川崎市児童虐待相談の現状について

Print Friendly, PDF & Email

川崎市児童虐待相談の現状について


 
みなさん、こんばんは。川崎市議会議員(宮前区)の矢沢孝雄です。
 
今回は川崎市の児童虐待相談対応の現状について、お伝えできればと思っています。
少しボリュームがある記事となっていますが、児童虐待の現状について一人でも多くの市民に知って頂きたいと思っていますので、どうぞ宜しくお願い致します。
 

日本で増加する児童虐待の現状について

平成29年度の全国児童相談所での児童虐待相談対応件数は過去最多の133,778件(対前年度比109.1%)と発表されています。
主な増加要因として、以下の事が言われています。
・心理的虐待に係る相談対応件数の増加
・警察等からの通告の増加
・心理的虐待が増加した要因として、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力がある事案(面前DV)について、警察からの通告が増加

この「心理的虐待」とは、大声や脅しなどで恐怖に陥れる、無視や拒否的な態度をとる、著しくきょうだい間差別をする、自尊心を傷つける言葉を繰り返し使って傷つける、子どもがドメスティック・バイオレンスを目撃する、などを指しており、子どもの心を死なせてしまうような虐待、と理解すると良いと言われています。

 

 

川崎市の児童虐待の状況について

川崎市の児童相談所の相談・通告件数は2,368件で、対前年度11.0%の増加、区役所の相談・通告件数は895件で、対前年度比20.8%の増加<平成29年度ベース>。いずれも過去最多の件数となっています。
市全体では、3,263件で、対前年度比13.5%の増加となっています。傾向を見ると、全国と同様で、心理的虐待が右肩上がりで増加しているのがわかります。
 
そして、さらに内訳を見ていくと、以下のような傾向にあることがわかります。
 

  • 年齢別件数では、0歳〜3歳未満・小学生・中学生・高校生(その他)が増加傾向にある。割合は、0歳〜小学生までで全体の約8割を占める。
  • 児相相談所調査での虐待者別件数で最も多いのが実母であり、件数順で並べると以下のようになっている。
    実母:1,362件
    実父:874件
    その他:63件
    実父以外の父:61件
    実母以外の母:8件
    合計:2,368件<平成29年度ベース>
     
    ※区役所調査の895件においては、保健所の役割が強調されている結果となっており、心理的虐待件数を大きくネグレクト件数が上回っている状況。

 
参考資料:平成29年度児童相談所・区役所における児童虐待相談・通告件数について
 

 

市の児童虐待対策の状況は?

【予算推移状況】
平成31年度予算としては、「妊娠期からの切れ目のない支援による児童虐待予防、関係機関のネットワーク化による児童虐待の早期発見、早期対応、被虐待児の自立支援及び職員の人材育成等を実施」ということで、
 

  • 児童虐待対策推進費
  • 児童相談所等体制強化事業費
  • こども施設運営事業費
    合計:約4.2億円<平成31年度ベース>

 
を計上しており、金額的には増加傾向にあります。
ですが、平成29年度に各児相に弁護士(非常勤)を配置した上、各区役所や児相との児童情報の共有を目的とした”児童相談システム”の導入によるものが多いのが実情です。
 

広域自治体としての取組み


一自治体だけでなく、9都県市合同での声明を実施したことは重要なことだと思います。児童福祉司の充実を国に要望することも重要ですが、川崎市にもある児童相談所の体制・施設充実も重要だと感じています。
現場で働かれている職員の声を聴いても、川崎市においても児童福祉司・児童心理司の人材確保や育成には課題があるという声も聴いているところです。
 

寄せられる市民の声として

先日とある発達障害の子を持つ保護者の方から相談を受けた話として、児童相談所の雰囲気が暗すぎる、施設が老朽化している上、場所もわかりづらくアクセスしにくい。他都市では施設内の雰囲気も明るく、場所も他施設と合併して作られているなど、子どもの事について相談に行く施設だからこそ、行って暗くなる雰囲気にはして欲しくないといった話を受けました。
 
川崎市では、こども家庭センター(H23~)、中部児童相談所(S58~)、北部児童相談所(H23~)の3体制になっています。
他に一時保護施設も兼ねているのが児童相談所ですので、問題点として一時保護施設が足りていないという現状もあります。
 

現地視察を実施

こういった話をきっかけに2019年5月に川崎市児童相談所の視察を実施。
視察を通じて様々な事を学ばせて頂きました。
お忙しい中対応して頂いた職員の皆様には心から感謝申し上げます。
 
現地でお伺いした課題、とりわけ一時保護施設の不足については重要な課題と捉えて参ります。
また、印象に残っている点として、一時保護施設部分は殺風景でいかにも「施設」といった印象を持ちましたが、「施設(施設での生活に)に愛着や良い記憶を持ってもらいたくない」といった気持ちをあえて持った上で、工夫を重ねてきた跡が様々なところで垣間見えました。
 
更に市民から頂いた「施設や雰囲気が暗い」といった印象については、障がいを抱える児童が通う部屋として設けられている「心理室」に関して、法律で定められている基準を脱しない範囲で、「取調室」的な雰囲気を感じさせない工夫が出来るのではないかと感じ、改善に向けた検討をお願いを致しました。

国の方向性について

児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議が平成31年3月19日に公表した「児童虐待防止対策の抜本的強化について」によると、現在国会でも審議されている「児童虐待防止対策を強化するための児童福祉法等の改正法案」に盛り込まれている事項として、
 

  1. 子どもの権利擁護
  2. 児童虐待の発生予防・早期発見
  3. 児童虐待発生時の迅速・的確な対応
  4. 社会的養育の充実・強化

 
といった分類に分かれています。その中で、例えば「1.子ども権利養護」部分で今回の改正法案に盛り込まれると言われている部分だけでも、以下のようになっています。
 

    • 子どもの権利擁護
  • 体罰禁止及び体罰によらない子育ての推進
  • 民法上の懲戒権のあり方について、施行後2年を目処に必要な検討を進める
  • 児童相談所における子どもの安全確保に関する業務の明確化
  • 児童福祉審議会において、子どもに意見聴取する際に子どもの状況や環境等に配慮するものとする旨を定める
  • 子どもの意見表明権を保障する仕組みについて、施行後2年を目処に必要な検討を進める
  • 一時保護その他の措置に係る手続きのあり方について、施行後1年を目処に検討を進める

 
児童虐待の防止・負の連鎖を断ち切る為には、切れ目の無い対応が必要になります。
国で定めたことに対し、各自治体でどういった取組みを進めるのか?加えて、各自治体における児相相談所を巡る課題も多いことが現場視察を通じて見えて来ているところです。(ex.一時保護施設に関する基準が無く各自治体に任せられている)
 
国と地方自治体が連携して、課題解決に向けた取組が出来るのが、自民党の強みだと当方は思っています。
その中でも先進的な取組みが行われる都市になれるよう取り組んでいきたいと思います。
 
本日も最後まで読んでいただき、有難うございました。
 


インスタグラム