みなさん、こんばんは。川崎市議会議員(宮前区選出)の矢沢孝雄です。
5月16日〜17日にかけて、所属する健康福祉委員会の行政視察を実施致しました。
超党派で行う委員会視察は、かれこれ2年半振りぐらいでしょうか。コロナ禍である事を踏まえ、所属委員を2班に分け別々の視察を実施。
今回当方は、1班(自民党-共産党)として、神戸市-名古屋市の2都市を視察させて頂きました。
健康福祉委員会第2班は、京都市-神戸市の2都市を視察しております。
第1班の視察項目は以下の通りです。
①認知症対策「神戸モデル」(認知症の早期受診を支援する診断助成制度と、認知症の方が起こした事故を救済する事故救済制度)
②オーラルフレイルチェック事業
(名古屋市)
③敬老パス事業(敬老優待乗車制度)
④がん検診推進事業
今回は16日に視察した神戸市の2つの事業について、お伝えしてまいります。
政令市初!!認知症対策「神戸モデル」
神戸モデルとは、神戸市認知症の人にやさしいまちづくり条例制定を機に、充実させてきた「認知症の早期受診を支援する診断助成制度と、認知症の方が起こした事故を救済する事故救済制度」のことを言います。
視察で頂戴した資料をベースに説明を受けながら、質疑応答を実施。
・兵庫県平均を上回る要介護認定率
・高齢者人口43.5万人、認知症高齢者数6.5万人(推計)
②神戸市認知症の人にやさしいまちづくり条例
・平成19年に愛知県大府市で認知症男性が電車にはねられた事故で、JR東海が振替輸送代などの賠償を求めて家族を提訴
・平成30年4月1日施行 神戸市認知症の人にやさしいまちづくり条例(政令市初)
・施策の4本柱(予防及び早期介入、治療及び介護の提供、事故の救済及び予防、地域の力を豊かに)、際立った特徴は早期診断体制の確立と認知症と診断された人による事故に関する救済制度の創設
③認知症神戸モデル(令和3年12月9日改正)
・認知症診断助成制度:65歳以上の全市民が対象、身近な医療機関で実施、検診から精密検査まで自己負担なし(平成31年1月28日〜)
→保険診療で払った負担額を後日還付して実質無料で受けられる
→第一段階、認知症検診453か所の登録医療機関(委託先:神戸市医師会)。第二段階、認知機能精密検査73か所の登録医療機関
・認知症事故救済制度:無料で賠償責任保険制度・見舞金、給付制度に加入(平成31年4月1日〜)
→賠償責任の有無に限らず見舞金支給
・超過課税の導入(市民のみなさまに広くご負担)
→当初、3か年の時限措置を設けた。昨年の条例改正により3年間追加している。
<質疑応答>
・本制度を使って年間どれくらいの方々が診断を受けているのか
→認知機能検診(第一段階)44,129人、認知機能精密検査(第二段階)9,090人
・事故救済制度、加害者と被害者の定義や考えうる組み合わせへの対応について
→令和4年1月時点、支給状況17件(支給額合計1,783,829円)、賠償責任保険加入者数6,827人
・予算3億円の決算内訳について
→最初の方は機能検診で2億円、事故救済で1億円。始まった際はみなさん検診を多く受けて頂いた。当初から3年間で9億円という考え方。
川崎市の認知症高齢者数は、令和2(2020)年に5.7万人を超え、市の高齢者の約6人に1人が認知症であると推計されています。今後増加を続け、令和12(2030)年には約8.6万人、令和22(2040)年には約10万人まで増加すると想定されています。
高齢者の6人に1人が認知症ということは、その認知症を有する高齢者を支える家族や家庭も認知症と向き合っていかなくてはいけないということです。神戸市で条例をつくるきっかけになった認知症高齢者による事故に伴い、家族に対して損害賠償請求がされた事案は現在の社会において、容易に想像し得るケースだということです。
市民がハードルなく機能検査を受け、認知症を早期に発見していくという面においても、認知症を有する高齢者を支える家族の負担を社会全体で分散するという意味でも、検討していくべき大切な施策だと感じました。
だいぶ長くなってしまいましたので、オーラルフレイルチェック事業については次の記事でお伝えしてまいります。
今回も最後まで読んでいただき、有難う御座いました。