令和2年度決算から見る川崎市の財政状況について

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令和2年度決算から見る川崎市の財政状況について
みなさん、こんばんは。川崎市議会議員(宮前区選出)の矢沢孝雄です。

 

あっという間に8月が終わり、9月となりました。
8月お盆を過ぎてからは、現在始まっている9月議会に向けて、委員会の他、事前の提案説明や、会派内における本議会にあたっての情報共有、代表質問準備などの準備が進んでいました。

 

新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からも、小規模・分散での説明などが執り行われていますが、長時間の仕事でもあります。現在取り組みを進めていますが、委員会開催や非公式の会派説明、その他理事者側との接触については、極力オンライン等、非接触で行えるようプロジェクトを別個で立ち上げ、検討が進められています。

 

ちなみに、自民党川崎市議団内においては、そういった環境整備を整え、代表質問準備や読み合わせ等、団会議はオンライン参加も可能としています。

 

さて、今回は、川崎市議会第3回定例会において重要となる令和2年度決算状況について、少し時間をとってご報告したいと思います。

 

決算を見ることで川崎市の財政状況が把握することができます。
現在は令和3年度ですが、決算対象となるのは令和2年度(令和2年4月から令和3年3月)となります。実質、新型コロナウイルス感染症を受けた年度であり、様々な事業が中止となるなど、当初予算を執行できない年度であった為、多額の不用額(使えなかった予算)や予算流用が発生しています。

 

また、毎年見込んでいた減債基金からの取り崩しは発生しなかった等、いくつかのポイントを下記にまとめましたので、ご確認ください。

 

令和2年度一般会計決算のポイント

◯ 歳入規模は9,597億円となり、過去最大(前年度7,397億円)
 - 最大の増加要因は国庫支出金(+1,781億円)※新型コロナ臨時交付金に基づく収入
◯ 歳出規模は9,562億円となり、過去最大(前年度7,367億円)
 - 最大の増加要因は健康福祉費(+1,627億円)※新型コロナ関係交付金に基づく支出
◯ 実質収支は1億8,400万円(前年度1億8,300万円)
 - 財政調整基金は、65億円(前年度63億円)
◯ 市税収入は過去最高の3,654億円(前年度3,619億円)
 - 市税において新型コロナウイルス感染症の影響を本格的に受けるのは、令和3年度。
◯ 扶助費は2,073億円となり、引き続き増大(前年度1,971億円)
◯ 減災基金からの新規借入れは無し(借入累計学527億円)
 - 当初予算では125億円の新規借入を想定していたが、決算では、予算に対して市税が増収となったこと、また、医療機関への受診機会の減、新型コロナウイルス感染症の影響により歳出が減少したこと等により、最終的には新規の借入れを実施しなかった。

 


 

令和2年市税収入の内訳とこれまで推移について

個人市民税(1,766億円)と固定資産税(1,278億円)が全体83.3%を占めている。
法人市民税は実は155億円程度しかなく、全体の4.3%程度。
H29からH30が上昇している要因は、県費教職員負担金の市への委譲によるもの。
市民の増減、個人市民税が市税収入の中でも大きな要素となっており、今後長期の見込みはどうなるのか?川崎市の市税収入の見込みは、財政フレームは10年に合わせて公表されているが、それ以降が無い。2030年の人口ピークを過ぎた後の市税収入の推移を把握し、どれだけの財政不足が発生するのかを把握する必要がある。推計が長期に渡れば渡るほど、経済見通しや国家施策の方向性や影響など、不確実性が高い見通しになってしまうが、大規模投資をはじめ、新しい施策、事業推進や事業見直し等の政策判断においては、10年間の試算では短過ぎると考える。
 
横浜市では令和2年9月に、横浜市の今後45年の収支不足見通しを公表しており、これもIR是非の判断材料の一つとして注目された。

 

(参考)横浜市の長期財政推計 令和2年9月財政局



 

市税収入率は過去最高を引き続き確保しているものの・・・

資力があるにもかかわらず未納にしている方々をゼロにすることが、あるべき姿である一方、現実的には課題もある。収納率は99.2%と過去最高(政令市の中でもトップレベルで、実際改善の状況は素直に評価できる)ではあるが、未納額は年間約24億円ある。年間24億円でやれることは非常に多い。内訳を見ると、減少傾向とはいえ、依然多いのは、市民税の滞納。早期アプローチの強化など、今後の対策も重要。

 

 

どこまで伸びる・・・ふるさと納税制度による減収

ふるさと納税の影響により、市税等の減収額は年々拡大している。令和2年度には、66億円となり、過去最大の減収額となった。年間約10億円以上の推移で減収となっている。
今後の見込みは、毎年10億ずつ増えていくと考えている。令和3年決算は80億まで増えると言われている。傾向から読み取れる分析状況。寄付者数自体は伸びているが、一人当たりの金額はそこまで伸びているが、今後のネガディブポテンシャルとしてはどこまでなのか?
また、普通交付税交付団体となることで、ふるさと納税減収額に与える影響も考慮する必要がある。財源不足分の75%は、臨時財政対策債と交付税で補填されると考えているが、ふるさと納税に対する還元がどれだけあるかは「ふるさと納税単体」では把握するのは難しいとのことだが、財政面ではプラス要素となる。因みに、普通交付税交付団体として、地方税に算入してくるのは令和3年度からとなる。

 

 

財政調整基金の状況

自由度の高い使い方が可能な川崎市のいわば貯金である「財政調整基金」の令和2年度末残高は、65億2,400万円に増額(+1億4,000万円)。財政調整基金については、H24、H25の時に・大幅取り崩し(年13億〜15億)を実施。他方、H27はまだ普通交付税交付団体だったことから、当初予算見込み以上に臨時財政対策債が多かった年だったということから約22億円の積立を実施。
令和2年度においては、少ないながらも順調に積立が行えている印象はある。さらに不用額の発生から本年6月議会で新規に8億円の積み立てを実施。
一方で、令和3年度当初予算では取り崩しは見込んでいなかったが、9月補正で6億円強を補正予算として計上している。

 

 

最後に

令和2年度決算概要を見る限り、上記のような部分がポイントとして挙げられると当方は考えています。今後の決算審査特別委員会等を含め、詳細に入っていきますが、令和2年度決算から見える川崎市の財政状況をシンプルに表現すると、

 

「将来不安を抱える貯金が出来ていない高収入&超高支出な街」と言えるのではないかと思います。

 

令和2年度こそ、新型コロナウイルスの影響もあり、多額の不用額や感染対策の結果の医療費減が重なり、減債基金(将来の市債償還に必要な基金)からの切り崩しをせずとも、約1億8千万円の黒字として、貯金を積み立てることができましたが、当初見込みでは、125億円の切り崩しが想定されていました。
つまり、人口増に伴う市税収入の増がありながらも、ふるさと納税の流出も含め、収入を上回る支出が常態化している為、強い将来不安を抱えている状態なわけです。
取り組んできている以上に、不断の行財政改革と時代に合わせた事業の見直しが必要となっています。

 

繰り返しになりますが、将来の市債償還にあてる為の「減債基金への積み立て」を真面目に行なっている本市ですが、その一方で、積み立てをしながら赤字部分を補填する形で多額の切り崩しに頼った市政運営が川崎市では続いています。市長もおっしゃっていますが、減債基金に頼らない市政運営を目指すべきです。

 

一方で、お隣横浜市をはじめ減債基金への積み立てを実施していない自治体も多く存在しています。

 

えっ?なんで自治体によって考え方が違うの?川崎市は積み立てしながら、なぜ切り崩ししているの?など、過去との比較に加え、政令指定都市唯一の普通交付税不交付団体であった本市が抱える、特有の課題や財政状況についても説明しております。重複してしまうので、今回の記事では記載していません。
興味関心がある方は、以下記事もあわせてご確認いただければ幸いです。

 

平成30年度決算から見る川崎市の財政状況について

2019.09.03

 

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 


ABOUTこの記事をかいた人

宮前区選出、川崎市議会議員(自由民主党) A型/乙女座/丑年 菅生小・中学校→法政二高→法政大学卒業 2008年4月伊藤忠テクノソリューションズ入社 2014年7月に政治活動に専念する為、同企業を退社 2015年第18回統一地方選挙において初当選。現在二期目。 趣味:剣道四段、空手二段、書道(毛筆三段、硬筆二段)

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