みなさん、こんばんは。川崎市議会議員(宮前区選出)の矢沢孝雄です。
第4回定例会も採決が終わり、19日の閉会に向けて市政一般への質問がスタートしました。
川崎市議会の場合、一般質問は4日間あり、一日13〜15人が質問に立ちます。
議員は全部で60名いますが、正副議長を除き質問の機会があるのは58名、実際に質問に立つのは毎回56〜58名います。
今回は57名の質問が予定されており、持ち時間が一人あたり30分(答弁含め)なので、朝10時開会で18時過ぎまでぶっ続けで質問が展開されます。
当方は一般質問2日目。今回は2つのテーマについて取り上げました。
早速ではありますが、以下、一般質問で取り上げたテーマについてご報告させて頂きます。
都市農業施策において、生産緑地に関する議論は欠かすことができません。今回は、川崎市が独自の判断で設定している生産緑地指定にあたっての接道要件について取り上げています。生産緑地を将来、公共用地として活用する際、道路が付置されていることが望ましいことから出来た要件。現在の本市の都市農業を巡る状況とは全く合っていないと考えています。見直すべきという視点で質問をさせて頂きました。
② 野球場利用申込について〜不正の温床である「ふれあいネット利用枠」〜
昨年の12月議会で取り上げたテーマであり、川崎市が抱える積年の課題でもあります。今回は1年間の取り組み状況を確認すると共に、来年1月からスタートする多摩川河川敷全11球場における協議会方式の展開と課題について。さらに、河川敷においても2割程度残る「ふれあいネット枠」について、その問題点を改めて指摘しています。
今回の記事では、「① 生産緑地の指定における接道要件について」議会でのやり取りを報告させて頂きます。
次回の記事では、② 野球場利用申込について〜不正の温床である「ふれあいネット利用枠」〜について記載をしてまいります。
生産緑地の指定における接道要件について〜非合理的なルールは見直すべき!!〜
生産緑地の接道要件についての御質問でございますが、生産緑地地区の指定につきましては、生産緑地法により、公共施設等用地として適していることが条件となっております。
本市の接道要件については、関係局と調整を行った結果、接道していることが将来的に公共施設等用地として使用する際に適していると判断したことから、平成8年度に設けられたものでございます。
近隣他都市の状況でございますが、直近の調査では、9都市から回答をいただき、接道要件を設けている都市は横浜市など5都市、設けていない都市は相模原市など4都市であり、設定要件につきましては、その都市の状況により様々となっております。
(スライド①説明)
・実際に接道要件で困っている生産者のご自宅をデフォルメして作成したのが、ディスプレイの画像です。
・自宅南側は8m幅員の公道に接しており、自宅西側は自宅北側にある集合住宅の為の6m幅員の通路が存在しています。東側は崖となっており、東側・南側は塀で囲んでいます。
・自宅北側の農地は、いわゆる接道要件が設定される前に、一部林となっている部分を除いて生産緑地指定を受けています。
(スライド②説明)
・その後、営農意欲が高まり、生産緑地を増やそうと一部林だった部分を農地化しました。
・現在も一体的に耕作をしているが、答弁にあった通り、平成8年の接道要件が設定された為、指定を希望しているのにも関わらず、生産緑地指定が受けられない農地となっています。
・元林だった農地を生産緑地化しようとすると、「接道要件」を満たす必要があります。
(スライド③説明)
・当該敷地で接道要件を満たそうとした場合、一例としてこのような形が想定されます。
・自宅正面入口から2m以上の幅員を保つ形で農地まで接道させれば、生産緑地指定を受けることができますが、この敷地内に用意した接道を含めて生産緑地となる為、固定資産税は減免されますが、農地化した部分だけでなく、接道を含めて原則30年間拘束されることになります。
・費用がかかるだけでなく、建蔽率等の問題も考慮した計画が必要ですし、長期間に渡って土地活用に制限が発生することもあり、非常にハードルが高いと言えます。
(質問②)
生産緑地の接道要件について、本市の都市農業の現状を鑑みると、農地の維持確保、新設、営農意欲等、さまざまな視点で影響を及ぼすものとなっています。生産緑地指定における接道要件は廃止すべきです。見解と対応を伺います。
生産緑地の接道要件についての御質問でございますが、都市農業振興基本法において、農地は「都市にあるべきもの」と示され、都市部における農地の必要性が再認識される中で、生産緑地の確保は、都市農地の保全や農業者の営農継続に向けて必要であると認識しているところでございます。
今後とも、農業者が営農を継続しやすい環境づくりが必要でありますことから、農地の管理上必要な、農機具の搬入状況など、農地ごとの様々な状況について、現在、JAセレサ川崎と連携して、実態調査を行っているところでございまして、その調査結果に基づき、関係局と調整の上、接道要件の取扱いについて整理してまいります。
まとめ的なもの
川崎市は平成8年に接道要件を設定しましたが、今回議会で取り上げた例だけでなく、面積要件が500平米から300平米に緩和されたことで、新たに生産緑地指定基準に入ってきた農地も市内には多くあります。ですが、こういった農地を新たに指定しようとすると、当時なかった接道要件が入ってくる。その為、指定を受けられないといった話はいくつか聞いています。
全く無駄な要件とまでは言いませんが、ここまで「将来的な公共施設用地として・・・」というのであれば、生産緑地買取申出が出た際にしっかり買ってくださいよ!と声を大にして言いたい。生産緑地制度がスタートしてから30年以上が経過していますが、実際に買い取ったことがあるのは2件のみ。1件は都市計画道路の予定地だった為、もう1件は公演予定地として計画されていた為です。
しっかりと計画の網がかかっている農地しか買い取らないという事です。
ですが市内を見渡しても、殆どの生産緑地に計画の網はかかっていません。予定にない買取は出来ませんよというのが川崎市の原則なのです。
一方で、計画の網がかかっているのであれば、逆に接道があろうがなかろうが、必要であればお金をかけて作るのです。
それが、現在の川崎市の基本的姿勢である以上、現在の本市の都市農業を巡る環境を見た際には、本要件は不要と個人的には考えているわけです。
今回の質問をきっかけに、川崎市として本要件における弊害をしっかりと調査し、在り方を検討してくれることになりました。
経過を見守り、形になったタイミングでまたご報告させていただきます。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
それでは、次の生産緑地の指定における接道要件に関して伺います。
農地を生産緑地に指定する場合の要件は、川崎市生産緑地地区指定基準及び同細目に明記されています。いくつかの要件がありますが、その中でも、「(1) 公道又は建築基準法(昭和25年法律第201号)第42条第1項各号及び第2項に掲げる道路に2メートル以上接しているもの。」、所謂、生産緑地指定における接道要件は、どのような目的と経緯で設定されているのか伺います。また、近隣他都市における設定状況
を伺います。