川崎市議会第4回定例会一般質問〜新型コロナ・交差点安全対策・鷺沼再開発〜

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 みなさん、こんばんは。川崎市議会議員(宮前区選出)の矢沢孝雄です。

 

 6月1日(月)から始まった川崎市議会第4回定例会もいよいよ大詰めとなってまいりました。川崎市内小規模事業者臨時給付金(10万円)の補正予算を先決して採決したのが、6月3日。

 

その後、提出された議案に対する代表質問や各委員会による議案の審査が6月10日以降行われ、追加議案を含めて18日(木)に採決がされました。

 

そして、昨日6月23日(火)から各議員による市政一般に対する一般質問が始まっています。なぜ、採決はすでに済んでいる為、議案に関係することや委員会で継続審査になっている陳情や請願に絡む内容を除き、一般質問ではそれぞれ質問が出来ます。

 

今回は、矢沢たかおが取り上げた一般質問3項目について、その概要をお伝えすると共に、「鷺沼駅周辺再編整備について」の議論について記載していきたいと思います。

 

 

新型コロナ・交差点安全対策・鷺沼駅再開発

  
今回の一般質問では、以下の3項目について取り上げさせて頂きました。後述致しますが、どれも具体的に当方のところに相談に来てくれた話であったり、当方が地域活動の中で伺った話がきっかけとなっています。

 

  1. 新型コロナウイルス感染症に係る支援について
    − 妊婦への特別支援
    − 農業従事者への支援等
     
  2. 宮前区内交差点の安全対策について
    − 犬蔵交差点の歩車分離式信号機導入に向けた検討状況
    − 稗原交差点付近(市道菅生433号線)の改良工事等
     
  3. 鷺沼駅周辺再編整備について
    − 準備組合への補助金
    − 新しい宮前市民館・図書館基本計画(案)等

 

新型コロナウイルス感染症については、今回上程された議案に絡む内容については質問できない為、現在市では行っていないが、支援が行き届いていないと感じている部分について取り上げました。

 

宮前区内交差点の安全対策については、これまで継続して取り上げている内容です。特に、犬蔵交差点の安全対策は昨年も一般質問で取り上げ、本年2月には川崎市行政と交通管理者との打ち合わせも実施。実現に向けて、前向きに取り組まれている事案です。

 

鷺沼駅周辺再編整備については、様々な観点の中でも特に県が一切負担をしないといっている「準備組合への補助金」、この度基本計画が示された宮前市民館・図書館が将来にわたって、区民にとって満足度の高い施設としていくため、いまから懸念、指摘されている部分に関し、追求をした内容となっています

 

鷺沼駅再開発について〜準備組合への補助金〜

 以下、実際の質疑のやり取りを記載させて頂きます。

 

①(矢沢たかお)

 

 第1回市議会定例会における我が会派の代表質問で、「総事業費は400から500億円、補助金総額は約80億円〜100億円、そのうち地方公共団体負担分は約40億〜50億円程度想定している」との答弁がありました。

 

 再開発に伴う準備組合への補助金には、公共性が求められます。補助金額については、どのように算定されるのか積算根拠を伺います。併せて、再開発に伴い移転予定となっている区役所・市民館・図書館は、補助金に対する算定に影響を及ぼすのか伺います。

 

 また、補助金の地方公共団体負担割合については、県と市でおおむね同額の負担を行ってきたものが、此度の鷺沼駅再開発において、現在、県は新規の再開発事業については補助しない方針を示しています。このような方針となった理由及び経緯に加え、直近の武蔵小杉駅周辺再開発事業における県の対応はどうだったのか伺います。

 

①−A(まちづくり局長)

 

 鷺沼駅周辺再編整備における再開発事業補助についてのご質問でございますが、はじめに、再開発事業に係る補助額につきましては、国の「市街地再開発事業等補助要領」などに基づき、調査・設計・計画、土地整備、及び協働施設整備に係る費用を補助対象事業として算定するものでございます。

 

 当該再開発事業においては、既存建物の解体や、広く市民が利用する広場の整備に要する費用などが該当し、区役所等の整備については、再開発事業の補助額に係るものではございません。

 

 次に、再開発事業補助の県負担につきましては、県からは、平成21年度からの危機的な財政状況を契機とし、平成23年に指定都市における新規案件には補助しないとの方針が示されました。その後、平成26年度に再開発事業の認可等の権限移譲が行われ、現在も同様の見解が示されております。

 

 県の方針が示された時点で、再開発組合が事業を実施中の地区と、既に準備組合等が設立され事業化の調整が進捗している地区については、県の補助が継続されており、小杉町3丁目中央地区及び同東地区につきましては、継続地区扱いとして、県からの補助金が交付されているところでございます。


 

②(矢沢たかお)

 

 再開発事業として見ても多額の補助金を負担することとなります。再開発事業の結果として得られる効果について、定性的な効果及び、税収効果のシミュレーションにおいて、税収効果を得るために要する期間をどの程度と試算しているのか、県負担分の有無による影響も含めて、その具体的な内容をまちづくり局長に伺います。

 

 また、市長にも伺います。

 

 市街地再開発事業は、都市再開発法に基づき、原則として「事業者負担1/3、補助金2/3」を前提とした事業スキームとなっています。鷺沼駅再開発の地方負担分、つまり約40億〜50億円程度については、本来、県負担分があって然るべきと考えますが、市長の率直な見解を伺います。

 

②−A(まちづくり局長)

 

 再開発事業の効果についてのご質問でございますが、はじめに、当該再開発事業の定性的な整備効果といたしましては、交通広場等の整備に伴う安全性の向上や、商業や市民利用施設等の集積による利便性の向上などが図られると考えております。

 

 次に、その他の整備効果のうち、税収効果につきましては、公益社団法人「全国市街地再開発協会」が発行する「市街地再開発事業による税収効果評価マニュアル案」に基づき試算したところ、供用開始から10年前後で、累積の収支として、固定資産税や市民税等の増収分が、補助金等の市の負担を上回るものと見込んでいるところでございます。

 

 なお、県負担がない場合は、同試算において、税収が上回るまでの期間が供用開始から40年を超えることが想定されることから、県市協調により事業を推進することで、より安定した都市経営につながるものと考えております。

 

②−A(市長)

 

 再開発事業補助の県負担についてのご質問でございますが、再開発事業は、県土全体の持続的な発展に資する取組であり、県民生活の安全・安心と質の向上等に寄与するだけでなく、県の税収確保にも高い効果が見込まれるものであることから、県としても、相応の負担を行うべきと考えております。


 

③(矢沢たかお)

 

 この話は鷺沼駅再開発に留まらず、今後、再開発事業の可能性がある川崎駅、柿生駅、新百合ヶ丘駅などにも大きな影響を及ぼします。これまでの県や多摩川会に対する要請活動に加え、県内3政令指定都市市長が連携した要請活動を展開していくことが重要ではないでしょうか。市長の見解を再度伺います。

 

③−A(市長)

 

 県に対する要請についての御質問でございますが、これまでも県知事に対して直接要請してきたところであり、これからも様々な機会を捉え、県内3指定都市で情報や認識等を共有しながら、指定都市を区別せず、国・県・市の重要施策や県全体への波及効果を踏まえた県による相応な財政措置を、強く要請してまいります。


新しい宮前市民館・図書館基本計画(案)について

④(矢沢たかお)

 この度、新しい宮前市民館・図書館基本計画(案)が示されました。

 

 先ず、施設規模は、「現在の宮前市民館・図書館と同規模とすることを基本とする」とありますが、現施設と比較してアクセス性を向上させることが、そもそもの移転のポイントの一つでもありました。

 

人が集まる駅前に立地することで、利用者の大幅増となることが容易に想像されますが、どの程度の増加を見込んでいるのか伺います。

 

 また、現施設と同規模の施設で、施設のCS向上をどう図るのか伺います。

 

④−A(教育次長)

 

 新しい宮前市民館・図書館基本計画(案)についての御質問でございますが、利用者の増加の見込みにつきましては、再開発事業に伴い移転いたしました中原市民館では、諸室の利用率が約1.3倍、中原図書館では、入館者数が約1.8倍となった実績がございまして、現時点において、新しい宮前市民館・図書館につきましても、同程度の利用者の増加を想定しているところでございます。

 

 また、多様なニーズや利用者の増加への対応につきましては、フリースペースや子ども等の居場所、閲覧スペース等の新規・拡充スペースを創出する必要がございます。

 

 そのため、現在の施設の利用状況等を踏まえた諸室の規模の適正化をはじめ、市民館と図書館との融合による諸室の多目的化等とともに、開館時間の延長等による幅広い利用者層に対応した事業・サービスの推進策等について、引き続き、検討を進めてまいります。


⑤(矢沢たかお)

 

 鷺沼駅は少し歩けばすぐ横浜市といった市境に近い場所となっています。

 新しい宮前市民館・図書館が、ふたを開けてみたら、利用する横浜市民が多くて宮前区の人が満足に使えないといった施設とならないようソフト面での検討が今から必要だと考えています。地域生活拠点として宮前区全体に資する「宮前区の核」を掲げての取り組みですので、真っ先に区民にとって満足度の高い施設としていくことが重要ですが、見解と今後の取り組みを伺います。

 

⑤-A(教育次長)

 

 新しい宮前市民館・図書館についての御質問でございますが、新しい市民館・図書館の事業・サービスの検討にあたりましては、区民の方々をはじめ多くの市民の皆さまにとって魅力に溢れ、愛着が湧き、大切に御利用いただける施設となるよう、庁内横断的な取組を推進しているところでございます。

 

 立地性を踏まえた利用者へのサービス提供につきましては、市民意見聴取や他都市の状況把握等による新たな事業・サービスのあり方を幅広く検討する中で、考え方を整理してまいりたいと存じます。


⑥(矢沢たかお)

 

 新しい市民館図書館の下層部は「民間の商業エリア」となっています。

 

公的スペースと民間商業エリアとの連携は再開発事業のポイントでもありますが、永続的に調和ある連携が保てることを担保できるのでしょうか。例えば、官民連携となるとイメージするのは、カフェやコワーキングスペースなどの設置です。一方で、民間スペースの活用や連携といった考えに頼り過ぎてしまうことは、それが普遍的なものではないことを考えると、懸念が残ります。

 

 当初のコンセプトである上部の公共スペースと民間スペースとの連携・調和を将来にわたって、どのように維持し続けていくのか、具体的に伺います。

 

⑥−A(まちづくり局長)

 

 民間施設との連携についての御質問でございますが、利用者の多様なニーズに対応するため、目的や機能の補完、交流の創造等に着目し、公共施設と民間施設の連携、機能・空間の融合や多機能化を図ることによる相乗効果を創出することとし、公共・民間の担うべき役割を意識した上で、それぞれの強みを活かした新たな賑わいや交流の促進を目指してまいりたいと考えております。

 

 また、施設計画の段階から、準備組合や周辺商店街などと施設全体のコンセプトや広場のあり方等について共有するなど、公共施設と民間施設の連携の取組が将来にわたって維持されるよう、協議調整を行ってまいります。


⑦(矢沢たかお)

 

 北街区の新しい宮前区役所、駅前街区の新しい宮前市民館・図書館を含めた公共3施設はいずれも、将来に渡り適切に維持管理をしていく必要があります。マンションの所有関係を整理する区分所有法は、いまの老朽マンション問題の壁にもなっていますが、長期的な施設更新への考え方について、どのように考えているのか見解を伺います。

 

 また、公共3施設の床は購入するのか伺います。

 

⑦−A(まちづくり局長)

 

 公共施設についての御質問でございますが、はじめに、施設建築物の権利形態等につきましては、建物の更新に大きく影響することから、今後、準備組合により検討が進められることとなっております。

 

 本市といたしましては、民間ビルと合築する他都市事例等を参考に、権利関係が複雑化しない仕組みを検討し、準備組合と協議・調整を行ってまいります。

 

 次に、新たに整備する公共施設につきましては、ホールなどの施設の特性上、賃貸は馴染まないと考えており、また、市民館・図書館の整備には、国庫補助金を充当できる可能性があることなどから、床を取得することを想定しており、今後、準備組合と協議・調整を行ってまいります。


⑧(矢沢たかお)

 

 計画では、駅前街区及び北街区に建設されるタワーマンション2棟の総戸数は約530戸とあります。

 

これまでの類似事例等から見える入居者特性について伺います。

 

 併せて、タワーマンションが建設される際の課題として、地域資源の不足が大きな問題となるケースが多々あります。学校施設、公園等、増える住民に対して、公共施設等は十分なのか現状の課題はないのか伺います。

 

⑧−A(まちづくり局長)

 

 都市型住宅等についての御質問でございますが、はじめに、入居者の特性につきましては、再開発事業の開発コンセプト案では、「駅直結の利便性を活かして、多世代の多様なライフスタイルに対応する」と示されていることから、様々な世代の方が入居されることが想定されております。

 

 次に、公共施設等への影響につきましては、現在、準備組合が行う環境影響評価手続きの中で、義務教育施設や集会施設、公園等について、調査及び予測等の検討が進められており、その結果や事業計画に盛り込まれる配慮事項等が、条例準備書において示される予定となっているため、その内容を踏まえ、調整してまいります。


 

まとめ

今回の質疑を通じて、明らかになったことや引き続きの課題などをまとめると以下のようになります。

 

  • 鷺沼駅再開発、400億円〜500億円と言われている総事業費のうち、準備組合への補助金は80億円〜100億円。その補助金の内訳は、都市再開発法に基づき、国が1/2、地方公共団体が1/2となっている。さらに、地方公共団体分はこれまで県と市で同額程度を折半していたが、県は指定都市に対しては一切補助しない方針を掲げた。
     
  • この補助金の積算には、宮前市民館・図書館・区役所の公共3施設移転は補助額に係るものではない。
     
  • 再開発の定性的な整備効果は、交通広場の整備に伴う安全性の向上や、商業や市民利用施設等の集積による利便性の向上など多数あるが、一方で市税収入のシミュレーションにおいては、供用開始から10年前後で分岐点迎えるが、県負担がない場合は、その期間が40年を超えてしまう。
     
  • 川崎市としても、県内3指定都市で情報や認識等を共有しながら、指定都市を区別せず、国・県・市の重要施策や県全体への波及効果を踏まえた県による相応な財政措置を、強く要請していくこととなった。
     
  • 再開発事業に伴い移転した中原市民館では、諸室の利用率が約1.3倍、中原図書館では、入館者数が約1.8倍となった実績があり、現時点において、新しい宮前市民館・図書館においても、同程度の利用者の増加を想定している。
     
  • 新しい施設については、現施設と「同規模を基本」とする為、諸室の規模の適正化、市民館と図書館との融合による諸室の多目的化等とともに、開館時間の延長等による幅広い利用者層に対応した事業・サービスの推進策等、今後さまざまな施策を通じて、引き続き、検討していく必要がある。
     
  • 新しい宮前市民館・図書館が、ふたを開けてみたら、利用する横浜市民が多くて宮前区の人が満足に使えないといった施設とならないようソフト面での検討が今から必要。
     
  • 当初のコンセプトである上部の公共スペースと下層の民間スペースとの連携・調和を将来にわたって、どのように維持し続けていくのかが課題。施設計画の段階から、準備組合や周辺商店街などと施設全体のコンセプトや広場のあり方等について共有するなど、公共施設と民間施設の連携の取組が将来にわたって維持されるよう、協議調整を行っていくとのこと。
     
  • 公共3施設(宮前区役所・市民館・図書館)の床は、ホールなどの施設の特性上、賃貸は馴染まないと考えており、また、市民館・図書館の整備には、国庫補助金を充当できる可能性があることなどから、床を取得することを想定している。
     
  • 長期的な施設更新への考え方については、民間ビルと合築する他都市事例等を参考に、権利関係が複雑化しない仕組みを検討し、準備組合と協議・調整していくとのこと。

 

 

余談ですが、記事更新はWordpressで行っているのですが、いつも使っているクラシックエディターから、最新?のエディターに変えたところ、ダラダラと長い文章になってしまいました。
 
新しいことに挑戦!って気持ちで書き始めましたが、やっぱり使い慣れたものから離れるべきではなかったなと思いました。
 
次回の記事からはまた元に戻りたいと思います(笑)
 
本日も最後まで読んで頂き、有難うございました。
 

 


ABOUTこの記事をかいた人

宮前区選出、川崎市議会議員(自由民主党) A型/乙女座/丑年 菅生小・中学校→法政二高→法政大学卒業 2008年4月伊藤忠テクノソリューションズ入社 2014年7月に政治活動に専念する為、同企業を退社 2015年第18回統一地方選挙において初当選。現在二期目。 趣味:剣道四段、空手二段、書道(毛筆三段、硬筆二段)

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