みなさん、こんばんは。川崎市議会議員(宮前区選出)の矢沢孝雄です。
新型コロナウイルスの第2波が懸念されている昨今。
東京都、大阪府を筆頭に、川崎市においても連日第1波レベルの陽性者が発生しています。
緊急事態宣言解除後、社会的には感染防止対策が緩みがちとなっています。
これまで外出できなかった分、夜の街を大いに楽しんでしまう気持ちはよくわかります。
また、新しい生活様式が未だ浸透していない結果だとも感じています。
新型コロナウイルスに関する情報はまた改めて発信していくとして、今回は宮前区内における橋梁設置の話となります。
川崎市内においても、新しく橋梁を設置するという話はそこまで多くありません。
そういった中、地域においても話に出ることが多い「市道向ケ丘48号線人道橋整備」についてお伝えさせて頂きます。
市道向ケ丘48号線人道橋整備について

犬蔵小学校にほど近く、犬蔵交差点から平方面(登戸駅方面)に向かう途中(※)、山のてっぺんで工事が進んでいるのが「市道向ケ丘48号線人道橋」になります。南平台付近に設置される初山地区と土橋地区を繋ぎます。
※向ケ丘遊園駅菅生線といいます。
平から犬蔵交差点に向かう途中、坂の上で工事やっているよね?橋がかかるんでしょ?いつごろ完成なの?なぜバリアフリー化されていないの?など、話が出る工事となっています。
そもそも何故設置されたのか
人道橋の計画地は、住宅地内に位置しています。
計画地の向ケ丘遊園駅菅生線を挟んだ両側の地区(初山と土橋・南平台)は、向ケ丘遊園駅菅生線が谷部になっているため分断されており、現在、歩行者の行き来が出来ません。
向ケ丘遊園駅菅生線を挟んで反対側に行き来するためには、大きく迂回する必要があり、通行機能や防災面で課題となっていました。
そういった課題があり計画化され、現在工事に着手していますが、ここに至るまでには多くの課題があり20年以上の月日がかかりました。
地域住民の中の合意が取れず進まなかったわけですが、主な課題としては、やはり「車道橋」とすべきか「人道橋」とすべきか、だったと認識しています。
詳細の経緯はここでは記載しませんが、最終的には「人道橋であれば」ということで地域の合意形成が図られ、現在に至っています。
バリアフリー化がなぜされていないの?
工事が進む中で、車椅子用スロープや自転車用スロープがなぜ設置されていないのか?といったお声も聞いています。
こういった話というのは一人の方が思えば、10名以上の方も同じように思っています。なので、そういった方々に対してという意味でも、本記事を書かせて頂いています。
川崎市で定めている「道路の移動等円滑化基準の運用指針」では、「縦断勾配は、5%以下とする。但し、設置場所の状況その他特別の理由によりやむを得ない場合においては、8%以下とすることができる。」ことが定められています。縦断勾配とは一般的にはスロープと呼ばれるものです。
さらに、同指針では、「高さ75cmを超える傾斜路にあっては、高さ75cm以内ごとに踏み幅1.5m以上の踊場を設ける。」とされています。
これらに沿って、仮に今回の市道向ケ丘48号線人道橋整備に関して、車椅子利用者が利用可能なスロープを設置しようとした場合、「最大8%勾配維持+75cm毎に踊場設置」を前提に検討すると、現状18.7mの階段距離を、地形考慮なしで130mに延長する必要があります。
これでも、約7倍階段を延長しなくてはならないわけですが、実際は地形を考慮するのは当然です。地形は下り坂となっている為、その分の角度を差っ引いて計算すると、延長は約500〜600m程度になる計算です。そうなると、もはや犬蔵交差点付近から階段を設置していくようなイメージにならないと車椅子にも対応したスロープは設置出来ないということになり、現実的には難しいという判断になりました。
車椅子対応のスロープはわかった。でも、せめてよく自転車立体駐車場にもあるような、少し急な自転車を押して上がれるようなスロープは作れなかったのでしょうか?
この部分についても、別に「立体横断施設技術指針」というものがあり、定められています。
その指針によると、勾配25%以下に留めなくてはならないことに加え、高さ3m毎に踊場を設置することが必要になります。
「最大25%勾配維持+3m毎に踊場設置」に併せて、階段を作ると、現状約18.7mの階段を約45mほどに延長する必要があります。先程の車椅子対応ほどではありませんが、これでも約2.5倍の距離であるのに加え、階段入口がちょうどマンションの入口前になってしまいます。
こういった理由も重なり、検討の結果、採用出来ませんでした。
また、過去にはエレベーターの設置検討が民間事業者への委託をかけて実施されましたが、調査の結果、エレベーター維持管理の困難さもあったわけですが、実際ハードルが高過ぎたのはエレベーター設置の為には、「大規模な土地買収が必要となる」ことでした。当時、スロープ自体は難しいことが明らかでしたので、エレベーター設置の検討は当方が議会での一般質問でもさせて頂きましたが、検討の結果、現実的には難しいとなりました。
こういったスロープの話やエレベーターの話自体、やはり説明が中々されていないのが現実です。橋が出来ると、地域住民は利便性が圧倒的にあがるため本当に喜んでいただけます。ただ、使い始めるとやはり階段を含めた橋梁施設に対して、スロープ等要望が出てきてしまいます。完成がすべてではなく、より使い勝手の良い施設にしていく為のお声は非常に重要なことであるという前提にたった上で申し上げると、事前に検討され、正しい理由のもと設置が出来なかった機能については、なるべく事前に地域に丁寧に話をしていくことが求められると私は考えています。
すべての方がこの内容をみて納得してくれるかはわかりません。
ただ、なにも知らないままだといつまでたっても不満が続くだけとなってしまいます。
一人でも多くの地域の方に読んで頂ければと思ってお伝えをしております。

いつ頃完成予定なのか、今後のスケジュールについて
当初、令和2年3月の工事完成を予定していた本工事ですが、延期となったオリパラ需要にも恐らく関係しているかと思いますが、全国的に建設現場での高力ボルトの需要増加による供給不足が起きた為、工期に大きな影響を及ぼしました。
結果的に、全体工程が4か月程度の伸び、開通予定は8月となりました。

橋梁名について
最後に、この人道橋の名前についてです。長年に渡って期待されてきた橋です。
やはり一番合意形成を図る上で苦労された地域が主体となって決めて頂きたいということで、現在検討中とのことです。
開通時期に併せて発表されるのか、今から楽しみです。
本日も最後まで読んで頂き、有難う御座いました。