みなさん、こんばんは。川崎市議会議員(宮前区選出)の矢沢孝雄です。
久しぶりのブログ更新となってしまいましたが、現在、開催されております「市議会第2回定例会」における一般質問について、当方が取り上げたテーマを含め数回にわたってご報告させて頂きます。
近年の一般質問ですが、毎定例会、ほぼすべての議員が実施しています。
川崎市議会議員定数60の内、議会運営を仕切る必要がある正副議長を除いた58名に権利があるわけですが、今回は57名の議員が実施することになっています。
全国1800近くある自治体にそれぞれ大なり小なり議会があるわけですが、毎定例会質問の機会がある議会はそうありません。
答弁含め1人30分間、毎定例会にわたって執行部にさまざまな質問を行うことが出来るというのは、実はかなり珍しいことであると同時に、行政側にとっては議会のプレッシャーは相当なものがあるのだろうなと常々仕事をしながら推測しています。
さて、余談となってしまいましたが、今回の本題「一般質問3項目」について報告してまいります。今回取り上げたのは以下3テーマとなっています。
①ふるさと納税寄附受入額の増加に向けた取組について
ふるさと納税で苦しむ代表的な自治体として評されるのが、我が川崎市です。その流出額は令和6年度実績で約136億円。全国自治体の中でも五本の指に入る流出額となっています。今回取り上げたのは、攻撃側の施策となる寄附受入額の増加に向けた取組について。川崎市はヒトモノカネといった資源を投下し、受入額を増やしていかなくてはいけません。
②都市計画道路横浜生田線(水沢工区)開通に向けた取組について
川崎市第2期道路整備プログラムで令和7年度開通目標となっている「都市計画道路横浜生田線(水沢工区)」についてです。議員1期目から取り上げ続けてきた地元積年のテーマ。取り上げ続けて10年目となりました。令和7年度開通に向けた取組状況を伺いました。
③都市農業振興施策について
都市部においては、農地は宅地化すべきものという概念から、在るべきものと法律で定めた都市農業振興基本法施行が平成27年4月。10年を迎えます。都市農業を応援する声が増えてきている一方で、生産者にとってまだまだ営農しやすい環境が整っているとは言い難い課題もあります。その一つが、農地(生産緑地)へのトイレの設置についてです。この問題を取り上げました。
さて、今回のブログでは、上記3点の内、「①ふるさと納税寄附受入額の増加に向けた取組について」ご報告致します。
具体的な一般質問内容


ふるさと納税についての御質問でございますが、令和6年度の寄附受入額は、当初予算と比べ約9億円増の26億円余でございまして、これは、昨年4月から、人員体制を強化し、ポータルサイトの順次拡大や、日用品、電化製品をはじめとした稼げる返礼品の充実に取り組んだことによる成果であると考えているところでございます。

令和7年度当初予算では、今年度は約38億円の受入を見込んでいます。この数字を上回るよう取組を進めることは勿論ですが、次年度、再来年度と中期目線で受入額を順調に増やしていく為には、どのような課題があるのか、どのような取組が必要と考えているのか伺います。

ふるさと納税についての御質問でございますが、総務省が定める返礼品に関する制度につきましては、これまでも毎年度、改正されており、また、寄附者の返礼品の選択につきましては、本市の取組のほか、他都市の取組や一般的な消費動向にも大きく左右されるところでございます。
今後さらに、受入額を拡大していくためには、これらの動きを的確に捉えながら市場分析を行い、返礼品開発や広報の取組をより効率的、効果的に進めて行くことが重要であると考えております。
こうしたことから、今年度はさらなる組織体制の強化を図り、返礼品開発などの取組に加えて、市場分析や中・長期的な戦略検討を進めているところでございます。

福島県伊達市では、ふるさと納税返礼品パンフレットというものを作り、過去、ふるさと納税をしてくださった方に対して、パンフレットのみを郵送しているとのことです。
寄附受入額を増やす為に必要なリピーター確保対策に資する取り組みであると考えております。そして、川崎市の魅力的な返礼品を紹介する際にも有効なツールにもなり得ます。
本市においても、ふるさと納税返礼品パンフレット・冊子を作り、展開する事は有効な取組と考えますが見解と今後の対応を伺います。

ふるさと納税についての御質問でございますが、本市への寄附者に、再度、御寄附いただけるよう働きかけることは重要な取組であると考えており、現在、一部のポータルサイトにおいて、希望される寄附者に対し、本市事業や返礼品を紹介するメールマガジンをお送りしているところでございます。
また、パンフレットなど紙媒体による情報発信につきましては、本市返礼品の魅力を効果的にお伝えする手法であるものと認識しているところでございます。
一方で、郵送の場合は費用面などの課題もございますので、イベント実施時など市外の方と接点がある場を捉えて配布できるような、紙媒体の広報物について他都市の事例等も参考にしながら検討してまいります。

本市の令和6年度ふるさと納税現況調査によると、募集費用、いわゆる募集経費は、受入額に占める割合で言うと48.2%の約12.6億円であり、その内、広報に係る経費は約3.3百万円でした。受入額に占める経費割合の上限は50%ですので、かなりしっかり使っているという印象を持つかもしれませんが、逆に言えば、1.8%、金額にして約47.8百万円の経費余力があったのにも関わらず、未使用だったということになります。
最終的な受入額着地点を完璧に想定することは至難の業ですので、一定の経費余力が発生してしまうことは致し方ないと言えます。
とはいえ、総務省が公表している令和5年度ふるさと納税現況調査結果によると、受入額に占める経費割合の全国自治体平均値は48.6%でした。本市としての差はわずか0.4%ですが、金額換算で+約500万円は経費をかける事出来たと言えます。
そして、本市の令和7年度寄附受入額見込みは38億円ですので、募集経費の上限は19億円です。仮に、全国平均である48.6%の経費を使い、現状の本市の
差分である0.4%分を広報にあてたとすると、約9.5百万円は充てられるという事になります。
整理すると、令和6年度実績で、約3.3百万円だった広報経費を、令和7年度は少なくとも約9.5百万円かけられます。さらに、2年後、3年後、寄附受入額が増えれば増えるほど、かけられる経費が増えていくわけですので、投資対効果を見極めて頂き、ご検討いただくことを要望致します。
まとめ
今回の一般質問により、
・「川崎市ふるさと納税パンフレット」を作成する事について、「川崎市の返礼品の魅力を効果的にお伝えする手法であるものと認識しており、郵送の場合の費用の課題などはあるものの、紙媒体の広報物についても検討していく」と答弁がありました。
・ふるさと納税寄附受入額に応じて、募集費用(募集経費)が変わってくる為、今後、受入額が増えるに連れて使える経費も増えてくる中で、上限50%に出来るだけ近づけられるよう計画的に経費を見込んでいって欲しいという点に加え、全国平均を見ても本市の広報にかける経費割合は少ないと言える。使える経費が増える中で、今回の紙媒体広報物も含め、効果的な施策を検討していってほしい事を要望しました。
ふるさと納税に対してどのように戦略を策定していくかは、現代の自治体運営において極めて重要な事です。流出額を抑える施策(守り)と寄附受入額を増やす施策(攻め)、資源を投下して、しっかり伸ばしていくことが重要です。
今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
次回は、「②都市計画道路横浜生田線(水沢工区)開通に向けた取組について」ご報告致します。
ふるさと納税寄附受入額について、令和6年度の実績を伺います。併せて、令和6年度当初予算における見込みから大幅に増加することができた要因を伺います。