みなさん、こんばんは。川崎市議会議員(宮前区選出)の矢沢たかおです。
今回の記事では、川崎市議会第1回定例会最終日に我が会派が提出した「外国人地方参政権をめぐる議論と附帯決議案」について、報告してまいります。
今回の記事を要約すると
なぜ出したか: 市は「国に働きかけていない」と認めながら、文書上は「実現を検討する」と嘘の記載を続けており、有識者にも誤解を与えているからです。
結果と今後: 賛成少数で否決されましたが、国家の根幹に関わる問題として、今後も是正を求めていきます。
そもそも「附帯決議(ふたいけつぎ)」とは?
今回の報告の中で、聞き慣れない言葉が出てくるかと思います。それが「附帯決議」です。
簡単に言うと、「議案(メインの議題)そのものには賛成するけれど、実行にあたって『これだけは守ってほしい』『ここを改善してほしい』という条件や注文をつけること」を指します。
背景・経緯について
今議会の中では、「第23号議案 川崎市基本計画の改定」が提出されています。
川崎市の最上位計画となる「川崎市総合計画」は、本市がめざす都市像やまちづくりの基本目標を定めた「基本構想」と、基本構想に定める5つの基本政策を体系的に推進するために政策の方向性を明らかにする「基本計画」、これらのビジョン・方向性に基づき、中期の具体的な取組や目標を定める「実施計画」で構成されています。
「基本計画の改定」ということは、つまり「基本構想に定める5つの基本政策を体系的に推進するために政策の方向性を明らかにする」ものです。
本市はこれまで多文化共生社会の実現に向け、先進的な取り組みを進めてきました。
外国人施策は、「多文化共生社会推進指針」にまとめられており、総合計画実施計画の中でも、明確に「多文化共生社会推進指針に基づく取組の推進」と明記されています。
しかし、今回の基本計画改定にあたり、我が会派は議案そのものには賛成の立場であるものの、どうしても整合性を図るべき重要な課題があると考え、附帯決議案を提出しました。
それが、多文化共生社会推進指針をはじめとする行政文書中の「外国人の地方参政権」の扱いです。
川崎市の外国人施策の根幹となるこの指針には、以下のことが書かれています。
「④地方参設権の実現については、他の自活体と運携しながら国に働きかけることを検討します。」
後述しますが、「実際、川崎市として国に働きかけているか?」というと、そうではなく、「国の動向を注視しており、具体的な働きかけは行なっていない」というのが実態となっています。
とはいえ、”実現”という明確な意思とも取れる言葉を使った文章を頑なに見直さないところが問題とも考えています。
実現する気も無く、国に働きかけていないのであれば、実態に合っていない文章については改めるべきです。
この記載内容に対し、これまで行なってきた指摘について
書き始めると、キリがない為、ここでは一部の転記とさせて頂きますが、川崎市議会の議事録には残っています。
川崎市議会議事録検索で「地方参政権」と調べて頂ければ、しっかり出てきます。
自民党だけでなく、他会派、そして無所属議員も頻繁に取り上げている課題ですが、直近の我が会派の代表質問部分だけを抜粋して以下記載します。
基本的には、我が会派は「見直していくべき」というスタンスで指摘を続けています。
令和5年第5回定例会-12月06日-自民党代表質問にて


外国人市民の地方参政権につきましては、専ら国の立法政策に関わる事柄であると考えておりますが、指針における表現につきましては、本市議会において過去に採択された定住外国人の地方参政権の確立に関する意見書をはじめ、様々な考えや意見があることなどを踏まえ、平成17年に本指針を策定した当初より、国に働きかけることを検討しますとしております。また、外国人市民代表者会議からも、外国人市民の地方参政権実現に向けて国に働きかけるよう努めるとの提言が出されておりまして、本市においては、この間、国の動向等を注視している状況でございます。他自治体との連携等につきましても、現時点で具体的な取組はございませんが、今後、国において様々な議論等が進んだ場合は、必要に応じて他自治体とも連携する可能性等を踏まえ、本項目の文言は本指針の策定時から変更していないものでございます。以上でございます。
◾️令和7年第2回定例会-06月11日-自民党代表質問にて


なぜ今、この議論が必要なのか
繰り返しとなりますが、現在、「川崎市多文化共生社会推進指針」には、地方参政権について市独自の踏み込んだ見解が示されています。
しかし、そもそも外国人の地方参政権は、“憲法解釈や国家の統治の根幹に関わる事柄であり、専ら国の立法政策において決定されるべき法的課題”です。
我が会派は、一自治体が権限を超えた独自の解釈を示すのではなく、国の動向を注視すべき立場として、市民の誤解を招かない適正な表現に改めるべきだと指摘してきた経緯があります。
前述の代表質問でも取り上げていますが、市としては実際、実現に向けて国に働きかけているわけではないとしていても、指針等を参考に、市の方針なんだと素直に受け止めて、外国人代表者会議のコメンテーターを務めるほどの有識者においても、誤解を招く発言を社会に発信をしているケースが発生していることが判明しました。
我が会派が考えている以上に、当該文言が残っていることによる影響が多方面に及んでいるのだと痛感致しました。
この課題を重く受け止めているのは、我が会派だけでなく、超党派・無所属も含めて多くの議員が問題視をしています。
また、本会議での提案前、総務委員会で提案した際、賛成少数で否決されましたが、反対した他会派からも「提起された課題は重く受け止めている」との発言があり、本市の外国人施策における課題は広く認識されつつあると感じています。
附帯決議案の提案説明
以下、実際に行った自民党の提案説明全文となります。
「議案第23号 川崎市基本計画の改定について」に対する付帯決議(案)
「私は、ただいま議題となりました「議案第23号 川崎市基本計画の改定について」の付帯決議(案)について、提案者を代表し、提案理由の説明を申し上げます。
本市はこれまで、多文化共生社会の実現に向けた先進的な取り組みを進めてまいりました。 しかしながらこの間、我が会派のみならず、多くの議員からも指摘があった行政文書における「外国人の地方参政権」の扱いについては、慎重を期すべきです。
現在、「川崎市多文化共生社会推進指針」には、地方参政権について市独自の踏み込んだ見解が示されております。 そもそも、外国人の地方参政権は、憲法解釈や国家の統治の根幹に関わる事柄であり、専ら国の立法政策において決定されるべき法的課題であります。
今回の基本計画改定を重要な契機と捉え、川崎市の権限を越えた独自の解釈を排し、国の動向を注視すべき一自治体としての適正な表現へ改めるべきであり、同時に、市民の誤解を招きかねない行政文書の記載内容の確認も必要であります。
本附帯決議(案)は、本市が多文化共生を推進しつつも、法的な役割分担を明確にし、行政文書の整合性を図ることを求めるものであります。 議員各位におかれましては、本趣旨をご理解頂き、ご賛同賜りますようお願い申し上げ、提案説明と致します。」
実際の附帯決議案と議会での賛否
残念ながら、今回の附帯決議案は本会議にて賛成少数により否決されました。
反対(31):みらい(14)、公明(10)、共産(7)
※定数60欠員3、議長を除き、投票総数56。
※みらい会派:旧民主党系の会派。主に、立憲民主党、国民民主党所属議員で構成。
一点、明確にしておきたいのは、外国人地方参政権の議論と、多文化共生社会の推進は全く別の課題だということです。
今回の提案は、法的な役割分担を明確にし、行政文書の整合性を求めるものであり、一部で懸念されるような「外国人排他主義」を煽るようなものではありません。
国家の基本を遵守した上での「正しい多文化共生社会」の在り方を追求することは、今後も不可欠と考えています。
この問題については今後も継続していくものとなっていますので、機会を見て動きが出次第、またご報告できればと考えています。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
また次回も宜しくお願い致します。













