一児の親として幼保無償化は大歓迎!だが川崎市政に与える影響も・・・

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一児の親として幼保無償化は大歓迎!だが川崎市政に与える影響も・・・

 
みなさん、こんばんは。川崎市議会議員(宮前区選出)の矢沢孝雄です。
 
川崎市議会第4回定例会も明日は採決が行われます。市議会の流れを少し説明すると、各会派による代表質問が終了した後、各常任委員会でそれぞれ割り振られている本定例会で提出された議案に対する審議が行われます。
その後、本会議場にて議案に関する総括質疑と採決が行われ、その翌日以降から各議員の一般質問に移るといった流れになっています。
 
なので、各議員の一般質問では議案に触れた内容は原則NGになっています(もう提出された議案については審議・採決は終わっているので)。一般質問は市政一般に関する内容であり、今後の川崎市政運営にあたってそれぞれ取り上げるテーマで、行政と議論を交わし、市政課題の解決、発展につなげていくためのものです。
 
こういった流れは外から見てると分からないまま、淡々と進んでいきますし、誰も議会運営については教えてくれません。
市民にとっては、一つ一つの流れが持つ意味合いが分からないまま進むことになるので、そういった部分も議会への理解が進まない理由にもなっているのではないかと感じています。
 
さて、前置きが長くなりました。本日は、国と地方の綱引きで紙面を騒がせている2019年10月から実施される「幼保無償化」について、少し話をさせていただきたいと思います。
 

無償化は誰でも喜ぶけど、そもそも今の仕組みってどうなっているの!?

やっと国と地方の財政負担協議が決着したようすです。認可外保育施設や子ども・子育て支援新制度に移行していない私立幼稚園を含め国が2分の1を負担するとした政府案の受け入れを決めたとのことです。そもそもの対立は、国が必要経費の全額を負担するべきと言っていた全国知事会・市長会と、各地方自治体にも負担を求める案を提示してきた国との相違にありました。
 
当初の案から、認可外保育施設や私立幼稚園を含めた形で国の負担割合を全体的に引き上げた案で決着しました。
 

 
川崎市で特に問題になっているのが、「私学助成幼稚園の無償化に伴う財源」です。
 
幼児教育・保育の無償化実施に伴う本市の財政負担イメージ図を以下に添付致します。この図のポイントを記すと、
 

・現行では、本市の私学助成幼稚園にかかる費用全額約60億円の内、国負担が約7億、市は約16億円、残り37億円はすべて保護者負担となっていた。公が負担する費用(約23億円)の内、1/3を国が負担している格好。
・現行制度(1/3)のまま、国の部分を含め保護者負担全額を無償化すると、国が負担しなくてはならない費用が約20億円。残り約40億(2/3)は市が負担することになるので、現行制度のままだと、約24億の追加財政負担になる。
・加えて、川崎市は現在普通交付税の不交付団体である為、国の負担割合は(1/3→1/4)に下がり、市の負担が(2/3→3/4)に上がる可能性もある。そうなった場合、市が負担しなくてはならない費用は約45億円となり、約29億円の追加財政負担になる。
 

幼児教育・保育の無償化実施に伴う川崎市の財政負担イメージ

 
毎年約30億円の追加財政負担を今の川崎市の財政運営で考えると、大きな問題と言わざるを得ません。
30億という数字をもっと身近なものに置き換えると、本市では昨年小児医療費の無償化枠を小学校3年生から一部負担金を入れながらも6年生まで引き上げました。この時に必要となった財源が、年間約2億4千万円です。
 
単純に毎年約30億円も新たに捻出しないとならないとすると、もしこの費用を別のものに使えたなら「小児医療費は中3まで完全無償化」も実現に向けた検討が出来たかも知れません。(※小児医療費制度自体の費用負担を地方自治体が持つこと自体、私は疑問視している側ですが、数字の尺度としてわかりやすいかと思い例えで用いています)
 
当時の議論は以下ブログから御覧ください。
 

小児医療費助成制度の拡充に関して(一部負担金導入にあたって)

2016.09.15
 
この問題をどうにか国にも現状を理解してもらい、是正を訴える活動が、先日当方が大都市税制特別委員会の委員として自民党本部での活動につながっています。
 

自由民主党本部へ!!~川崎市の税政課題についての要望活動~

2018.11.20
 
ここでの訴えかけがどこまで通じているかはわかりませんが、この間の交渉などを経て、結局は国負担1/2で決着しました。
ただ、今までの説明でもわかるとおり、1/2でも満額ではないので、各地方自治体における負担は重くのしかかります。制度実施にあたって必要となる事務経費も重いと算出されています。
 
まだまだ具体的な内容はこれからですが、川崎市の来年度予算には大きな影響を及ぼす可能性がある為、今後も注視していきたいと思います。
 
本日は長文、お付き合い頂き有難うございました。
大都市税制特別委員会の代表で行ったときの活動の様子は、今週のタウンニュースに掲載される予定ですので、本ブログと併せて是非ご一読頂ければと存じます。
 


ABOUTこの記事をかいた人

宮前区選出、川崎市議会議員(自由民主党) A型/乙女座/丑年 菅生小・中学校→法政二高→法政大学卒業 2008年4月伊藤忠テクノソリューションズ入社 2014年7月に政治活動に専念する為、同企業を退社 2015年第18回統一地方選挙において初当選。現在二期目。 趣味:剣道四段、空手二段、書道(毛筆三段、硬筆二段)

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