小児医療費助成制度の拡充に関して(一部負担金導入にあたって)

小児医療費助成制度の拡充に関して(一部負担金導入にあたって)

9月14日(水)自民党代表質問にあった「小児医療費助成条例の一部を改正する条例の制定について」を本ブログでその内容に関する補足説明等をさせていただきたいと思います。
先ず、本条例改正の概要です。
”本条例の改正”は、現行、小学生3年生まで実施している、小児医療費助成制度の対象年齢を、平成29年度4月から、小学校6年生まで拡充することに伴う改正です。今回の制度拡充で、小学校4年生から6年生は、今まで保険診療自己負担額が3割だったものが、一回の診療につき、500円を超えた金額は助成されることになります。
図に落とすとこうなります。

一部負担金を導入した場合の図

多くの新聞・メディアでは”一部負担金の導入”という言葉を使っていますが、保護者にとって新たな負担が増えるというものでは決してありません。
現状、小学校4年生から6年生の児童の平均医療費は1,500円かかるそうです。本議案が通ることにより、小学校4年生から6年生までは完全無償化とまではいきませんが、一回の診療において最大500円までとなり、それ以上の医療費がかかった場合はその分を助成されることになります(※但し、所得制限に関しては従来どおり。小学校1年生から3年生に関しては、従来どおり無償)
ここでいくつかの疑問点が出てくるかと思います。
補足説明や資料を使いながら、我が会派の代表質問の内容を噛み砕いて以下に記載します。
Q.なぜ負担金を導入しなくてはいけないの?
この質問に対して、市長は
「恒久的な財源を確保し、持続可能な制度としていくために必要。無料化で過剰受診が起き、医療機関が疲弊するという課題もある。今回の一部負担金はこういったことも含め、総合的に判断した」と答弁。
Q.なぜ500円なの?
この質問に対して、行政は
「保険医療制度における医療費の自己負担が、未就学児までは2割負担、小学生就学以降は3割負担である為、増加分の1割相当額の平均である500円に設定した」と答弁。
Q.なぜ3年生までで区切ったの?
この質問に対して、行政は
「既に全額助成を行っている小学校3年生までは、医療機関を受診する機会が多く、また、保護者の医療費に対する負担感が高いことから、小学校4年生からとした」と答弁。
補足として、以下資料を添付します。

年齢(学年)ごとの対象者数及び医療費助成額(推計)

Q.なぜ今まで一学年ずつだったのに今回一気に3学年引き上げたの?
川崎市の小児医療費助成制度の今までの変遷をまとめると以下のようになります。

【参考】川崎市における制度の変遷

小児医療費助成制度というのは、その制度特徴から一旦引き上げると、どんな理由であれ引き下げることが中々難しい制度であり、行政側から言えば”恒久的な財政支出”を伴う制度となっています。そういったこともあり、今までの本市ではこの制度の急激な引き上げには慎重で、一歳ずつの引き上げでした。
それが今回は、一部負担金を導入するとはいえ、一気に3学年の引き上げです。なぜなのか?
これに対して行政は、
「子育てに対する不安や負担感が増大する中、学齢期における心身の成長の一つの区切りである小学校6年生までの拡大をできるかぎり早期に実現することにより、子どもが安心して必要な医療を受けられる環境づくりを推進することとしたもの」と答弁。

Q.一気に引き上げて、財政状況は大丈夫なの?
実は川崎市、本年3月に公表された収支フレームでは、一部負担金対象年齢を小学校1年生から小学校6年生までとしており、これにより年間約3億9000万円の事業費縮減を見込んでおりました。
ですが、提出された議案は小学校4年生から6年生までの一部負担金。これにより、事業費縮減は年間約1億4800万となるとの試算がでています。当初の縮減との差は、年間約2億4000万円にものぼります。
この指摘に関する質問に対する答弁では、
「今後、関係局とも十分調整して、対応してまいりたいと考えております」に留まっています。
制度拡充といった内容だけ考えると多くの市民から歓迎の声が上がるものだと思いますが、上記で記載したような質問をしていくと、財政的な答弁も曖昧な部分を残したままという印象で丁寧な説明がされたとは言えません。
この部分が曖昧だと市長がどういった判断基準で、一部負担金を導入したのか、本当にこの負担金は必要なのか。さらには、財政状況が改善されれば(若しくはどういった財政状況になれば)、完全無償になるのかどうなのかが見えません。
Q.制度の今後は?中学校1年生以上に拡充していく予定はあるのか?
これに対して、市長は
「引き続き社会保障関連経費の増大が見込まれる中、まずは、小学校6年生までの拡大となる本制度を、しっかりと継続的に運営してまいりたいと考えているところでございます」と答弁。
加えて、この議案に関しては次のような議論に値する問題が包含されています。
 
それは、「市長公約と異なる内容であるということ」です。
 現・福田市長は、先の市長選において”小児医療費、小学校6年生まで完全無償化”を掲げていました。 本内容は、小学校4年生から6年生まで一部負担金を導入するという内容になっています。
この部分についての見解を求めたところ、市長は
「公約は、私が市民の皆様とお約束したものでございますので、小児医療費の一部負担金の導入のように公約の内容を一部変更するものにつきましては、これからも丁寧に説明を行ってまいります。」と答弁。

Q.丁寧な説明とは具体的に?
これに対して、市長は
「公約の内容と一部変更となりますことから、今後につきましては、広報等の取組を丁寧に行うことにより、保護者の皆様が拡大した制度の内容を正確にご理解いただけるよう努めてまいります」と答弁。
具体的な広報の仕方、説明の仕方については言及されませんでした。
私個人としても、会派としても今回の一部負担金の導入の必要性については、一定の理解をしております。また、市長がおっしゃるように「本来この制度は、全国一律の制度として国が行うべきもの」というご指摘も同意するものであります。
ですが、市長公約と異なる点について市民に対して丁寧な説明に努めるといった部分をどれだけしっかりと実行してくれるのか、また今回の一部負担金の導入基準に、財政的な判断基準があったのか・・・
市長には市民に対して、真摯な姿勢で説明責任を果たしていただきたいと思います。
最後に、補足資料として、川崎市を含めた他政令指定都市の状況(平成28年4月時点)を添付致します。 今回、川崎市の他に横浜市においても一部負担金の導入が予定されているとのことです。

小児医療費助成制度の通院医療費助成実施状況(平成28年4月現在)