みなさん、こんばんは。川崎市議会議員(宮前区選出)の矢沢孝雄です。
昨日のブログでも掲載した今回実施した一般質問の中で、本日は「緑地施策における農地の位置付けと取組みについて」における議論の内容を報告していきたいと思います。
- 市内バス停におけるベンチ設置の拡充について
→ 進む高齢化を見据え、特に民間バス事業者路線のバス停におけるベンチ設置の拡充に関する質問(市議会初) - 緑地政策における農地の位置付けと取組みについて
→ 都市農業振興基本法施行以来、本市では経済労働局としての議論は活発なれど、他局での議論が乏しい状況。都市緑地法改正を機に、緑地行政の中における農地の位置付けと役割、今後の保全と活用について質問。(市議会初) - 鷺沼駅周辺再編整備に伴う公共機能の移転について
→ 公共3施設移転の方針を定めた基本方針が2019年3月末に公表。多くのパブコメを受け、様々な観点を追加したが大枠の方向性は堅持。移転を考えていく上にあたって、課題を明確化させ建設的な議論を経て、懸念を抱く区民にも納得してもらう計画に導くことを目的とした質問。
相続で手放す必要が出てきた・・・市で買取れないか?
川崎市の都市農業の実態については、当方が1期目4年間で特に注力してきた「学校給食への市内産農産物活用」というテーマでも触れていますが、ここについては改めて記事にしたいと考えています。
単純に申し上げると、
- 市内農地面積は、1985年時点で1,237haあったが、2015年時点で580haまで減少している
- 市内農家数は、1985年時点で2,323件あったが、2015年時点で1,172件まで減少している
- 対前年比減少幅は改善傾向にあるが、毎年一定数の減少が止まらない状態である
こういった状態となっています。「相続で手放す必要が出てきた・・・市で買取れないか?」という相談は農業従事者から多く頂きます。その度に胸が締め付けられるというか、顔の見える関係、都市農業の実態が見えているだけに苦しくなります。
こう相談いただける農業従事者ほど、単に宅地化がさらに進んでしまうことを憂いている人なのです。
それであれば、市で市民農園として活用して欲しいであったり、公園化出来ないか?であったりと思うのです。
ですが、実際には農業委員会を通じて買取申し出が行われても、残念ながらほぼ100%市では買取れないですし、あっせんにおいても買取はされないのが実態です。※ほぼ100%という表現をしたのは、川崎市の歴史上、過去に2件だけ買取りを行ったケースが有るためです。
都市農業振興基本法が成立し、その後都市農業振興基本計画が策定。
生産緑地法の改正などもあり都市農業を巡る環境は本当に転換期を迎えており、本市でも「経済労働局」の都市農業施策が加速したのは事実でもあります。
ですが・・・、他方で非常に「縦割り行政の弊害&限定的な取組み」 を私は感じています。
そこで、今回の質問につながってきたというのが、背景であります。
以下、実際の質問のやり取り
また、先の代表質問でもご答弁頂きましたが、都市農業を巡る今後の課題は都市農地の減少と担い手不足であります。とりわけ、生産緑地指定から30年が経過する2022年問題においては、市内約200haの農地が対象となります。特定生産緑地への移行を積極的に促しながら、2022年問題対策協議会を中心とした生産緑地の貸借マッチングの活性化も進める一方で、緑地政策の観点からも都市農地保全活用に向けた検討が期待されるところですが、併せて見解と今後の取組みを伺います。
今後につきましては、都市緑地法の改正により位置付けられた、市民緑地認定制度やみどり法人制度の活用などについて、関係部局と連携を図りながら、良好な農環境の保全に取組んでまいります。
また、緑地施策の観点からの生産緑地の活用につきましては、都市における貴重な緑空間、災害時における避難地として、その機能を存続することが望ましいと考えておりまして、生産緑地の状況について、関係局と情報共有を図り、緑地施策としての活用に向けて、検討してまいりたいと存じます。
本市に存在する大規模な都市公園や一定の面積を有する公園においては、公園敷地の一部を農的に利用し、子どもたちへの自然体験・農作業・収穫体験として有意義に活用し、川崎において貴重な機会を提供している地域が存在しているのが実態ですが、本市の公園における農的な利用の位置付けは現在どうなっているのか、今後の取組みと併せて伺います。
今後につきましては、公園における農とのふれあいの場の創出に向け、他都市における事例を調査するとともに、公園ごとに異なる周辺環境などを踏まえながら、農的な利用の方向性について検討してまいります。
今回の質問の成果として・・・
- 今後は生産緑地の状況について、緑地施策として活用に向けた検討を行っていく事を答弁
- 公園における農的な利用(≒ 農地)に関する位置付けについて、方向性を検討していくと答弁
これらが初めて答弁された事は大きな成果だと感じています。取り分け、農業振興センターのある経済労働局ではなく、緑地行政の建設緑政局として、ここまで農地に関し踏み込んだ答弁を行ったのは初めてのことです。
今後も都市農業の発展、農地の保全活用に向けて庁内横断的な検討が進むよう取組んで参ります。
明日は、次の質問テーマについて詳細の内容を掲載していく予定です。本日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
平成29年6月に施行された改正都市緑地法第3条では「緑地の定義への農地の明記」が謳われ、農地を緑地政策体系に位置付けし、都市緑地法の諸制度の対象とすることが明確化されました。また、同法第4条「緑の基本計画の記載事項の追加」では、都市農地の計画的な保全及び都市公園の老朽化対策等の計画的な管理の推進として、「農地を緑地として政策に組み込む」ことが追加されました。
こういった「緑地の定義へ農地を含め、都市農地の計画的な保全を緑地政策に組み込む」といった議論は、本市では経済労働局と連携しつつも、まさに建設緑政局が中心となって行っていくべき話ですが、改正都市緑地法の趣旨を踏まえ、本市の緑政策である「緑の基本計画」にどのように反映されているのか伺います。