みなさん、こんばんは。川崎市議会議員(宮前区選出)の矢沢孝雄です。
さて、令和7年川崎市議会第1回定例会も今週19日を残すのみとなってまいりました。
今回の記事では、当方が予算審査特別委員会で取り上げたテーマについてご報告をさせて頂きます。
2030年まで人口増加が続く本市ですが、子育て世帯の割合が高いと考えられる30歳から49歳までの年齢層や、0歳から14歳までの子ども世代においては転出超過が常態化しています。転出世帯に対する転出理由を質問したアンケート結果では、世帯主の転勤・転職を除き、住宅取得を契機とした転出が圧倒的に上位となっています。子育て世帯に向けた住宅取得支援施策の方向性について提案しました。
② 「宮前区役所向丘出張所の今後の活用に関する方針」の取組状況と今後について
本方針は、鷺沼駅再開発に伴う公共機能の移転を契機として、地域バランスへの配慮から策定されました。市民意見を整理し、その将来像の実現を考えた際に求められる機能を8つにまとめ、それぞれの取組を推進していくものとなっています。方針策定から3年を迎える中で、これまでの取組と成果、次年度予算における取組を宮前区長に質問しました。
今回は、「① 子育て世帯の定住促進施策について議会でのやり取りを報告させて頂きます。
それでは、早速議会でのやりとりを以下記載してまいりますが、その前に過去の議論について興味がある方はこちらの記事もご覧ください。
① 子育て世帯の定住促進施策について〜全国で進む子育て世帯向け住宅取得支援施策〜


本市の人口動態についての御質問でございますが、令和6年の「本市の人口動態」における年齢5歳階級別社会動体の特徴につきましては、15歳から29歳までの若い世代が特に転入超過となっており、本市は、大都市の中でも平均年齢が最も若い都市となっておりますが、子育て世帯の割合が高いと考えられる30歳から49歳までの年齢層や、0歳から14歳までの子ども世代で転出超過傾向となっております。


子育て世帯の転出超過状況についての御質問でございますが、子育て世帯の割合が高いと考えられる30歳から49歳までの年齢層の令和6年の各区の転出入状況は、転出超過が、中原区1,545人、高津区461人、多摩区280人に対して、転入超過は、川崎区166人、幸区526人となり、宮前区と麻生区は横ばい傾向となっております。
このうち、1,545人と転出超過が一番多い中原区につきましては、30歳から49歳までの年齢層の転入が6,531人、転出が8,076人となっており、この大きな人口流動が市全体の同年齢層の転出超過に大きく影響している状況となっております。
また、15歳から29歳までの年齢層の転入超過も中原区が4,237人と一番多くなっており、市全体の転入超過にも大きく影響している状況となっております。
次に、30歳から49歳までの年齢層の転出超過の傾向につきましては、短期的には令和2年から転出超過、令和4年から回復傾向にありますが、この30年では転出超過が回復傾向にある中で、リーマンショックや新型コロナウイルス感染症の影響など、社会的要因により一時的に大幅な転出傾向がみられる状況にあることから、より詳細な分析が必要と考えております。

- 川崎市の転出入状況に関する過去10年間の社会動態
- 川崎区は直近のR6年は若干の転入超過
- 幸区は本市の特徴があまり出ていないが、R6子育て世帯は本市最大の転入超過
- 中原区は本市の特徴が最も色濃く出ている区
- 高津区は本市全体の特徴を少しマイルドにした形
- 宮前区は本市の特徴が出ておらず横ばい
- 多摩区は本市全体の特徴を少しマイルドにした形
- 麻生区は本市の特徴が出ておらず横ばい
- リーマンショック直前の開発ラッシュを除き、基本的には転出超過傾向が続く。近年は回復傾向だが、過去推移を見ると頭打ちか。

子育て世帯の定住促進策についての御質問でございますが、本市は首都圏の好位置に立地し、交通利便性の高い地域特性を有している中、30歳から49歳までの年齢層の転出入の動向が区ごとに大きく異なっていることから、首都圏における交通ネットワークや住宅流通市場の動向など、今後詳細な分析が必要と認識しているところでございます。
子育て世帯の定住促進に向けては、こうした社会経済環境や地域特性に応じた施策が重要と認識しておりますので、総合計画の改定に併せ、本市の重要施策として検討を進めてまいります。


子育て世帯の定住促進策についての御質問でございますが、これまでの子育て世帯の定住に向けた住宅取得支援につきましては、本市と連携した民間事業者等の取組として、建物状況調査やリフォーム瑕疵保険などを付与し、住宅を子育て世帯などへ再販売する「あんしんストック住宅」の取組やこうした取組を促進するためのセミナーの開催などを実施しているところでございますが、現在のところ契約件数は2件となっております。
現時点では、市内定住の取組として十分な成果は得られていない状況でございますので、今後につきましては、区別の転出入の状況や、共同住宅や賃貸の割合が高いエリア、戸建住宅や持家の割合が高いエリアなどの地域特性を踏まえた調査分析を行い、関連した施策と連携した手法の検討を進めてまいります。

- 隣接市である横浜市や東京都では数年前から子育て世帯向け住宅取得支援に乗り出している。
- (参考)横浜市の転出入動態の図だが、川崎市と異なり、子育て世帯においても近年転入超過が続いていることがわかる。

子育て世帯の定住促進策についての御質問でございますが、首都圏に位置し、住宅の流通市場が良好で、交通の利便性が高い本市におきましても、将来的には人口減少が見込まれており、本市の持続的な発展のためには、子育て世帯の定住促進策の取組は極めて重要であると考えております。
今後につきましては、全国の様々な事例を参考にしながら、国の制度も最大限活用し、子育てしやすい環境づくりをはじめ、すべての市民が安心し、ゆとりを持って、共に住み続けられる活力ある持続可能な地域社会の実現に向けた取組を進めてまいります。
まとめ
今回の質問で、全国政令市で進む「子育て世帯向け住宅取得支援施策」を本市でも展開していくことを提案をしました。その結果、
・子育て世帯の定住促進に向けて、総合計画の改定に併せ、本市の重要施策として検討を進めていくことを明言。
・これまでの子育て世帯の定住に向けた住宅取得支援につきましては、現時点では、十分な成果は得られていない状況と判断している。
・本市の持続的な発展のためには、子育て世帯の定住促進策の取組は極めて重要である認識。全国の様々な事例を参考にしながら、国の制度も最大限活用し、子育てしやすい環境づくりを進めることを明言。
具体的には、他都市が実施しているような「子育て世帯が住宅を取得する際の補助金支援」による「定住促進」と「省エネ住宅普及」、さらにはリノベーション費用への補助も含めた形で、空家対策にも資する取組にしている横浜市を参考にするのが良いのではと考えていますが、本市の場合、質疑でも実施し判明している通り、区によってかなり大きな特徴の違いがあります。この辺も加味した上で本市にあった効果的な施策を展開していく必要があります。
かれこれ6年程前から、子育て世帯向けの転出超過対策は実施してきましたが、本市においては効果的な施策を展開できていません。
全国20ある政令市中、13市で展開されている住宅取得施策について一覧化したものを掲載します。

他政令市で進む子育て世帯向け住宅取得支援施策。
他都市による施策が積極的に展開されている中、本市で子どもを産み、育てることがよりしやすい環境整備の為にもこの取り組みを進めていきたいと思っています。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。