みなさん、こんばんは。川崎市議会議員(宮前区選出)の矢沢孝雄です。
突然ですが、今日は当方が注力している政策分野である都市農業施策。
加えて少々?、、、少々マニアックな話となります。
現在、水面下で農業委員会の定数削減に向けた条例案提出の調整がされているとの情報を得ました。
本年9月議会に議案として上程予定とのこと。
そもそも、農業委員会とは市町村に設置されている行政委員会であり、農業生産力の発展と農業経営の合理化を図り、農業者の地位向上に寄与することを目的に、農地に関する事務を執行する役割を担っています。
主な役割としては、
・農地に関する許認可事務
・農地等の利用の最適化の推進
・法人化支援
・農業に関する情報提供
・農業者年金に関する業務
・農業・農村の声を代表
といったように、全国市町村に存在します。
当然、川崎市にも農業委員会があり、農業委員14名+農地利用最適化推進委員(以下、推進委員)6名の計20名体制で川崎市が事務局を行い運営されています。
現在進められているのが、このうち推進委員6名を5名にしようという動きです。
ここからが本題となります。
なぜ、都市農業推進において重要な役割を担っている農業委員を削減しようとしているのか?
川崎市都市農業振興センターの見解は、端的に申し上げると、「市内の農地面積が減っているので法令に基づいて、削減をする必要があるから。」です。
農業委員会等に関する法律施行令における農業委員会の推進委員の定数の基準を示した第八条では、以下のように記載があります。
実際行政が説明に使っている資料を添付しますが、字が小さいので以下の記事でも転記して解説します。
以下、当該要件を記した条文を記載します。
第八条 法第十八条第二項の政令で定める定数の基準は、農業委員会の区域内の農地面積のヘクタール数を百で除して得た数(一未満の端数を生じたときは、一に切り上げる。)以下であることとする。
とあります。
川崎市の農地面積の実態を示したのが下の資料です。(川崎市都市農業振興センター提供)
うん、確かに農地面積は年々減少しています。
法令の基準通りに考えると、令和7年1月1日時点の農地面積は500haを下回っているので、推進委員を6名から5名になる計算は理屈が通っています。
上記の説明を用いて、本市はこれまでJAセレサ川崎や農業委員等、関係者への説明を展開していました。
結果、これは国の法令に基づく対応だから、どうしようもないなというのが関係者の中で広がっていました。
私がこの定数削減の話を聞いたのが、7月上旬。
地域活動の中で、ご支援いただいている生産者から聞いたのがきっかけでした。
実は私自身も議会選出農業委員枠で一時農業委員会委員をさせていただいていた時期がありました。
すでに議会選出枠は廃止されてしまったのですが、農業委員会委員の役割の重要性とその負担については、少しは理解していたつもりです。
そういった中で、「これは本当に減らさなくてはいけないことなのか?国の法令には例外はないのか?」と調べ始めたところ、「市町村判断」の余地があることが分かりました。
この第八条には二項があります。
第八条の二項は以下の条文となっています。
2 前項の規定にかかわらず、農業委員会の区域内の地勢等の地理的条件その他の状況が、農地等の利用の最適化の推進が困難なものとして農林水産省令で定める要件に該当する場合には、当該農業委員会の推進委員の定数は、同項に規定する数にその数を限度として農地等の利用の最適化の推進の状況に勘案して市町村が必要と認める数を加えて得た数の範囲内で定めることができる。
といったものです。
つまり、「農林水産省令で定める要件に該当する場合には、市町村が必要と認める数を加えることができる。」ということです。
では、農林水産省令で定める要件に該当する場合とは一体どういったものなのか?
(推進委員の定数の基準の特例に係る要件)
第十条の二 令第八条第二項の農林水産省令で定める要件は、次の各号のいずれかに該当することとする。
一 農業委員会の区域について、特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律施行令(平成五年政令第三百十五号)第一条第一項第一号に掲げる要件に該当すること。
二 その区域内に都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第五条の規定により指定された都市計画区域を含む農業委員会にあっては、区域内の総土地面積のうち、農地面積の占める比率が百分の十五未満であり、農地がその区域内に著しく散在してると認められること。
一つ一つ丁寧に見ていくと、まず第十条の二については、各号のいずれかに該当なので、どちらかを満たしていれば要件を満たすことになります。
第一項については、特定農山村地域とあります。この特定農山村地域と言うのは、急勾配で耕作する必要のある地理的条件が悪い地域などを指すものであり、本市の営農環境には該当しません。
第二項については、先ず区域内の総土地面積は本誌の総面積にあたるため144平方キロメートルであり、農地面積の占める割合は約3%から4%になります。加えて、幸区から麻生区まで農地が散在しています。そのため、第二項が本市の営農環境に該当すると考えられます。
よって、第八条二項要件を満たす為、川崎市独自で農業委員会委員を追加することができることになります。
さらに別角度で、「農地面積が減少しているので・・・」という話がありました。
確かに、市内の農地面積は減少しているのですが、推進委員の仕事のうち大きな内容として、「農地中間管理機構との連携」があるのですが、これは市街化調整区域内農地への利用集積やマッチングがあります。
この市街化調整区域内農地は、面積が減少しておらず横ばいとなっています。
なので、実際の主たる仕事となるフィールドの面積は変わっていないわけです。農地全体が減っている為・・・という理由は成り立たないと考えるのが自然ではないでしょうか。
推進委員の仕事の中には、生産緑地のパトロールもあります。
何人かの推進委員の方と話をする限り、大体委員一人当たり、300件程度の生産緑地をパトロールしているそうです。一年あたり300件を一巡です。
耕作がされていない農地や周辺環境に悪影響を及ぼしていないかをチェックするのも推進委員の役割となっています。
現在、川崎市では委員一人当たり月3万円の報酬が出ていますので、年間36万円/人。任期は3年間ですので、委員を一人削減しても120万円弱程度です。財政的な問題ではありません。
このように、推進委員の役割は終えるどころか、その重要性は増しているとさえ言えます。
端的に言えば、川崎市は「減らす必要がない委員数を減らしている」おり、これはもはや川崎市の都市農業振興への向き合い方であり、「姿勢の問題」と言えます。
「本来は、国の法令では1名減らす基準となっているが、今回こういった要件を使って、市の判断で1名追加することにより、結果的に現状維持とする方向で進めたい」という提案があっても良いくらいと考えています。
でなければ、川崎市は明確に「農業委員の仕事量は減っているので、人数を減らしても問題ありません。都市農業振興の観点も問題ありません。」と答えてくれるのでしょうか。
現状では、とりあえずこの程度とさせていただきますが、いま川崎市が水面下で進めている定数削減の動きは、「これはだめだ・・・通せないよ川崎市。」といった印象で、厳しいと言わざるを得ません。
聞くところによると、次の9月議会に上程予定とのことですが、今のままだと大きな問題になる議案となるかもしれません。今回記載した一連の指摘はすでに当局とは打ち合わせし、伝えていますので、今後どのように判断していくのか。
さてさてどうなることやら。
だらだらと細かいことも含め書きすぎましたが、今回は以上とさせていただきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。














