陽光発電設備であること、市民の皆様にできるだけわかりやすい名称とすることなどから、本制度の名称を特定建築事業者太陽光発電設備導入制度としたところでございます。
次に条例施行時期についてでございますが、地球温暖化対策は喫緊の課題であり、国や世界の定める2050年のCO2削減目標の達成に向け、本市におきましても様々な取組を加速的に進める必要があると考えており、特に民生家庭部門におけるCO2削減を目指すためには、新築建築物への太陽光発電設備の設置を義務付ける制度の導入が必要と考えております。
また、こうしたいわゆる創エネの取組に加え、省エネの取組も両輪で進めることが重要であり、本年6月に公布された改正建築物省エネ法により、令和7年度から全ての新築の建築物に対して一層の省エネルギー構造が義務付けられることから、本市制度も同時期に施行できるよう条例改正を行い、事業の効率的かつ円滑な履行に向けて準備を進めてまいりたいと考えております。
次に蓄電機能についてでございますが、蓄電池を併用せず太陽光発電設備のみを設置する場合におきましても、設置した家屋において自家消費できなかった余剰電力は売電され、他の需要家において使用されることから、我が国総体として、再生可能エネルギーの普及に繋がり、家庭部門のCO2排出量の削減に大きく寄与するものと考えております。
次に、蓄電機能の必要性につきましては、太陽光発電設備と併せて設置することにより、レジリエンス強化やエネルギーの地産地消の効果が一層期待できますが、現在はまだ導入費用が高額であり、一定期間で収支が見込めないことなどから、本制度では導入義務付けは行っておりません。今後、EV等の普及とともにコストダウンが進むことが想定されておりますので、その動向を踏まえながら引き続き検討を行ってまいります。
次に、戸建の太陽光発電設備における日中の余剰電力についての御質問でございますが、他都市の地域新電力におきましても家庭から買取を行なっている事例がございますので、本市の地域エネルギー会社でも事業として展開できる可能性があると考えておりますが、具体的な取組につきましては、今後、地域エネルギー会社と検討を進めてまいります。
次に、新たな環境技術についてでございますが、新たな環境技術の社会実装に向けましては、本市が実証実験のフィールドを提供することなどによる、官民一体となった取組が重要と考えておりますので、産学公民連携共同研究事業などの枠組も活用し、事業者や各種研究機関に対し、積極的に協力してまいりたいと考えております。
また、市内には、ペロブスカイト太陽電池の開発等を行なっている事業者や、新エネルギー・産業技術総合開発機構といった研究機関もあり、現在、情報共有などを行なっておりますので、今後もより一層の連携を図り、取組を推進してまいります。
(自民党再質問)
次に、議案第6号、地球温暖化対策の推進に関する一部条例の改正について伺います。
まず、市民理解と制度名についてです。答弁では、脱炭素の取組の重要性と、太陽光の発電設備に関する正しい知識について、市民理解が十分に進んでいないとしています。一方で、制度名に関しては、市民の皆様にできるだけわかりやすい名称としたい旨の答弁でした。「わかりやすい制度名」のはずが、市民に対して、特定の商品群を意識させることで、却って、サプライチェーンへの懸念、新技術導入への閉鎖性、災害対策への不安などを喚起したとも考えられます。結果として、実態を反映しない制度名、あるいは制度説明となったと考えられますが、環境局長に改めて見解と対応を伺います。
次に、新たな環境技術への本市の考え方、市内産あるいは国内産製品の活用についてです。国際的なサプライチェーンについての安全保障上の課題、あるいは人道的な懸念から、国内産技術と製品普及に特化した取組が重要と考えます。答弁では、市内には、ペロブスカイト太陽電池の開発等を行う事業者、新エネルギー・産業技術総合開発機構といった研究機関との、情報共有と一層の連携を図るとしています。国産、市内産、新技術に対する、本市の姿勢が明確にわかる制度名への変更、あるいは条文の修正が必要と考えます。見解を伺います。
最後に、本議案と地域エネルギー会社との関わりについてです。地域エネルギー会社に対する質問への答弁では、地域エネルギープラットフォームへの市民の皆様の参画も重要とのことです。間接的とはいえ市民の選択肢を制限する「義務化」を標榜する以上、市としても最大限の努力をする姿勢を示すことも肝要と考えます。特に、制度への懸念払拭に資する、市内家庭より創出された電力の買取制度の早期実現は重要です。時期について、答弁では明言は避けていますが、本取組に向けた姿勢表明が必要と考えます。市長に決意を伺います。
(市長答弁)
地域エネルギー会社についての御質問でございますが、地球温暖化対策は、喫緊の課題であり、早急に具体的な行動を起こす必要があるとの認識のもと、計画に位置付け5つの重要なプロジェクトに取り組んでおります。今回提出している条例の改正議案は、そうした課題認識を市民や事業者の皆様と共有し、様々な主体がそれぞれの役割に応じ、スピード感をもって自らがすべき最善のことを選択し、実行することができる社会の構築を目指すため必要なものと考えております。
本年、設立する地域エネルギー会社は、単なる再エネ電力の小売事業者にとどまるものではありません。新たな再エネ電源の開発や、地域単位でのエネルギー利用の最適化を図るマネジメントの取組など、本市のエネルギー施策を強力に推進するものであり、家庭を含めたエネルギーの地産地消の視点は大変重要と考えておりますので、御意見を踏まえ、市域への再エネ普及拡大を図ってまいります。
(環境局長)
温対条例の改正についての御質問でございますが、地球温暖化対策は喫緊の課題であり、国や世界の定める2050年のCO2削減目標の達成に向け、本市におきましても様々な取組を加速的に進める必要があると考えており、市民説明会や全町内会連合会への説明、各種広報媒体によって、周知を行ってきたところでございます。
また、現時点では、新築建築物への太陽光発電設備の設置が民生家庭部門のCO2削減の有力な手法であることから、環境審議会の答申を踏まえ、また、国のエネルギー基本計画において「2030年において新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が設置されていることを目指す」としていることとも整合を図り、市民にとって最も分かりやすい、この制度名としたところでございます。
パブリックコメントにおいては、様々な御意見をいただいておりますので、今後につきましても、太陽光発電設備をはじめとしたCO2削減に寄与する設備設置の必要性や、制度の趣旨を市民、事業者の皆様に御理解をいただくために、より一層丁寧な説明を行なっていくとともに、市民・事業者・行政が一体となって、脱炭素社会の実現を目指した取組を推進してまいります。
次に、国内産の再エネ設備につきまして、新エネルギー・産業技術総合開発機構におけるグリーンイノベーション基金事業におきましては、国産製品であるペロブスカイト太陽電池の発電コストについて、2030年までに従来型シリコン太陽電池と同等とすることを目指すなど、新技術の研究開発を進めていると伺っております。
再エネ設備の一層の普及のためには、現在、一般に普及が進みつつある設備である太陽光発電設備の活用を念頭に置くため、制度名の変更は考えておりません。
一方、新技術による発電効率の向上やコストダウンに加え、安定したサプライチェーンの構築も重要と考えておりまして、新たな技術が開発された際には柔軟に本市の制度対象とすることで、国産技術の普及拡大にも貢献できるよう取り組んでまいります。
最後に
他の議案や市政一般においても、取り上げたいテーマが沢山あり、本議会は非常に盛りだくさんです。議事録がすぐに公表されれば、わざわざ自民党代表質問と答弁を転記する必要もないのですが、議事録が出来上がるのが、2か月以上先となってしまいます。
注目テーマについては、できる限り、早く市民の皆様にご報告したいと思いから、今回記事にさせていただきました。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
明日は、みらい・公明党の代表質問が行われます。その後は、予算審査特別委員会が開催され、令和5年度予算案に対し、集中した議論が行われます。
また頑張ってまいります。