みなさん、こんばんは。川崎市議会議員(宮前区選出)の矢沢孝雄です。
6/1〜6/25の期間で行われた川崎市議会第2回定例会もいよいよ最終日となりました。
議会自体は本日で終わりですが、明日明後日は議会期間中に時間が無くて対応が満足に出来なかった市民相談対応などに関する市役所側との打ち合わせなど、諸々の整理を行う予定です。
そして、来週からは自民党川崎市議団主催の市政懇談会期間に入っていきます。
毎年実施している市政懇談会ですが、市内50以上の市民団体の皆様からの来年度予算要望を受け取り、内容について意見交換を実施していくという期間になります。
我々川崎自民党の場合、2会場に分け、1団体約40分で行っていきます。
一方で、7月はやはり参議院議員通常選挙も行われます。
この対応も必要となってくるので、中々慌ただしい夏になりそうです。
さて、今回も今定例会で取り上げた一般質問3テーマについて、ご報告して参ります。
①ふるさと納税寄附受入額の増加に向けた取組について
ふるさと納税で苦しむ代表的な自治体として評されるのが、我が川崎市です。その流出額は令和6年度実績で約136億円。全国自治体の中でも五本の指に入る流出額となっています。今回取り上げたのは、攻撃側の施策となる寄附受入額の増加に向けた取組について。川崎市はヒトモノカネといった資源を投下し、受入額を増やしていかなくてはいけません。
②都市計画道路横浜生田線(水沢工区)開通に向けた取組について
川崎市第2期道路整備プログラムで令和7年度開通目標となっている「都市計画道路横浜生田線(水沢工区)」についてです。議員1期目から取り上げ続けてきた地元積年のテーマ。取り上げ続けて10年目となりました。令和7年度開通に向けた取組状況を伺いました。
③都市農業振興施策について
都市部においては、農地は宅地化すべきものという概念から、在るべきものと法律で定めた都市農業振興基本法施行が平成27年4月。10年を迎えます。都市農業を応援する声が増えてきている一方で、生産者にとってまだまだ営農しやすい環境が整っているとは言い難い課題もあります。その一つが、農地(生産緑地)へのトイレの設置についてです。この問題を取り上げました。
今回は、上記の内「③都市農業振興施策について」、以下ご報告して参ります。
実際の議会でのやり取り(一般質問内容)

(以下、経済労働局長に質問)

地域の生産者の間では、「生産緑地内でのトイレ設置は認められていない。」「認めてほしいが法改正が必要」という話が通説となっていた中で、この度のトイレ設置可能という事実について、驚きの声と共に一定数の問い合わせを頂いています。先ず、設置が可能である根拠を詳細に伺います。設置要件についても併せて伺います。

生産緑地におけるトイレの設置要件等についての御質問でございますが、設置の根拠につきましては、平成29年の国の都市計画運用指針の改正により、農林漁業に従事する者の休憩施設の一つとして、トイレが新たに明記され、生産緑地においても設置ができるものとされたところでございます。
また、設置要件につきましては、主に生産緑地法と建築基準法に規定されているところでございまして、設置するトイレが、農林漁業の安定的な継続等に資する施設で、かつ周辺の生活環境に悪影響を及ぼす恐れがないものであることや、建築基準法に定める用途や防火、構造等の規定に適合するものであることなどとなっております。

これまで、トイレ設置を相談した際、センター職員から出来ないと言われたという声も聞いておりましたが、相談があった際、丁寧に設置までの説明をされていたのか職員としての対応に問題は無かったのか伺います。

相談への対応についての御質問でございますが、生産緑地にトイレを設置したいとの相談を受けた場合には、設置の際に求められる要件を説明させていただくとともに、設置の結果として、相続税納税猶予制度の特例が適用されなくなることなどの影響についても丁寧に説明し、農業者に御判断をいただいているところでございます。そのような経過から、農業者の方の中には、生産緑地にトイレは事実上設置できないと御理解された方もいらっしゃったものと考えております。
また、制度上、生産緑地にトイレが設置できるようになったことにつきましては、市内の農業者の皆様への周知が十分ではなかった可能性もございますので、今後につきましても、JAセレサ川崎と連携して周知するなど、御理解いただけるよう取り組んでまいります。

具体的に生産緑地内でトイレを設置したいという相談があった場合、設置完了に至るまでどのような申請、手続きを行う必要があるのか、詳細に伺います。

設置の手続きについての御質問でございますが、トイレの設置を希望される農業者の方におきましては、生産緑地法の許可を受ける必要がございまして、トイレが建築物に該当する場合には、併せて、設置できる用途地域等に該当するかを確認した上で、建築確認及び設置完了後の検査を受ける必要がございます。
なお、第一種及び第二種低層住居専用地域、並びに、第一種中高層住居専用地域等におきましては、トイレが建築基準法上の建築物に該当する場合は、原則として設置できないこととなっておりますが、建築基準法上の特例許可を受けた場合には、設置が可能となっております。
これらの相談につきましては、建築物としての該当の判断など、建築基準法に係る相談はまちづくり局、生産緑地法に係る相談は経済労働局が所管として対応しております。
(以下、まちづくり局長に質問)


建築基準法上の特例許可についての御質問でございますが、建築基準法第48条の規定に基づく用途の特例許可につきましては、都市計画で定める用途地域等において、建築できる用途が定められているところですが、本市が、低層住宅専用地域等における良好な住居の環境を害するおそれがないと認め、許可した場合においては、制限されている建築物を建築することが可能となるものでございます。
また、本許可に際しましては、国が示した技術的提言に基づき、良好な住居の環境を保護するという低層住居専用地域等の目的を考慮するとともに、良好な都市環境の形成に資するという生産緑地地区の目的を踏まえ、周辺状況や地域の実情に応じた配置等に配慮した計画とする必要がございます。
なお、この許可をする場合には、あらかじめ、その許可に利害関係を有する物の出頭を求めて、公開による意見聴取を行い、その後、建築審査会の同意を得る必要がございます。
意見要望です。
冒頭、生産緑地へのトイレ設置はできないといった趣旨の発言について、訂正をさせて頂きましたが、これまでのやり取りで分かる通り、法令上はできるようになったといっても、地域で営農に勤しむ一生産者目線では、現実的に設置できる状態になっていないことがわかったかと思います。針の穴を通すようなものであると同時に、今回このように議会で取り上げる数ヶ月前からこの問題について、当局とやりとりを進めてきましたが、指針改正後、はじめて本市としても分かりやすい説明用資料を作ったレベルですので、この間、本当に生産者の立場になって、どうやったら設置ができるかといった説明や対応は出来ていなかったと考えています。
今後については、設置を要望する生産者が来た際には、都市農業振興センターとして伴走型で設置支援をしていただくよう求めて質問を終わります。
まとめ
今回の質疑において、川崎市議会では初めて(というか、全国でも議論されていないのではないか?)、生産緑地におけるトイレ設置可否に関する現状が明らかになりました。
これまでトイレ設置について、地域では設置できないという認識が広がっていました。
平成29年の国の運用指針改訂に伴い、法令上はできる事になっていたものの、事実上、設置することは極めて困難な状態であることなど誰も知りませんでした。
今回の明らかになったことをまとめると、
・従来は設置が認められていなかった生産緑地におけるトイレ設置について、平成29年の国の都市計画運用指針の改定により設置ができるように変更された。
・だが、第一種及び第二種低層住居専用地域、並びに、第一種中高層住居専用地域等においては、トイレが建築基準法上の建築物に該当する場合は、原則として設置できない事になっているが、建築基準法上の特例許可を受けた場合には、設置が可能となっている。
・では、特例許可を得るためにはどうしたら良いかというと、国が示した技術的提言に基づき、良好な住居の環境を保護するという低層住居専用地域等の目的を考慮するとともに、良好な都市環境の形成に資するという生産緑地地区の目的を踏まえ、周辺状況や地域の実情に応じた配置等に配慮した計画とする必要がある。特例許可をする場合には、あらかじめ、その許可に利害関係を有する物の出頭を求めて、公開による意見聴取を行い、その後、建築審査会の同意を得る必要がある。
・上記のような手続きを一生産者が進めるにはハードルが高いと言わざるえず、トイレ設置を希望する生産者が申請手続きし易く、伴走型で許可までの流れを進めて頂けるような取組を市として進めていく必要があることを要望した。
都市農業施策を取り上げる議員は少なく、今回のようなまさに現場で起きている課題や営農環境の改善について、市に声が届けることが重要と考えています。都市化が進み、これからも人口増加が進む川崎市の中でも、一生懸命営農に励む生産者が大勢います。
そういった方々が果たしている役割はとても大きい。
これからも都市農業推進に向けて取り組んでいきます。
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
その上で、生産緑地内におけるトイレの設置に関して、経済労働局長とまちづくり局長に伺って参ります。