一質③鷺沼駅周辺再編整備について〜災害対策・向丘出張所・市民館・図書館は?〜

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みなさん、こんばんは。川崎市議会議員(宮前区選出)の矢沢孝雄です。
 
昨日のブログでも掲載した今回実施した一般質問の中で、本日は「鷺沼駅周辺再編整備に伴う公共機能の移転について」における議論の内容を報告していきたいと思います。
 

  • 市内バス停におけるベンチ設置の拡充について
    → 進む高齢化を見据え、特に民間バス事業者路線のバス停におけるベンチ設置の拡充に関する質問(市議会初)
  • 緑地政策における農地の位置付けと取組みについて
    → 都市農業振興基本法施行以来、本市では経済労働局としての議論は活発なれど、他局での議論が乏しい状況。都市緑地法改正を機に、緑地行政の中における農地の位置付けと役割、今後の保全と活用について質問。(市議会初)
  • 鷺沼駅周辺再編整備に伴う公共機能の移転について
    → 公共3施設移転の方針を定めた基本方針が2019年3月末に公表。多くのパブコメを受け、様々な観点を追加したが大枠の方向性は堅持。移転を考えていく上にあたって、課題を明確化させ建設的な議論を経て、懸念を抱く区民にも納得してもらう計画に導くことを目的とした質問。
 

鷺沼駅周辺再編整備を巡るこれまでの取組み

 
川崎市のホームページでも様々公表していますが、端的に時系列をまとめると、以下のようになります。
 

  • 平成27(2015)年6月、東急電鉄(株)と包括連携協定を締結
  • 平成29(2017)年8月、民間事業者で構成される「鷺沼駅前地区再開発準備組合」が設立
  • 平成30(2018)年度、さぎぬまプロジェクトと銘打って区民意見の集約に向けた取組みを進め「基本方針」策定
  • 平成31(2019)年度都市計画決定の予定
  • 平成33(2021)年度工事着手予定

 
また、行政が公表しているホームページから特に「さぎぬまプロジェクト」での区民まちづくりフォーラムや、団体との意見交換、ワークショップ、区民アンケートの取組みやその結果などについては、以下ページをご参照下さい。
 

 

以下、実際の質問のやり取り

 

矢沢たかお
 先般基本方針が示され、今後の取組みに向けた検討が庁内検討部会を中心に進められていく中、一方で未だ公共3施設移転に対して懸念を抱く区民も少なくはありません。今後の取組みを進めていく上でも、区民の懸念を丁寧に受け止め、課題を明確にし、その対策の検討を積み重ねていくことが区民の安心感に繋がります。今回は、先ずは災害対策について伺ってまいります。
 
 本基本方針でも留意すべき点として、「地形・地質」については、再開発区域の一部が大規模盛土造成地に該当していることに加え、電車のホーム周辺の法面上部の一部が土砂災害警戒区域に指定されている点が記載されています。区民の懸念を払拭する為にも、これらへの具体的な対策をしっかりと行っていく事が重要と考えますが、見解と取組みをまちづくり局長に伺います。
また、災害時の交通混雑に伴い、災害対策本部が機能不全に陥るのではないかと懸念する声も多く寄せられています。災害時の交通混雑は本基本方針でも課題と位置付けられていますが、陸の孤島とならない為の検討が必要と考えますが、災害発生時に想定される具体的な状況及び、その対策に向けた今後の取組みを総務企画局長に伺います。
 
 
 鷺沼駅周辺再編整備についての御質問でございますが、再開発事業区域内につきましては、区域の一部が大規模盛土造成地に該当し、法面上部の一部が土砂災害警戒区域に指定されておりますが、再開発事業における施設建築物を建築する際には、地質調査の結果に応じた杭基礎構造による頑強な地盤への支持を行うなど、地形・地質に勘案した対策を講じてまいります。
 あわせて、災害時において、区災害対策本部としての十分な機能確保が図られるよう、施設建築物の防災性能についても、準備組合と連携し、適切に対応してまいります。
 
宮前区長
 災害発生時の状況といたしましては、自家用車の道路や駅前広場等への放置・滞留、鉄道の運行停止に伴う帰宅困難者の発生などが想定されることから、基本方針や地域防災計画に基づき、放置車両等の車両移動などの交通対策を行うこととしております。
 具体的な取組といたしましては、警察などの関係機関と連携し、役割分担を図りながら、駅周辺への一般車両の流入抑制など交通規制や交通整理などを講じ、緊急通行車両の円滑な通行の確保及び市民等の安全な避難路を確保することとされており、帰宅困難者一時滞在施設の開設、適切な災害情報の発信など、駅前の混乱防止及び帰宅困難者対策に取り組んでまいります。
 今後、再開発事業や公共機能の移転計画の具体化に合わせて、防災面における検討を深め、警察などの関係機関や関係局や連携しながら、災害に強いまちづくりを推進してまいります。
 
矢沢たかお
 基本方針では、「警察署や消防署と隣接して立地していることは宮前平周辺に優位性がある」と表現していますが、この優位性とはどういった状態における優位性なのか、具体的に伺います。
 また、関連して「鷺沼には区役所、宮前平には消防署・警察署の2拠点体制になる為、被災リスクを分散させることが可能」とありますが、将来に渡って、消防署・警察署が現在地にあるという確認が取れているのでしょうか、総務企画局長に伺います。
 災害時において、機能を分割するわけではないという考え方のもと、適切な役割分担を行い相互補完が可能であれば、消防署・警察署・区役所の位置関係はどこであろうと、災害対応に及ぼす影響は限定的と考えて宜しいでしょうか。総務企画局長に伺います。
 
宮前区長
 宮前区役所と消防署、警察署との位置関係についての御質問でございますが、はじめに、基本方針における立地の優位性につきましては、距離的に近いという近接性を表したものでございます。災害発生時には、区役所・消防署・警察署の各機関が、立地の遠近にかかわらず、地域防災計画や各機関の本部の方針に基づき、相互に連携を図りながら、組織ごとの指揮系統により、役割に応じた災害対策を実施するものでございまして、移転後も災害対応力が十分に発揮できるように、今後具体的な対応について、検討してまいります。
 将来の消防署・警察署の位置についてでございますが、宮前消防署につきましては、現時点で移転の計画はないと伺っており、宮前警察署については把握しておりませんが、各機関が連携して取り組むことが重要と認識しております。
具体的には、これまでも、消防署・警察署には、区が主催している地域防災連絡会議、災害対策連絡協議会等に参加していただいているところでございます。
 また、警察・消防主催の会議や行事にも区役所は参加しているところでございまして、情報共有や意見交換などを行っております。
さらに、今年度も既に、両機関と連携した災害対策本部設置訓練を実施したところでございまして、今後2回の実施を予定している区総合防災訓練についても、両機関と連携して実施するなど、こうした取組を積み重ねることにより、実践的な地域防災力の向上を図ってまいりたいと存じます。
 
矢沢たかお
  基本方針では、しっかりと「防災性について」という項目において警察・消防と隣接していることに「優位性がある」と表現しているにも関わらず、災害時どんな優位性が具体的にあるのか?という質問を行ったわけですが、結局当局からは明確な答弁は頂けませんでした。
 これからの取組みを進める上でも、早期に課題を明確にし、それに対する検討を重ねていく事が、区民の安心感にも繋がります。引き続きこの点については今後も議論をして参りたいと思います。
 
 今後の向丘出張所の機能検討についてです。
 地域ニーズや課題を把握・整理し、概ね10年にわたる事業全体の想定スケジュールと並行して、機能のあり方について検討するという、基本方針案の段階では明記の無かった時間軸が要望の結果、追加されたことは改善点だと考えております。
今後、どのように地域ニーズや課題を把握・整理していくのか具体的に考えられている手法や取組みを市民文化局長に伺います。
また、区役所・市民館・図書館の移転と、跡地のあり方検討という概ね10年という事業全体スケジュールと並行する取組みと考えると、ソフト施策だけの取組みでは、逆に時間軸が長過ぎると考えます。地域ニーズや課題の把握の結果、ソフト施策だけでなく、施設そのもののハード施策も含めた検討が進む可能性もあると考えて宜しいのでしょうか。市民文化局長に伺います。
 
宮前区長
 向丘出張所の機能等の検討についての御質問でございますが、向丘地区の地域ニーズや課題の把握・整理にあたりましては、地域の皆様とともに進めていくことが重要であると考えておりますので、地域活動に取り組まれている方々へのヒアリングや、意見交換の場の設置なども含め、今後、具体的な取組内容について検討してまいります。
 次に、ハード施策も含めた検討の可能性についてでございますが、向丘出張所の機能の検討にあたりましては、鷺沼駅周辺再編整備を契機とした路線バスネットワークの検討や、現区役所等施設・用地に関する検討など、事業全体との連携・調整を図る必要があることなどから、概ね10年の想定スケジュールと並行して、検討を進めることとしたところでございます。
 出張所等の庁舎建築物につきましては、「かわさき資産マネジメントカルテ」において、目標耐用年数を60年以上とすることを基本としておりますので、向丘出張所においても経過年数に応じて適切な対応を図りつつ、出張所機能の検討により、建物の利用環境の改善が必要とされる場合などについては、順次実施していくことも視野に入れながら、検討してまいりたいと考えております。
 
矢沢たかお
  新しい市民館・図書館に向けた検討も進み始めました。本年9月、10月には「みんなでつくる、あたらしい宮前市民館・図書館アイデアワークショップ」が行われる予定となっています。新しい市民館・図書館を検討するにあたって、どういった視点を大切にし、施設のあるべき姿をどのように考えているのか、前宮前区長でもある小田嶋教育長に伺います。
 
教育長
 宮前市民館・図書館についての御質問でございますが、宮前区では、区民の皆様のまちづくりや、子育て、文化に関する関心が高く、様々な世代による活発な活動が展開されております。
 また、図書館の利用者数も、市内の図書館の中でも上位に位置するなど、多くの方々が読書や学習活動に取り組まれていらっしゃいます。
この度の鷺沼駅周辺再編整備に伴う市民館・図書館の移転・整備は、宮前区全体の将来を見据えた取組の一つとして進めるものでございまして、今年度は、新たな施設づくりに向けたワークショップの開催など、具体的な検討を進めてまいります。
 検討にあたりましては、これまでの市民館や図書館が果たしてきた役割を、新たな拠点においても引き継ぎながら、より多くの区民の皆様にとって、使いやすく、魅力に溢れた生涯学習活動の拠点となるよう、利用者の視点にたった取組を進め、未来への展望につなげてまいりたいと考えております。
 

今回の質問の成果として・・・

 

今回の議論で市として、 

  1. 災害対応については「各機関と緊密に連携を図りそれぞれの役割を全うする」に終始しており、実際の大災害を想定した課題の洗い出しが不十分であると感じた。区民が持つ懸念に対して、安心して本計画を推進できるようにするためにも災害対策については早期に深度ある議論を行っていく必要がある。
  2. 向丘出張所については、「かわさき資産マネジメントカルテ」の考え方に基づきながらも、地域ニーズや課題の把握を行い、検討次第ではハード施策もあり得る事を確認
  3. あたらしい市民館図書館に関しては、区民にとって使いやすく、魅力に溢れた施設となるようという答弁

2019年2月に基本方針(案)が公表され、パブリックコメントを経て、3月末に基本方針が公表されました。
ですが、基本方針はあくまで基本方針であって、多くの区民が未だに様々な懸念を持たれているのも事実であります。そういった懸念点を真摯に受け止め、丁寧な説明を重ねるのは勿論ですが、今回の議会でのやり取りを見ていただいてもわかる通り、当方自身ですが持っている疑問や懸念もクリアになっておらず、まだまだ課題の洗い出しが出来ていない部分については早急に明確化し、課題解決に向けた取組みを検討する必要があると考えます。
 
今後も多くの区民が安心できる取組みとなるよう、議論を深めてまいります。

 
当方が一般質問で取り上げた3テーマに関する報告はひとまず以上となります。
 
7月3日に議会が終わった後、その翌日からは参議院議員選挙。そして昨日月曜日から今週いっぱいは、市内各団体等とのヒアリングが続いています。50団体近くの団体との意見交換を通じて、来年の予算編成に活かして参ります。
 
本日も最後まで読んで頂き、有難うございました。
 


ABOUTこの記事をかいた人

宮前区選出、川崎市議会議員(自由民主党) A型/乙女座/丑年 菅生小・中学校→法政二高→法政大学卒業 2008年4月伊藤忠テクノソリューションズ入社 2014年7月に政治活動に専念する為、同企業を退社 2015年第18回統一地方選挙において初当選。現在二期目。 趣味:剣道四段、空手二段、書道(毛筆三段、硬筆二段)

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