川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例の制定について④

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実際の文教委員会の様子(写真は12月9日開催時のもの)

みなさん、こんばんは。川崎市議会議員(宮前区選出)の矢沢孝雄です。
 
12日(木)、第5回川崎市議会定例会に提出された諸議案の採決日となりました。
今回を含め4回に渡って続けてきました第5回定例会提出議案第157号「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」に関する記事は一旦終了としたいと思います。最後の記事は、12日本日の条例成立となりました流れについて、皆様にお伝えしていければと思っています。また、自由民主党が行った「討論全文」も記載をさせて頂きます。討論は賛成討論、反対討論とそれぞれ分かれていますが、まさに会派として採決に対しどう臨むかの態度表明を行うものであります。
 
本日に至るまでどういった姿勢で自民党が本議案に臨んできたかについては、本ブログ④と併せて、①〜③も一連の流れとしてご覧頂ければと存じます。
 
【11月27日】川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例の制定について
【12月5日】川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例の制定について②
【12月7日】川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例の制定について③
 

自民党提案の「継続審査」→「附帯決議案」について


 
本日の議決に触れる前に、本会議前半で行われた各常任委員会の報告についてお伝え致します。
川崎市は5つの常任委員会と1つの特別委員会を設けており、議会毎に提出される議案については委員会に割り振られ、委員会内採決を経て、最終的には本会議での表決となります。本会議での表決の際には、委員会先議結果を尊重するといった慣例があります。
 
各委員会には必ず各会派から代表して委員が選出されていますので、当たり前ですが、各会派の意思はすべて持った上で委員は委員会に臨んでいます。
この度の議案第157号が付託された文教委員会は全部で12名(自民:4、公明:2、みらい:3、共産2、チーム無所属:1)で構成されており、委員長(※今年度委員長は公明)は採決に加われない為、基本的に11名で採決されることなります。
 
さて、話に戻ると、委員長報告では議案第157号の審査結果報告は<<全会一致原案可決>>、附帯決議の審査結果は<<賛成多数附帯決議を付す>>とありました。前回のブログ③でもお伝えしたとおり、自民党の意見は「継続審査(次期議会への持ち越し)」でありました。継続審査を主張した理由はブログ③でお伝えしておりますので、省きますが、結果は5対6で認められず、その後、自民党から附帯決議案の提案という流れとなりました。
自民党が提案した附帯決議案(全文)
 
その後、日をまたぎ各会派との調整が行われた結果、次のような附帯決議文となりました。
附帯決議文(賛成多数で委員会可決)
 
委員会審査当日のやり取りについては、本日提出のあった委員長報告資料を添付致しますので、委員会採決当日に委員と理事者の間でどういった質問が飛び交っていたのかについては以下↓をご参照ください。
文教委員会委員長報告(質疑の内容)
 

12日採決を迎えるにあたっての自民党討論(全文)


 
以下の文章は、自民党川崎市議団19名の総意でまとめた文章であります。自民党川崎市議団の中においても、一つの討論を行うだけでも様々な議論が行われ、一つの文章にまとめています。
 
 私は、自由民主党川崎市議会議員団を代表し、令和元年第5回定例会に提案されました、議案第157号 川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例の制定について、賛成の立場から討論を行います。
 まず、本条例案の趣旨はあらゆる差別をなくすためのものであり、本趣旨を否定するものではない為、賛成致します。本市では、平成25年以降、本邦外出身者に対する人権を踏みにじる言動を伴うデモが度重なり、わが街が築いてきた共生の文化を汚されたことに強い憤りを覚えるとともに、悲しみを招くあらゆる差別をなくすべく、議会、行政、そして市民が一丸となって取り組むべきものと考えております。
 本条例案は、あくまでも「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」、いわゆる「ヘイトスピーチ解消法」を根拠として、表現の自由への配慮のために、罰則の対象となるものは、本邦外出身者に対する不当な差別的言動に限られたわけではありますが、本邦外出身者に対する不当な差別的言動以外のものであれば、いかなる差別的言動であっても許されるとの理解は誤りであり、差別とは誰に対しても許されないことを、改めて強く申し上げます。私たちは今後、あらゆる差別のない社会の形成に向け、国に対し、法整備のより一層の充実に向け、人権尊重のまち・川崎として強く主張していくべきです。つまり、本条例案の成立は決してゴールではなく、わが国全体で、人権差別の問題について考えるきっかけとなるものであると考えており、引き続き、差別のない人権尊重のまちづくりに向け、不断の努力を重ねて参りますことをお誓い申し上げます。
 わが会派は、本年3月の骨子案公表以来、条例を運用していく上でのガイドラインの必要性、実効性を確保するための調査体制の課題、本条例案の根拠となっている法の改正に向けた働きかけの重要性、そして、市民の理解を得るための取組などを指摘し、議論を重ねて参りました。現時点においても課題は残っておりますが、先の文教委員会にて提案し、可決した附帯決議を踏まえ、疑義の解消、市民理解の向上が進むことを切に期待致しております。
そこで、附帯決議について、申し上げます。
わが会派は、継続審査を求めたものの認められなかったため、附帯決議案を提出するに至りました。当初は第2項において、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動以外のものであれば、いかなる差別的言動であっても許されるとの理解は誤りであるとの基本的認識の下、本邦外出身者のみならず、日本国民たる市民に対しても不当な差別的言動が認められる場合には、本条例の罰則の改正も含め、必要な施策及び措置を講ずること」と提案致しました。罰則規定においては、公平公正に全ての市民を分け隔てなく対象とすべきであり、本邦出身者と本邦外出身者とを分断してはならないとの考えからであります。
結果、「本邦外出身者以外の市民に対しても、不当な差別的言動による著しい人権侵害が認められる場合には、必要な施策及び措置を検討すること」となりましたが、市民を分断するようなことはあってはならないとの想いは今一度、申し述べておきます。
 さらに一言、申し上げます。
 「市民の総意」という言葉を使って条例制定を目指してきた市長の想いを、私たちも共有して参りました。しかしながら、市民理解が浸透する前に、賛否両論が渦巻き、わだかまりを抱いたまま採決に至ったことは大変に残念であり、「市民の総意」という言葉が虚しく感じられることは本意ではありません。加えて「総論賛成・各論反対」で、政治が停滞することもまた望むものではありません。「市民の総意」という言葉の重みを今一度、市長は噛みしめて、市民が本条例案を正しく理解し、受け入れることができる環境を整えるよう強く求めるものであります。
また、骨子案が文教委員会に示された際、市民文化局は、「スケジュールは仮置きであり、新年度の様子によっては変わることも想定され、慎重に検討を進めたい。スケジュールありきではない」との見解を示しておりました。しかし、想定をさらに上回るパブリックコメントが寄せられ、素案の内容も多くの修正がなされるという前例の極めて少ない状況にあったにも関わらず、修正された素案についての委員会報告からわずか一週間余りで議案として条例文が示されました。また、6月の素案公表の際には、わが会派が適正な運用のために定義の明確化について言及したところ、「解釈指針等も定めていかなくてはならないと考えている」と担当者自らが答えておりましたが、11月には構成要件の整理、明確化によって適正な運用に努めるとの見解に変わり、そして、議案審査の二日前である12月4日に行ったわが会派の代表質問に対し、突如として「解釈指針を定める」と市長が明言致しました。さらには、委員会での議案審査の中で解釈指針の検討状況について尋ねると、半年前からその必要性を自ら述べていたにも拘らず、「未着手」とのことでありました。このように今年度に入ってから、さまざまに議論すべき新たな課題が浮上したために、わが会派は一時、結論を急がずに議論を深め、より良い条例を目指すべく様々指摘してきました。結局、「スケジュールありき」の議論となったことは、遺憾と言わざるをえませんが、今般、市長から必要な法整備の国への要望を行うことや社会情勢を捉えての条例改正の検討について答弁がありましたので、本条例を適切に運用し、差別問題の根絶に向けた切れ目のない取組を推進するよう求めておきます。また、海外の事例も調査したとのことですが、知るかぎりでは本邦外出身者のみを対象としている事例は見当たりません。条例制定後も引き続き、研究を重ね、平等性を確保する条例へと磨き上げ発展させていく為、大いに参考にして頂きたいと併せて要望いたします。
 最後に、市民の皆様にも申し上げます。
この度は、大変高い関心を持って頂き、多くのご意見をお寄せ頂きましたことに敬意を表する次第であります。しかしながら、本条例案への賛成派・反対派を問わずに一部の人々から私たちに対し、脅しとも取れる内容のものが寄せられたことには、憤懣やるかたない思いをしていることも事実であります。
先に申し上げたとおり、本条例案の成立はゴールではなくスタートです。われわれ自由民主党は、理路整然とした正しき言論の自由を守り抜いていく決意を表明し、討論を終わります。

今後について


今回可決した「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」は、2段階で施行されます。
1段階目は令和2年4月1日施行。2段階目は7月1日施行となります。
1段階目では、
 
 ・川崎市人権施策推進基本計画の策定
 ・人権尊重のまちづくり推進協議会の設置
 ・公の施設の利用許可等の基準
 ・インターネット表現活動に係る拡散防止措置
 ・差別防止対策等審査会の設置
 ・審査会の調査審議手続き
 ・表現の自由等への配慮
 
に向けた取り組みが進められ、2段階目では、
 
 ・本邦外出身者に対する不当な差別的言動の禁止
 ・勧告
 ・命令
 ・公表
 
が推進されていくことになります。
条例施行までの期間においても、議会に提出されるであろう「解釈指針」や「市民周知」の取り組み等、可決後の議会においても厳しい態度で討論の通りの姿勢で我々は臨んでいく所存です。今回のブログ④で本議案に対する記事は、一旦終了とさせて頂く予定ですが、今後においても前述の姿勢で皆様にはご報告をしていく所存ですので、またその際はご覧頂ければ幸いです。
 
日本中から注目を集めた本議案に関しては、この間も当方自身にも事務所にも、多くのご意見を頂戴致しました。以前からお伝えしていたとおり、個別の対応は行えませんでしたが、可能な限り頂いたご意見には目を通していました。そして、感謝申し上げたいのは、当方に送られてくるメッセージについては非常に建設的なものも多く含まれていたことです。個別対応はせずとも、そういった意見については、代表質問や委員会質疑、さらには討論等でもエッセンスや観点として部分的に取り入れさせて頂いたものもありました。重ねて感謝申し上げるとともに、今後も本市発展のために様々なご意見を伺っていく中で、幅広い視点でご協力をお願いしたいと思います。
 
本日も最後まで読んで頂き、有難うございました。
 
 
↓↓併せて読んで頂きたい過去ブログ

川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例の制定について③

2019.12.07

川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例の制定について②

2019.12.05

川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例の制定について

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